まだまだ数は少ないですが、私の住んでいる地域でもチラホラとファットバイクを見かける様になりました。
意外なことに未舗装路よりも街中で見掛ける事の方が多く、ファットバイクは街乗りに向いているぞ!!という話もあながち間違いではない気がします。
さて、ファットバイクを街乗りで使う場合に、あると大変便利なのがセンタースタンドやキックスタンドです。
私は街乗りメインではありませんが野鳥の撮影も趣味にしているため、田舎道やちょっとしたトレイルでも直ぐに停車して撮影に移れるように、ファットバイクの購入と同時にキックスタンドの装備を考えていました。
実はこのファットバイクへのキックスタンド導入に思いのほか苦戦し、結局のところ4回もスタンドを買い直す羽目になったのですが、今回はこの失敗の備忘録も兼ねて、ファットバイク用キックスタンドの選び方について簡単にまとめてみたいと思います。
【1】FF-R CD-96X 取付可変式アルミアジャスタブルスタンド

私が一番最初に購入したキックスタンドはFF-R CD-96Xと言う製品でした。
納車とほぼ同時期に注文しましたが、あえてこの製品を選んだのはネット上でファットバイク用のスタンドを検索した際に、一番最初に目に留まったからという単純な理由からで、模様やロゴから製品を特定しやすかったからです。
確かにファットバイクにも対応するキックスタンドでしたが、残念な事にディスクブレーキ車とは相性が悪く、クランプの短い2点止めのスタンドではチェーンステーとシートステーを跨ぐことが出来ませんでした。
この記事のトップ画像の自転車みたいに、チェーンステーとシートステーの接合部分が鋭角に『く』の字状になっているタイプには装着できますが、ディスクブレーキ車の大半はこの部分が『コ』の字状に広がった形状をしているため、取り付けが難しくなります。
【2】cycledesign アジャスタブルキックスタンド

クランプの短さが仇となった苦い経験から、今度は失敗すまいと必死で調べて見付けたのがcycledesign(サイクルデザイン)のアジャスタブルキックスタンドです。
ファットバイクを取扱っている某サイクルショップのブログにチラッと紹介されていて、こちらもメーカーや製品名の記載がなかったため、画像を頼りに探し当てた覚えがあります。

このキックスタンドの特徴は上画像を見てわかるように、2点止めの超ロングクランプです。
ディスクブレーキ車はもちろん、大半の自転車には装着可能な汎用性の高さがウリですね。
私のファットバイク『アーガスエキスパート』にも難なく装着でき、スタンド沼にハマる事は避けられたと胸を撫で下ろしたのですが、全く予想していなかった落とし穴がありました。
ようやくスタンドの取り付けが完了し、最後にタイヤやペダルがキックスタンドに干渉していなかをチェックするためにペダルを回してみると、シャリーン…シャリーン…シャリーン…と何故か私が最も嫌いなディスクブレーキの引きずり音がします。
取り付け前は何の問題もなかったため、念のためスタンドを外してタイヤを空転させてみると、いつも通りの無音です。
どうやら2点止めが災いし、スタンドを固定するときのナットの締め付けでフレームが僅かに歪んでしまい、ディスクブレーキのローターとパッドが干渉してしまう様です。
ご存知の通り、油圧式ディスクブレーキのクリアランスは左右を合わせても1mm以下と大変狭く、ちょっとした異変でも干渉をおこします。
試しにスタンドを固定するナットの締め付けを実用範囲ギリギリまでゆるめてみましたが、引きずりは改善しませんでした。
スタンドを取り付けた後に、あらためてディスクブレーキキャリパーのセンタリング(平行出し)をすれば、引きずり音は改善できますが、スタンドの有無や締め付けトルクに依存したイレギュラーな調整はあまり気持ちの良いものではありません。
こうして二本目のスタンドも失敗に終ったわけですが、どうやらこの現象は全てのファットバイクで起こる訳ではなく、チェーンステーとシートステーの形状に依存し、どちらか一方が湾曲していたり両者の形状が大きく異なってるフレームで起こりやすいようです。
とはいえ、大半のファットバイクではこのcycledesign(サイクルデザイン)製のアジャスタブルキックスタンドが問題なく装着できるので、ファットバイクには最有力の選択肢と言えます。
因みに、2点止めの取り付け部分は一切保護されていないため、ゴム板や厚手の保護テープを間に挟まないとフレームに傷が付いてしまうので注意しましょう。
【3】YUENI YCA-1528 ファットバイクセンタースタンド

三度目の正直を期待して、次に私が試したのはファットバイク用としては唯一かもしれないYUENI YCA-1528という一風変ったセンタースタンドです。
スタンドの足の部分が大きく横に飛び出し、ファットバイクの特徴とも言える極太のタイヤと干渉しない様な作りになっています。
このセンタースタンドは装着できるフレーム形状が限られる上に、前述したcycledesign(サイクルデザイン)製と同じく、DIYでゴム板を挟まないと確実にフレームに傷が付いてしまうのが難点ですね。
結果としてアーガスエキスパートにはギリギリ取り付けが可能でしたが、しっかりと固定させるためにはフレームに傷が付く覚悟が必要となり、ボルト1点止めという仕様から固定が緩みやすくなる恐れがあったため、残念ながら実用には至りませんでした。
当然ですが取付け箇所はBB付近に限られ、BBから枝分かれした左右チェーンステーの股部分にある穴が、横幅の内寸で30~40mmくらい、縦幅の外寸で30mmくらいならしっかり固定できると思います。
色々と制約は多いものの、キックスタンドよりも見た目がスッキリしているので、BB付近のフレーム形状が適合していて傷対策もしっかりと出来るなら、悪くない選択肢でしょうか。
車重がママチャリ並みになる街乗り用クロモリファットと相性が良く、最も安定感のあるスタンドです。
【4】GIZA PRODUCTS CL-KA70 アジャスタブル サイドスタンド

さて、ようやく本命の登場です。
私が諦め半分で購入したのが、このGIZA PRODUCTS(ギザプロダクツ) のCL-KA70です。
実はこのスタンドを購入する前に、ファットバイクに対応した自宅用のディスプレイスタンドを購入していて、長時間の停車でも安定する2点止めのスタンドに拘る必要が無くなっていました。
私の用途なら、1~2時間安定して停車していられるだけの強度があれば十分なのです。

このCL-KA70は1点止めのキックスタンドで軽量かつシンプルな作りです。
1点止めのキックスタンドは保持力が弱く、断面が円形のチェーンステーでは長時間の駐輪でスタンドが回転してしまう欠点があるのですが、ここまでマイナス要素しか産み出さなかったアーガスエキスパートのフレームが、ようやく役に立ってくれました。
幸いにもチェーンステーの断面が楕円形で、無造作に取り付けても勝手にスタンドが回転することなく、しっかりと固定されます。
高さ22~28mmの楕円・角形断面のチェーンステーに対応と記載があり、『これ、純正品かな?』と思ってしまうくらいジャストフィットでした。
おまけに取り付け部分がむき出しの金属ではなく、樹脂製のスペーサーに覆われているので傷が付きづらくなっています。
今までの失敗が馬鹿馬鹿しく思えるくらい相性が良く、都合4本購入したスタンドの中で一番低価格でした…
1点止めなので強度に不安はありますが、意図的に全体重を掛けたりなどの意地悪な使い方をしない限り、特に問題は感じません。
チェーンステーの断面が楕円または角型のファットバイクになら、お手軽に使える中々の良品と言えます。
【5】CANNONDALE エイリーン2 リアマウントキックスタンド

最近、ライド中にファットバイクに取り付けられているのを見掛け、少し気になったのがこちらのキックスタンドです。
調べてみると、CANNONDALE /キャノンデール純正のキックスタンドらしく、キックスタンド単体でも市販されている様です。
メーカー純正品だけに、キャノンデール製のファットバイク『CANNONDALE FAT CAAD』シリーズとの相性が良く、私が見掛けたファットバイクもこちらでした。
安定感のある、2点止めのキックスタンドで23mm厚までのステーに対応し、前述したcycledesign製ほどではありませんが、こちらも上部のクランプがスライドして伸びる仕組みになっていて、シートステーとチェーンステー間に幅のあるディスクブレーキ車にも対応できます。
当然、フレーム形状によっては取付け出来ない場合もありますが、キャノンデール製や類似のファットバイクになら、こちらで間違いないと思います。
まとめ

4度の失敗の末、ようやく1点止めのキックスタンドに辿り着き、数年経過した今でも愛車のアーガスエキスパートに使い続けています。
チェーンステーの形状が対応するなら1点止めのCL-KA70が個人的に一押しですが、車体に取り付けできるかどうか不安…といった方はcycledesign製キックスタンドを選んだ方が良いでしょう。
余談ですが、CANYON/キャニオン製やSALSA/サルサ製に代表されるカーボンフレームのファットバイクにキックスタンドを取付けるのは厳禁です。
カーボンファットを選ぶような方は流石にスタンドなんて使わないと思いますが、どうしても必要だと言う場合はトピーク製の『フラッシュスタンド ファット』や米国製の『Click-Stand/クリックスタンド』なんかがオススメですね。

これらは長時間の駐輪には不向きですが、ちょっとした買い物やSNS・ブログ用に愛車を撮影する際などに大変重宝します。
立て掛ける壁やポールの類が一切不要で自立しますし、地べた駐輪でグリップエンドやペダルを傷める心配もありません。