失ってはじめて、その良さに気付く…少し気取った言い回しをしていますが、実のところ今回はサドルのお話です。
相変わらずファットバイク用のサドル選びは迷走していますが、過去に使用していたサドルの中にはベストではないものの、ベターと称せるサドルがありました。
使用していた当時はその良さに全く気付かず『このサドルもダメか…』と落胆しましたが、他のサドルに次々と乗り換えていくうちに、私の中で再評価されたのが今回の主役WTB製のサドルです。
一度は手放したWTB製『PURE V RACE』サドル
私が過去に購入したのはWTB製の『PURE V RACE』と言うサドルで、そこそこのクッション性を備えたコンフォート寄りのモデルです。
ファットバイクの元祖メーカーであるSURLY/サーリーやSALSA/サルサの製品に標準装備されていたりしますが、 アメリカ発の老舗MTBパーツ専業ブランドだけにマウンテンバイク用からグラベルロード用までバリエーションは豊富に揃っていますね。
愛好者が多く前評判の良いサドルでしたし、サドル後方がなだらかにホップした独特の形状や、高いクッション性などに惹かれて購入したのですが、期待が大きすぎたせいなのか私のお尻が軟すぎたせいなのかイマイチ効果を実感できず、短期間使っただけであっさりと手放してしまいました。
因みに、私は車体にマッチするブラウン系やレザー調のサドルを好んで使いますが、何故ブラックを選んでしまったのか当時の記憶が曖昧です。
さて、WTBの代用として次に購入したのがアデプトの『ハイライド』で、アデプトは自転車やパーツやアクセサリーの輸入販売を手がけている株式会社マルイのオリジナルブランドです。
好みの問題もありますが、両者で座面後方のフィット感や安定感に違いがあり、ハイライドを使い続けるうちに『PURE V RACE』を早計に手放したのは失敗だったか…と後悔します。
ハイライドは見た目はもちろん後部がケブラー製になっているなど、『PURE V RACE』 を強く意識した作りになっているせいか僅かな違いがより際立ちます、その後はハイライド以外にも幾つかサドルを試しましたが、重量300g程度のコンフォートサドルで『PURE V RACE』を超えるサドルには中々お目に掛れませんでした。
因みに、見た目がそこそこ良いので最近まで主力として使っていましたが、ハイライドは使い慣れると40kmくらいまでなら何とか尻痛に耐えられる良サドルです、パクリサドルと言ってしまえばそれまでですが、価格はWTB製の半分以下ですし、使用感や機能面は本家WTBに肉迫します。
冒頭でも触れましたが、私にとってアデプト『ハイライド』もWTB『PURE V RACE』もベターなサドルであって、尻痛を一切気にせず使えるベストなサドルではありません。
どうせロングライドで尻痛になるなら、少しでも軽量で見た目や使用感の良い物を選びたいと言うのが、今回WTB製サドルを再購入した一番の理由です。
念願のブラウンをゲット!WTB『PURE V RACE』サドルを再購入
今回の再購入では、やはり私好みのブラウンカラーを選びました、ブラウンの他にカモフラもあり両者ともブラックより控えめな価格設定です。
座面の素材はレザーに似せた合皮製ですが、表面が僅かにエイジド加工されているため、合皮にありがちな安っぽさは感じません。
取外した台紙にはPURE Vの名と共に座面幅148mmの記載が見られます、裏側にはレールはクロモリ、パッドはスタンダードと表示されています。
サドルの後部にはアクセントとなるWTBの刺繍やロゴマークが見られ、布製に見える部分は耐摩耗性に優れるケブラー繊維が使用されています。
サドルの裏面に目を移すと、座面の表面素材がステープルで固定されいました、雑な作りではありませんが安価なハイライドと大差の無い仕上がりなのは少し残念な部分でしょうか。
試しに計量してみると、ブラックよりも若干重く単なる色違いと言う訳では無さそうです、クッション厚の割に軽量な部類に入るでしょうか。
一般的にはブラックの方が合わせやすい色味ですし、少しでも軽いコンフォートサドルが目当てなら、こちらの方を選ぶのもアリです。
まさに実家のような安心感!久々のWTB製サドルでポタリング
さて、サドルを交換した後は40kmほどポタリングしてみました、ファットバイクでは2ヶ月ぶりの出走となり、夏バテ気味なのでかなりゆるめの速度です。
外観はアデプト『ハイライド』を使っていた時と大きく変わりませんが、白いWTBの刺繍が中々良い感じのアクセントになっていますね。
合皮の色味がハイライドよりも暗めなので、以前よりも少しだけ落ち着いた印象になったでしょうか?タンウォールのスリックタイヤに良くマッチしています。
肝心の使用感ですが、『あ~これだ!これだ!』と言ったなつかしい感覚があり、久々に帰郷して過ごす実家のような安心感があります。
正直、全体的な評価はハイライドと大差はなく、やはり30~40kmほど走るとお尻に違和感が出始めますが、サドル後方に腰を下ろした際の安定感やフィット感はWTB製の方が心地よく感じました。
座面の中部と後部では使用感に結構な違いがあり、なだらかにポップしたサドル後部にどっしりと腰を落ち着けるのが、このサドルの定位置なのかも知れませんね。
まとめ
ベストではなくベターなサドルと言うことで、アデプトのハイライドやWTBのPURE Vを話題にしてみましたが、個人的に重量が300g程度のコンフォートサドル単体では、走行距離40km前後が快適さの上限だと思っています。
野暮ったい見た目を気にせず、400gを優に超えるゲル入りサドルや低反発サドルまで選択肢を増やすなら、単体で使用しても尻痛に悩まされないベストなサドルが見付かるかも知れませんが、今回紹介した軽量コンフォートサドルのままロングライドに挑むなら、サイクルインナーパンツやクッション付きのサドルカバーを併用する事をおすすめします。