私が所有している自転車がミニベロとファットバイクということもあり、着用するサイクルウェアの大半は街着や普段着と大差のない代物です。
春先にユニクロのスリムフィットセルビッチジーンズを購入し、ミニベロ出走時に何度か着用したのですが、トータル100km程度の走行でお尻の部分に毛羽立ちが生じ、その部分にだけ極端な色落が発生してしまいました…
ユニクロのジーンズだからじゃないの?と思うかもしれませんが、今どきのユニクロ製ジーンズはセルビッチに限りそれほど低品質ではありません。
少し気になって確認してみると、所有している他ブランドのコットン製ジーンズにも同様の症状が現れ始めていて、これはユニクロ製のジーンズに限った話ではなさそうです。
ロードバイクやクロスバイクを通勤や通学に利用すると、生地の薄いスラックスなどは簡単に穴が開いてしまうそうですが、耐久性に優れるジーンズがこれほど短期間で劣化するとは全く予想していませんでした。
カジュアル派の私としては、今後もジーンズをサイクルウェアとして使い続けたいので、ジーンズを快適に穿ける季節が再び巡ってきたのを契機に、自転車用ジーンズと名高いSWRVE(スワーブ)のコーデュラデニムパンツを試しに購入してみることにしました。
やっぱり化繊のパンツが強い?
所有するパンツのお尻部分を確認した際にあらためて思いましたが、化学繊維混紡のパンツはコットン製よりも耐久性が断然上ですね。
元々トレッキングやウォーキング、低山用に所有していた化繊のパンツはサイクルウェアとしても優秀らしく、結構な頻度で着用したにも関わらず、殆ど劣化が見られませんでした。
当然のことながら、化繊の混紡率が高いパンツの方が劣化が少なく、化繊100%のトレッキングパンツは殆ど無劣化です。
興味深いことに、丈夫さよりも快適さを重視したクールマックス素材混紡の夏用ジーンズもなかなかの耐久性を見せていて、コットン製と比べると劣化は微々たる物でした。
ひょっとしたら、化繊混紡率が高めなディッキーズのワークパンツなんかも、サイクルパンツとして通用するかもしれませんね。
因みに、私がヘビーローテーションで使っているジーンズはパタゴニア製のPerformance RegularFit Jeans(パフォーマン スレギュラーフィット ジーンズ)という製品で、登山やスポーツ全般に使える万能ジーンズです。
化繊を30%混紡していますが、数年で劣化してしまうポリウレタンを使用しないメカニカルストレッチと呼ばれる機能が採用され、3年ほど使い込んでも目立った劣化が見られない、唯一無二の逸品です。
自転車用ジーンズもパタゴニア製のコレで十分かな?と思ったのですが、レングスや裾幅が自転車用に設計されていないので、裾バンドが必須なのが少し煩わしく、そこが唯一のマイナスポイントでしょうか。
SWRVE(スワーブ)の自転車用ジーンズ
自転車用のジーンズを購入するにあたって、サイクルウェアとしての機能性は勿論のこと、ポリエステル以上の耐久性を誇るナイロン混紡である点にも注目しました。
リーバイスのコミューターや同じくリーバイスのスケートボーディングコレクションなども候補に上りましたが、カジュアルウェア顔負けのシルエットの美しさと、自転車向きに設計された裾幅の狭さが決め手になり
LA発のブランドSWRVE(スワーブ)の自転車用ジーンズ『Codura Denim Pants/コーデュラデニムパンツ』を購入することになりました。
私が選んだのは、2017年モデルのスキニータイプでカラーはインディゴではなくブラックです。
名称にある通り、このジーンズは耐久性に優れたコーデュラナイロンが混紡され、コットン55%、ポリエステル30%、ナイロン15%の構成になっています。
速乾性やストレッチ性を高めるために化繊を混紡したジーンズは珍しくありませんが、ジーンズらしさを残すためなのか、化繊の混紡率は30%くらいが上限で、50%に迫る混紡率のジーンズは珍しいかも知れません。
実際に手で持ってみると見た目よりも軽く、生地の厚さはライトオンスよりも若干ボリュームがあるくらいでしょうか。
化繊のパンツというと、ディッキーズ製ワークパンツの様に最初はバリバリに硬めな印象があったのですが、意外なほどしなやかな質感をしていて、手触りも柔らかです。
細部をチェックしてみると、トップ画像に見られる様な凝った作りのフロントボタンが印象的です。
ジーンズ特有のレザーパッチは省スペース仕様で、真っ黒なパッチがウエスト部分に控えめに設けられています。
ウエスト周りの作りで感心させられたのがベルトループで、全部で8箇所と普通のジーンズよりも多く、実際にベルトを通して穿いてみると、不均等な配置の絶妙さと使い勝手の良さに驚きます。
更にこのジーンズは自転車用と謳うだけあって、股上の作りに工夫があり、前傾姿勢でも前股上は腹部を圧迫しないように浅めに、後股上は背中が露出しないように深めに設計されています。
ユニクロに代表される最近のジーンズはシャツインに対応するため、総じて股上が浅めに設計されていますが、この前後差が不十分だと腰回りに妙な落ち着きのなさと着心地の悪さを感じます。
スワーブのコーデュラデニムには、腰回りを優しく包み込むような安心感のある着心地で、他のジーンズには後戻りできないくらい着用感が良いです。
また、開脚が楽に出来るようにとの配慮から股合わせ部分にも工夫があり、グラミチのクライミングパンツなどでお馴染みのガゼットクロッチ仕様となっています。
股の部分にマチが設けられジーンズ特有の突っ張った様な圧迫感を微塵も感じず、楽にに足を動かすことが出来ます。
頻繁に動く膝部分にも手抜かりはなく、トレッキングパンツの様にダーツの設けられた立体裁断になっています。
サイクルパンツとして使う場合、どうしても気になるのが裾部分の作りです。
ロールアップすると、自転車用パンツでは定番のリフレクターが現れ、裾幅自体もスキニーフィットとあって17cmと狭めな作りです。
通常のジーンズでは裾幅が18cm以上になると裾バンドが必須ですが、スワーブは裾から膝にかけて無理なくテーパードし、多少余裕を持たせてフィットする絶妙なサイズ感に仕上がっています。
ロールアップや裾バンド無しでも問題なく乗ることができ、ストレッチ頼みのスキニージーンズにありがちな、タイツ的なフィット感は微塵もありません。
自転車用ジーンズということで細部にわたって実用的な仕様が見受けられますが、私が一番驚いたのは実はカジュアルウェアとしての側面です。
全体的に見ると、クライミングパンツやトレッキングパンツの長所を上手く落とし込んだスキニージーンズという印象なのですが、とにかく抜群にシルエットが美しいのです。
私は過去にジーンズにハマっていた時期があり、見た目がスワーブよりも綺麗なスキニージーンズを他にも幾つか知っていますが、圧迫感のない着心地と見た目の美しさを、これほど高いレベルで両立させているジーンズは滅多にありません。
カジュアルウェア顔負けのスキニージーンズと言っても過言ではなく、正直サイクルウェアだけに使うには惜しいと思ってしまうくらいです。
SWRVE(スワーブ)のサイズ感と注意点について
今回、スワーブのコーデュラデニムパンツを購入してみて製品自体には大変満足していますが、少しだけサイズ面で気になる点がありました。
本来ならもっとサイズが豊富でレングスの選択肢も多いのですが、残念なことに現時点で日本国内で入手できるスワーブはウエストサイズがW30インチやW32インチなどの偶数サイズに限られ、レングスもL32インチ(約81cm)のみとなっています。
スキニーやテーパードパンツはもともとレングスは短めな仕様ですし、標準的な日本人の体型ならば不自由はないと思いますが、せめてウエストサイズくらいは1インチ区切りで選びたいとこでしょうか。
さて、私は前述の通りCodura Denim Pants(コーデュラデニムパンツ)のスキニータイプを購入し、サイズはW32、L32を選びました。
近郊に取り扱いのある実売店がなかったため、サイズ選びには慎重になりましたが、いつものW30かW31を選ばず、保険をかけて大き目のW32を注文しました。
ジーンズが無事到着し、最悪返品覚悟で脚を通して見たところ…サイズが大き目な筈が、何故か適度に余裕のあるジャストサイズです。
これは少し変だと、気になって各部を採寸してみると、スワーブのカタログスペックや販売店のサイズ表とは随分差があり、間違いなくW32サイズなのに2サイズ下のW30サイズに近い値でした。
因みに私が実寸した数値は以下の通りです。
【ウエスト】76cm(平置き)、78cm(円周)
【レングス】81cm
【ヒップ】104cm
【股上】23cm(前)、29cm(後)
【わたり幅】29cm(股合部)、28cm(股合部下10cm)
【膝幅】19.5cm
【裾幅】17cm
細身のスキニージーンズですが、自転車用なのでわたり幅には十分に余裕が持たせてあり、スキニーにありがちなピチピチ感は殆どなく、どことなくジョッパーパンツを思わせる作りです。
わたり幅は実寸で29cmとカタログスペックの33cmよりも小さい値ですが、股部分のガゼットクロッチを含めると、この値に近くなります。
問題なのがウエストサイズで、数値だけ見るとW30サイズと同じくらいです。最初は販売店側のサイズ間違いかと思いましたが、タグやサイズ表示のテープを確認する限り間違いはなく、確かにスキニーフィットのW32、L32モデルでした。
このサイズ差が製造時に出てしまう個体差なのか、単なる表記間違いなのかわかりませんが、サイズは思い切ってワンサイズ大き目を選んだ方が失敗が少ないかも知れませんね。
より確実を期すなら、実売店で試着するか、返品&サイズ交換OKなウェブショップで購入しましょう。
まとめ
サイクルウェアに限らず、カジュアルウェアでも本当に自分が満足できる製品に出会えるのは年に一度あるかないかです。
そういう意味では、今回のスワーブ製コーデュラデニムはまさに大当たりと言えるでしょうか。
スワーブからはスキニー以外にも通常のレギュラーシルエットもリリースされているので、細身が苦手な方にもウケが良いかもしれません。
個人的にこの穿き心地とシルエットの美しさが相当気に入ってしまったので、フォーマル寄りにも使えるMIDWEIGHT WWR TROUSERが早くも気になりはじめています。
言い忘れましたが、インディゴやブラックなどのカラーに関わらず、スワーブのコーデュラデニムも色落ちや色移りするので、白いトップスや小物、白いサドルを使用する際はくれぐれも注意しましょう。
もともとコットン100%と比べて、アタリが付きづらい素材ですから、経年劣化による色落ちには期待せずに、購入後や使用後は躊躇なく洗濯した方が良いかと思います。