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復活なるか?油が付着したブレーキパッド&ローターの脱脂・洗浄に挑戦

復活なるか?油が付着したブレーキパッド&ローターの脱脂・洗浄に挑戦イメージ01

笑えるほど、ブレーキが効かない……

少し前に休眠から目覚めさせたファットバイクでしたが、一発目のライドでリア側の油圧式ディスクブレーキに不具合が発生。

レバーを強く握り込んでも、ローターがスルスルと滑ってしまい、ブレーキパッドとローター間にこれっぽっちも摩擦を感じません。

過去にエア噛みも経験していますが、その時のようなレバータッチの変化はなく、制動力の極端な低下とローターの鳴きが顕著。

この症状から見るに、パッドやローターが油分に汚染されてしまっている可能性が高いです。

駄目もとで、意図的にブレーキングを繰り返し、ローターの発熱で油分を飛ばす小技も試してみましたが、鳴きが静まっただけで、ブレーキの効きは殆ど回復しません。

これは間違いなく油分の仕業……しかも、ブレーキパッド側がやられている。

フロントブレーキには全く問題がなかったので、そのままライドを続行しましたが、直前まで室内で長期保管していた車体だけに、原因に全く心当たりがありません。

こうなってしまうと、ブレーキキャリパーをクリーニングして、ディスクローターとブレーキパッドも脱脂・洗浄する流れになりますが、パッド側まで汚染が及ぶと回復の可能性が一気に遠のくのがお約束。

自転車整備のプロも、労力に見合わないのでブレーキパッドを交換した方が手っ取り早いし確実、そんなアドバイスをしていた記憶もあります。

ローターは自前でクリーニングして、パッドは1000円くらいなので素直に交換しよう!

当初はそんなつもりでいましたが、ここまでブレーキが効かなくなった経験は皆無ということで、DIYでどこまで制動力を復活できるのかを、試してみたくなりました。

労力に見合っているかどうかはわかりませんが、今回は油分に汚染されたブレーキパッドとディスクローターの脱脂・洗浄に挑戦してみます。

やり方は簡単?ブレーキパッドとディスクローターの脱脂・洗浄方法

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さて、「挑戦」なんて大層な言葉を発していますが、通常のブレーキメンテナンスと大きな違いは無く、いつもより入念に作業してあげるだけです。

いつもならローターは外さずに、イソプロピルアルコールで軽めにクリーニングするだけに留まりますが、今回はホイールから取外してからの作業。

もちろん、ブレーキパッドもキャリパーから取外し、ついでにブレーキダストで汚れたキャリパー本体もクリーニングしておきます。

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クリーニングが容易なローター側から確認してみますが、ライド中のブレーキング多用でローター表面の油分は殆ど飛んでいる様子。

表面に焼き付きとパッドによる摩耗が見られるだけで、表面がヌルつくといった異常は特にありません。

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続いてパッド側を確認してみると、今までに見たことが無いくらいの汚れっぷり。

これじゃあ、効かなくなる訳だ……ひと目でそれが理解できるほど、パッド表面には真っ黒なタール状の汚れがこびりついていました。

SLX 7100用ブレーキパッドは、最初から下部が斜めに面取りされていますが、そのおかげでローター接触面との汚れ具合の差がハッキリとわかります。

ブレーキダストというよりも、チェーンやスプロケに付着しているオイル汚れに近い質感で、レジンパッドの内部まで油分が染み込んでいる疑いも出てきました。

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まずはディスクローターから手を付けますが、私は回転式の電動歯ブラシを洗浄用として使っています。

もちろん、使い古しの歯ブラシでも構いませんし、ローター限定ならブラシよりも新品のスポンジの方が使いやすかったりしますが、電動歯ブラシは作業効率が段違い。

洗浄には、どこのご家庭にもある台所用洗剤を使い、特別なディグリーザーなどは不要です。

重曹を使う方法もありますが、ローター側は台所用洗剤の方が相性が良く、使用する洗剤は「JOY」「マジックリン」あたりが鉄板。

「JOY」は中性「マジックリン」はアルカリ性、アルカリ性はアルミ素材と相性が悪いと聞きますが、洗浄するパーツにアルミ素材は使われていないので、この用途に関しては気にする必要は無さそう。

洗い方に特にコツなどは無く、洗剤はケチらずに使い、ローターの表面と裏面の外周部を集中的に洗い上げるだけです。

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お次は油汚れのひどいブレーキパッドですが、こちらにはひと手間加わります。

パッドは内部まで油分が浸透している可能性があるので、台所用洗剤で表面を洗浄した後に紙ヤスリでパッド表面を削る工程が追加。

表面を削った後、最後にもう一度パッド表面を洗浄して終了です。

注意点として、油汚れがひどい場合は、ブラシの使いまわしにも気を遣いましょう。

ローターでもパッドでも、使った後はブラシはしっかり洗った方が良く、使い古しの歯ブラシなら一回限りで使い捨てるのも手です。

因みに、パッド側は台所用洗剤以外にペースト状にした重曹も効果的。一応、弱アルカリ性なので注意点はマジックリンと一緒ですね。

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両者を洗浄し、使い捨てウエスで水分をしっかり拭き取った状態がこちら。

ローターはここで終了してもいいくらい表面がキュキュとしていて、ウエスで水分を拭き取った際も汚れ移りが一切ありませんでした。

また、先ほど説明したように本来ならパッド表面を紙ヤスリで削ぎ落しますが、今回はパッド表面の状態を確認する目的で、洗浄を一回のみに留めています。

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まだ水分が残っているせいもありますが、タール状の汚れは落ちたものの、パッド表面はまだ剣呑な雰囲気。

パッドを煮沸したり、バーナーであぶって油分を飛ばす方法もありますが、これはメタルパッドに向いた方法で、恐らくレジンパッドには非推奨。

やはり、紙ヤスリで表面を一皮剥いてあげた方が良さそうです。

平面な机や作業台の上に#80番手の紙ヤスリを敷き、パッドの平面を維持するように押し付けながら研磨。

パッド側を手に持ちながらスライドさせ、表面を0.5mmほど削ぎ落しますが、紙ヤスリが目詰まりしやすいので定期的に削りカスを除去します。

因みに、紙ヤスリは水研ぎ用ではなく空研ぎ用を使っています。今回はレジンパッドですが、仮にメタルバッドでやるなら、番手はもう少し粗目にした方が良いかも知れません。

その辺りのチョイスは、お好みでどうぞ。

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さて、ここからは仕上げの作業、ディスクブレーキ用のケミカル類を使用します。

現時点で、ディスクローターは台所用洗剤で洗浄、ブレーキパッドは洗浄⇒表面研磨⇒洗浄が完了した状態。

台所用洗剤では落とし切れなかった油分や、入り組んだ部分に残った油分を脱脂する目的で、自転車専用のディスクブレーキクリーナーでとどめを刺します。

手持ちのディスクブレーキクリーナーはマックオフ「Disc Brake Cleaner」フィニッシュライン「Bicycle Disc Brake Cleaner」といった有名処。

それに加えて、今回は自動車用のシリコンオフことホルツ「シリコンリムーバー」も使ってみます。

シリコンオフは本来はスプレー塗装前の下処理として、シリコン・ワックス・油分などの除去に使われますが、調べてみると、場所に寄ってはディスクブレーキの脱脂にも使えることのこと。

一応、余計な成分が浸透しても困るので、今回はローターのみに使うことにしました。

因みに、ディスクブレーキクリーナーはマックオフ製が気持ち遅乾性気味、フィニッシュライン製が速乾性といった違いがあり、フィニッシュライン製は塗布後にウエスでの拭き取り作業が不要です。

溶剤の吹き出し量などの使用感にも違いがあり、フィニッシュラインの方が減りが早いですね。

手持ちのフィニッシュライン製は残り少ないので、今回は使わない可能性が大。

あくまでも私個人の印象ですが、マックオフはオフロード車向き、フィニッシュラインはオンロード車向きな気がします。

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まずはディスクローターの仕上げ。

シリコンリムーバーを裏表に吹き付けて濡れ濡れにしてから、使い捨てウエスで拭き取ります。

その後、マックオフのディスクブレーキクリーナーも同じように吹き付け、溶剤がある程度揮発するのを待ってから、使い捨てウエスで拭き取って完了。

台所用洗剤とは相性の悪い、穴や入り組んだ部分を集中的に脱脂してみましたが、ローターの手触りは洗い立ての食器のような仕上がりに。

因みに、コットン製の使い捨てグローブを着けて作業していますが、手からの皮脂はあまり気にしなくても良いらしいです。手の皮脂がそんなにギトギトだったら、まずは病院に行きましょう。

初めてシリコンオフをローターに使ってみましたが、問題なく脱脂できました。

専用のディスクブレーキクリーナーよりもコスパが良く手にも入りやすいので、ローターの定期クリーニングで重宝しそうな予感。

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続いてブレーキパッドの仕上げ。

こちらにはシリコンリムーバーは使わず、マックオフのディスクブレーキクリーナーのみ。

パッドを斜めにして溶剤で洗い流すようにクリーナーを吹き付け、ローターと同様に溶剤がある程度揮発したら、使い捨てウエスで拭き取って完了。

先ほどは触れませんでしたが、マックオフ製は10分かそこらでは溶剤が完全乾燥しないので、5分程度待ってから拭き取ってもOKです。

紙ヤスリで一皮剥いた甲斐あって、パッド表面は画像右の新品パッドに近い仕上がりとなり、拭き取った際も真っ白なウエスが少しも黒くなりませんでした。

さてさて、ローター&パッドの取外し、脱脂・洗浄、車体への再取付け、ここまでの作業がおよそ一時間。

新品のブレーキパッドの価格とほぼ同じ、時給1000円分を費やした作業は陽の目を見るのでしょうか?

まとめ

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ブレーキの効きを確認するために、近場の神社までプチライドに。

パッドとローターを脱脂・洗浄した後は、ブレーキのアタリが少なからず甘くなるので、道中は意識してリアブレーキを多用しました。

ローターにドリンクボトルの水を掛け、わざと濡らしてからブレーキングを繰り返すと、早くアタリが出てくれるそうですが、今回は試さずにそのままの状態。

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さて、肝心の結果ですが……まさかの完全復活です。

私の記憶にあるリアブレーキの効き具合と何ら遜色なく、意識してアタリを出す必要すらありませんでした。

フルブレーキでも余裕で進んでしまう悪夢のようなユルユル加減が嘘のようで、レバーを強く握り込むとしっかりとタイヤもロックします。

幸い、油分によるブレーキパッドの汚染は軽微だったようで、どちらかといえばパッド表面に付着したブレーキダストが油分を吸っていたのが原因でしょうか。

フロントブレーキの状態は未確認なので、同じ轍を踏む前にブレーキダストくらいは取り除いた方が良さそうですね。

取り合えず1000円浮いたので、夕食がちょっぴり豪華になるかも知れません。

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