秋をすっ飛ばして冬がやって来た。
世間ではそんなふうに囁かれていますが、それはご当地も例外ではありません。
おそらく今年は最後になるであろう秋晴れの下。
休眠明けのファットバイクで、足慣らしを兼ねた不具合確認ライドに出発することにしました。
この時期は冬至を前に太陽が南に傾いているため、正午過ぎでも黄昏時のようなオレンジ掛った日差し。
前回の更新で、フロントフォーク正面が夏場の紫外線で色褪せてしまったとお伝えしましたが、あらためて直射日光下で確認してみると、凝視してようやくわかる程度のダメージで済んでいました。
晩秋の日差しがそう見せているだけかも知れませんが、ひとまず胸を撫で下ろせそうです。
結局、カーボンフレームの紫外線対策には効果の高い「303 プロテクタント」を使うことに決めましたが、国内では品薄傾向にあるらしく、入手までの繋ぎとしてタクリーノ「ロードコートワックス」のUVカット効果で応急処置。
昨年まではフルサスMTBからファットバイクへのバトンタッチだったのに対し、今年はMTBの後釜に座ったグラベルロードからのバトンタッチ。
アスファルト上を走ってみるとペダリングが想像以上に重く、毎年この時期に感じるギャップが更に大きくなったことを痛感します。
また、ファットバイクはデカくて重いタイヤの影響から、コーナリング時にアンダーステア気味な挙動になりがち。
一般的なスポーツ車から乗り換えると、「あれ?なんか曲がりづらい……」と最初は狼狽しますが、小一時間も走ると体が勝手に慣れてくれます。
26インチホイールのファットバイクに乗っていた頃は、毎年お約束のように感じていた挙動ですが、27.5インチホイールのサルサ ベアグリースだと、僅かに曲がりづらさを感じる程度でしょうか。
タイヤは27.5 x 3.8インチのMAXXIS MINION/マキシス ミニオン。
フロント用がFBF、リア用がFBRと前後でブロックパターンの異なるタイヤです。
本来はトレイルを最も得意とするタイヤですが、27.5インチファットバイクにはオンロード向きなタイヤが全く存在していないため、転がりの良いこちらを無雪期用のタイヤとして流用。
ファットバイク用のタイヤは高価なので、あまり贅沢な使い方はしたくありませんが、モノが無いのですからどうしようもありません。
因みに、このタイヤは雪道にはあまり向いておらず、緩んだ雪質でのトラクションは散々ですが、今年は暖冬と聞いているので、このタイヤのままでウインターシーズンを丸々過ごすなんて可能性も。
昨シーズンは26インチホイールにSURLYのBUD&LOUという雪道最強の組み合わせで大半を過ごしていましたが、今シーズンは雪道での走破性を比較する意味で、27.5インチホイール縛りに挑戦するつもりでいます。
走り始めてすぐに気づきましたが、ブレーキまわりに不具合を発見。
厄介なことに、リア側の油圧式ディスクブレーキが全く効きません。
最初はエア噛みを疑いましたが、左手に感じるレバータッチは正常なまま。
レバーを強く握り込むと、電車の警笛のようにけたたましく鳴くので、ローターとパッドが油脂で汚染されている可能性が高いです。
ここまでブレーキが効かなくなるのは初めての経験ですが、原因に全く心当たりがありません。
途中の下り坂でブレーキングを繰り返して、ローター表面の油分を熱で飛ばす方法も試みましたが、ローターの鳴きが止んだだけで、ブレーキ機能は殆ど回復しませんでした。
ローターは台所用の中性洗剤・重曹・自転車用ブレーキクリーナー・シリコンオフなどで辛うじて脱脂できますが、厄介なのは汚染されたブレーキパッドの方ですね。
メタルパッドなら煮沸したりバーナーであぶったりと対処法があるのですが、樹脂系のレジンパッドやセミメタルパッドにはこの方法が適さず、メタルよりも内部に油分が染み込みやすい性質があるとのこと。
パッド表面を番手#80くらいのサンドペーパーで、一皮剥いてあげると回復することもありますが、洗浄・脱脂をあれこれ試しても成功率はザオラル以下なので、素直に新しいパッドに交換した方が良さそうです。
出費を強いられますが、対応するブレーキパッド「G05S-RX」は1000円程度と安価なのがせめてもの慰めですね。
一方、ドライブトレインは特に問題はなく快調そのもの、変速も小気味よく決まります。
昨シーズンにチェーンラインも調整し、スプロケ最大ギア&クランク逆回転でチェーン落ちが発生する「バックペダリング問題」も解消済み。
チェーンリングはGARBARUK/ガルバラックの28T、スプロケはe*thirteen/イーサーティーンの「Helix R 12-speed」という組み合わせで、Helix Rはトップ9Tが使えます。
ファットバイクだとトップ9Tがあまり活きませんが、利点は障害物対策としてチェーンリングを小さくできることくらいでしょうか?
因みに、トップ9Tと28Tチェーンリングの組み合わせは、トップギア時にチェーンとチェーンステー間のクリアランスが結構ギリギリになるので、干渉しないように薄手のチェーンステーガードを使ってます。
不具合という程ではありませんが、先代ファットバイクから受け継いだグリップがそろそろ寿命。
べとつきはありませんし実用にも問題はありませんが、素材表面がポロポロと剥離し始めていて、外観に毛玉まみれのセーターのようなみすぼらしさが漂います。
このODI「DREAD LOCK V2.1」は、握り心地、軽量さ、クッション性、グリップ感と全ての面で私の好みに合っていて、付け外しが容易なロックオン式グリップの中では一番のお気に入り。
非ロックオン式まで含めるなら、ESIのCHUNKYシリーズやWOLFTOOTHのFATPAWなどのもちもち系フォームグリップにその座を譲りますが、これらには一度取付けたら容易に取外しできないという欠点があるのですよ。
グリップを新調するのは間違いありませんが、後釜選びは地味に悩む部分ですね。
さて、ライド中に一番気になったのがこの部分、春先に交換したばかりのSURLY MOLOKO BAR/モロコバーです。
以前はここまでハッキリとは感じませんでしたが、MTBのライザーバーに慣れ切った私には、微妙な前傾姿勢がジワジワと効きます。
バックスィープ角が34度もあるため手首への負担が軽く、ママチャリかと思うくらい腕まわりや肩まわりをリラックスさせて乗れる良ハンドルなんですが、ライズがゼロという点がどうにも私には合わない模様。
使用感は上々のモロコバーでしたが、ファットバイクはライザーバーへの交換が濃厚ですね、余ったモロコバーはグラベルロードにお引越し……そんな第二の人生を送らせるのも面白そうです。
秋晴れの中、あてどなく30kmほど走ってみましたが、最後はいつもの場所でパシャリと記念撮影。
久々のファットバイクで楽しくライドできたものの、ブレーキパッド・ハンドル・グリップの交換は積雪がある前に済ませたいところ。
既に大半のカスタマイズが完了しているサルサ ベアグリースですが、もしかするとシフター&リアディレイラーをスラム製からシマノ製に交換するかも知れません。
スラム製は円安や米インフレの影響で消耗品のチェーンすら高級品になってしまい、財布には厳しい限りですからね……シマノ製の方が少しはマシだろうという判断です。
余談ですが、最近は撮影時のクランクアーム角度でお悩み中。
シートチューブと同じ斜め下の角度に合わせる派と、チェーンステーと同じほぼ真横の角度に合わせる派に分かれるそうですが、世間的にはどうなんでしょうね?
バイクメーカーの写真だと、チェーンステー派が大多数みたいですけど。