最初の出費は嵩むけど、その後はあまりお金が掛らない。
自転車はそんな趣味かも知れません。
とはいえ、自転車趣味が高じると乗るだけでは満足できなくなり、ついつい愛車のカスタマイズにも熱が入ります。
私もその例に漏れず、1000円超えの昼食代は躊躇するのに自転車パーツになら数万円を簡単に出せてしまう。
そんな狂った金銭感覚が当たり前になっていた時期がありました。
今でこそ、出来るだけ安く上げる努力を惜しみませんが、ここ数年は自転車乗りの財布に厳しいご時世。
パーツ価格が軒並み値上がりしている上に、世界的なインフレや為替の影響で頼みの綱だった海外通販も風向きが怪しくなっています。
国内メーカーのパーツで賄えるオンロード車はまだマシな方で、海外メーカーが主体のオフロード車ではその影響がより深刻かも知れません。
円安だし、どれだけ値上がりしてるんだろう……
そんな不安を覚えつつ、ファットバイクのタイヤが欲しくなって久々に海外通販サイトを覗いてみると、価格自体はそれほど上がっておらず一安心。
ですが、為替レートによる仕打ちと知らぬ間に爆上りしていた配送料で、海外通販の利用価値は駄々下がり。
送料を含む購入費用が16666円以上になると6%相当の輸入消費税も加わってしまい、もはや海外通販のお得感は風前の灯火です。
ボッタと揶揄された国内価格とほぼ同じか割高になってしまうことも珍しくなく、これから先も海外通販を利用し続けるには厳しい見極めが必要になりそう。
「だいたい国内より安い」という今までの常識が崩れつつある中、今回は私が利用しているECサイトを中心に自転車系海外通販の現状にスポットを当ててみます。
定番だった「Wiggle」と「CRC」はどうなったのか?
まずはこの話題から。
数年前まで自転車系の海外通販では大定番といわれた「Wiggle」と「Chain Reaction Cycles」のお二方。
2023年にゴタゴタがあって以来、海外通販からは撤退してお膝元のUKでの販売に注力していましたが、現在は海外向けの販売を再開しています。
以前はしっかりと日本語対応でしたが、今は「日本にも発送できるよ!」といった最小限のサービス内容にとどまり、経営母体が共通しているだけにどちらのサイトも品揃えやカートの仕様が似通っている印象。
WiggleのPBだった「Prime」のパーツも幾つか復活していて、CRCもPBの「Brand-X」が復活しています。
Brand-Xは良コスパなドロッパーシートポストやリモートレバーをリリースしていたので、これは素直に喜びたいところ。
SRAM/スラムとSHIMANO/シマノのパーツは相変わらず規制が掛っていて日本からの購入はできませんが、SRAM GX EAGLEのリアディレイラーは国内価格よりも20%ほど安いお値段。
逆にシマノ製パーツは国内価格よりも5~10%割高で、それに配送料やその他諸々が加わるため、仮に購入できたとしても全くお得感はありません。
手堅い感じに復活を果たしたWiggleとCRCですが、「~円以上の買い物で送料が無料!」といったサービスが無くなったのが残念。
とはいえ、日本への送料は約16GBP(約3000円)と後述する海外通販と比べると控えめなので、購入するパーツや金額によってはまだまだ利用価値の残る海外通販といえるでしょうか。
混沌の中華系海外通販「AliExpress」「Temu」
中華系の総合通販も自転車パーツを積極的に扱っていて、「AliExpress/アリエクスプレス」や新興の「Temu/テム」あたりが良く知られています。
アリエクに関しては私も数年前に何度か利用してことがありますが、MTB用のカーボンホイールが思いのほか優秀でした。
セラー選びさえ的確なら不良品を掴まされる可能性は低いですし、こちらから受取報告をしない限りセラー側に料金が支払われない仕組みのため、フレームやホイールといった少し高価な買い物にも挑めます。
ただし、偽物が多いのも事実で過去に購入したSRAMのディスクローターがコピー品だったことも。
シマノやSRAMといった有名処のパーツはコピー品だったりシリアルを削った訳アリ品だったりする場合もあるので、逆に中華ブランドのパーツを選んだ方が安全な場合もあります。
現在は競争力の上がった中華ブランドの取扱い数が大きくなったため利用頻度は下がりましたが、中華TPUチューブのまとめ買いや品質をあまり問わないアクセサリー類では相変わらずな存在感。
因みに、大きな声では言えませんが……アリエクで高額なパーツを購入しても輸入消費税を請求されたことがありません。
セラー側が勝手に小細工してくれているらしいですが、今は税関でのチェックが少し厳しくなっているとのこと。
続いて、良くも悪くも世間を賑わせているTemuです。
品揃えはアリエクとよく似ていて、自転車のパーツはサイトの主旨に合わせて小型で安価な物がメインなのが特徴。
また、アリエクとは別のカタチで購入者保護プログラムが充実していて、90日の返品返金が保証されています。
私自身、まだ利用したことはありませんが中華TPUチューブの品揃えは悪くないので、アリエクよりも送料の面で有利なこちらで購入するのも手でしょうか。
身も蓋もない言い方をすれば、アリエクもTemuも中華TPUチューブをまとめ買いする場所という認識になっています。
配送料が軒並み上昇!「欧州・米国」の自転車系海外通販
ここからは私が過去に利用したことのある海外通販の現状を、簡単にお伝えしてみます。
【bike INN】
スペインのスポーツ系海外通販の一部で、自転車用のパーツやウェアを扱うECサイト。
ショッピングカートや検索のシステムに不具合があり、お使いの環境に寄ってはお目当てのパーツに辿り着けずイライラするかも。
シマノもSRAMも取扱いがありますが日本への発送は基本的にNGで、カートに入れても上手く認識されなかったりします。
ちょっと気になる点として、時間差でカートに表示されることがあり、何らかの抜け道がある可能性もありそう。
他の海外通販とは異なり、購入点数や製品サイズによって送料が変化するシステムになっているらしく、パーツ類を1点注文した際の配送料は最安の日本郵便で1700円ほど。
2点注文で3100円くらいになりますが、小物なら追加しても配送料が据え置きになる場合もあり、使い方次第では配送料を安く抑えることも可能です。
海外通販を虱潰しに探しても見つからなかった物が、ここで見つかる場合がよくあるので、選択肢のひとつとして押さえておきたいところ。
【bike24】
欧州系では最も利用者の多いドイツの海外通販。
こちらも例によって、シマノやSRAMは購入NGです。
個人的に最もお世話になった場所ですが、いつの間にか配送料が高騰していて40ユーロ(約6500円)に。
冒頭でも触れましたが、輸入消費税は送料を含む全費用に適用されるため、余計な出費を避けたい場合はパーツ購入に裂く金額を10000円程度に抑えないといけません。
シュワルベやコンチネンタルのお膝元につき、タイヤやチューブは国内よりもまだまだ安価なので、利用するならこれらのまとめ買いが賢いやり方。
例としてコンチのGP5000TRを4本まとめ買いした場合、輸入消費税が掛かっても国内価格よりトータルで3000円以上安くなります。
因みに、bike24はクレカの認証方法がかなり特殊なので、無理せずペイパルで支払いをするのがオススメ。
【bike-components】
こちらもドイツの通販で、シマノもSRAMも購入はNG。
以前は送料が割高だったため、bike24でまとめ買いできなかった場合のサブとして利用していましたが、現在はbike24が40ユーロに値上げしたことにより配送料が同額に。
品揃えもbike24とほぼ共通していますが、こちらの方が欠品が少ない印象。
bike-componentsは商品ページにパーツの実重量を写真付きで公開していたり、パーツを重量順にソートして表示してくれる機能があったりと、軽量化マニアには堪らない仕様になっています。
【Jenson USA】
MTBやファットバイクといった、オフロード車に滅法強い米国の通販。
このセリフにも飽きてきましたが、シマノもSRAMも日本への発送はNG。
お膝元だけに米国ブランドの品揃えが充実していて、かわりに欧州ブランドはシュワルベすら見掛けない貧弱なラインナップになっています。
最近の米国ブランドは日本の国内価格と大きな違いが見られない特徴があり、安易に利用すると送料や輸入消費税の分だけ不利に。
セール価格を狙うのが鉄則ですが、こちらのJenson USAはクーポンやセールが充実していて、30%オフも当たり前だったったりします。
日本までの配送料は32ドル(約5000円)と欧州よりも幾分マシですが、少しでも円高のタイミングで購入したいところでしょうか。
【Merlin Cycles】
WiggleやCRCとは別系統となる英国の通販。
遂にこのセリフが言えますが、日本からでもシマノやSRAMの製品が購入可能。
アイテム数は限られるものの、SRAMのミドルグレードで国内価格よりも20~30%安く、シマノは国内価格と同程度です。
シマノに関しては殆どお得感はありませんが、数年前にシマノ製品が品薄になり数ヶ月の入荷待ちになった時でも、こちらにはしっかりと在庫がありました。
送料は6666円とお高めなので、輸入消費税を覚悟したセール品のまとめ買いを推奨したいところ。
因みに、ホイールがやたらと安く買えてしまうことがあり、バラ完したグラベルロードのホイールもここで購入しました。
MAVICのグラベル用ホイール ALL ROAD S 700cがトータル60000円くらいで買えた覚えが……もちろん前後セットで。
まとめ
自転車系海外通販の現状について簡単にまとめてみましたが、パーツ価格の上昇よりも配送料の高騰や円安による影響が目立ちますね。
シマノ製は素直に国内で購入したほうが安く上がりますし、米国ブランドは海外と国内との価格差が狭まる傾向にあります。
欧州ブランドは送料の高さが足を引っ張り、タイヤやチューブのまとめ買いくらいしかお得感が無くなりました。
個人的には復活したWiggleとCRCの今後に期待したいところ、送料も他と比べると控えめなので利用を再会しても良い頃合いでしょうか。
余談ですが、私の経験上アマゾンや楽天といった総合通販サイトでパーツ・アクセサリー・ウェア類が欠品していても、自転車専門の国内通販サイトにはひっそりと在庫が残っている場合も。
最後の手段として海外通販を頼る前に、ワイズロード・サイクルヨシダ・ウエムラサイクルパーツ・スペシャライズドストアなどで、在庫や取扱いの有無を調べてみるのも手です。
⇒【ワイズロードオンライン】