もう二度と手に入らない……
趣味としての自転車歴が長くなると、そんなパーツが幾つもあります。
私にとって特に思い出深いのが、ミニベロ用タイヤの「SCHWALBE ONE/シュワルベワン」
このタイヤは当時、ミニベロ最速タイヤと呼ばれていました。
20インチ451ホイール用として唯一無二な存在感を放ち、20×1.00サイズでタイヤ幅は25C相当と、現在の風潮からするとやや細身なタイヤですね。
180gと軽量な上に転がりも良く、タイヤ交換の直後はあまりの激変ぶりに、ある種の感動すら覚えました。
ミニベロで初めて走行距離100kmを達成したタイヤということもあって強く記憶に残っていますが、2020年頃に唐突な生産終了を告げられます。
後釜として、仕様の近かったPanaracer「 Minits Lite/ミニッツライト」も考えましたが、このミニッツライトは23Cと細く、路肩のグレーチングにすっぽりハマる危ういサイズ感のため泣く泣く断念。
その後、シュワルベのリニューアルも含め幾つかのミニベロ用タイヤがリリースされるも、廃番となったシュワルベワンに匹敵するような製品が現れないまま、20インチ451ホール用のタイヤは選択肢が激減するという不遇の時代に突入しました。
406ホイール用タイヤの充実っぷりを尻目に、もう走行性重視の451ホイールの復権はないのでは……と諦めかけていると。
有難いことに、私の願いを叶えてくれる製品をリリースしてくれるメーカーが現れました。
しかも随分前からその製品は存在していて、近々リニューアルもされるとのこと。
さて、出だしからオッサンの思いで語りが過ぎましたが、今回は451ホイール対応のミニベロ用タイヤ、IRC「SIREN COMP RISE」に注目してみましょう。
ミニベロタイヤはIRCが穴場?良品多しな「SIREN」シリーズ

恥ずかしながら、MTBやグラベルバイクのタイヤ目当てで頻繁に公式HPを閲覧していたのに、ミニベロタイヤの充実っぷりには最近まで全く気付いていませんでした……
ミニベロ用のタイヤはシュワルベ・パナレーサー・タイオガといった有名処や台湾のDUROやCSTあたりが定番だと思っていたので、IRCは完全に盲点。
一応、IRCにも20インチ451ホイールに対応する「ROADLITE for MINIVELO」が存在するのは知っていましたが、重量220gでワイヤービードとスペック的にパッとしなかったため気にも留めていませんでした。
現在、IRCの小径タイヤで主軸となっているのが上画像のBMX用「SIREN/サイレン」シリーズ。
うろ覚えですが、東京五輪のBMX競技に合わせてリリースされたと記憶しています。
そのサイレンシリーズの中でフラグシップモデルといえるのが「SIREN PRO RISE」で、旧モデルの「SIREN PRO」の後継となります。
新旧どちらもトレッド面中央にノブの無いセンタースリック仕様で、旧モデルはセンタースリックかつダイヤモンドパターンという組み合わせでした。
また、どちらもチューブレスレディに対応しているBMX競技用タイヤとなり、タイヤ幅40mm以上とオンロード用ミニベロには不向きな仕様。
しかも、対応するのが20インチ406ホイールのみで、どうあがいても451ホイールのミニベロには取付けが出来ません。

そこで注目したいのが、同じシリーズの「SIREN COMP」の方です。
こちらはチューブレスレディには未対応なものの、SIREN PROの技術が注入されたより軽量で細身な仕上がり。
サイズ展開も豊富で、406ホイールだけでなく451ホイールにも対応してくれるのが最大の魅力。
因みに、タイヤサイズ表記は【小数点】⇒406ホイール用、【分数】⇒451ホイール用といったルールがあるので、購入時は対応サイズを間違えないように注意しましょう。
SIREN COMPもれっきとしたBMX用タイヤですが、PROと同様にトレッド面の中央にノブが備わっていないセンタースリックタイヤ。
こちらも旧モデルの「SIREN COMP」から後継となる「SIREN COMP RISE」へのバトンタッチが予定されていて、この記事を書いている時点でRISE版はまだ未リリース。
SIREN COMPシリーズもセンタースリックにつき転がりが良く、コーナー時には低めのサイドノブがしっかりと路面をグリップしてくれる仕様。
トレッド面中央にノブが存在しないため舗装路との相性も良く、その用途はBMX競技の枠内には収まりきらない印象でしょうか。
今のところ、20インチ451ホイール用に使えるのは以下の2サイズで、他に20インチ406用と24インチ520用もラインナップされています。
●20×1 1/8 (ETRTO28-451)
●20×1 3/8 (ETRTO37-451)
個人的に最も驚かされたのがその軽量さで、引退前の現行モデルである「SIREN COMP」の場合で28Cが180g、37Cが260gと、ノブ付きながらオンロード用タイヤに全く引けを取りません。
特に、20×1 1/8(ETRTO28-451)の軽量さには目を見張る物があり、重量面だけならミニベロ最速タイヤと謳われたSCHWALBE ONEに匹敵します。
余談ですが、実際に「SIREN COMP」使用した方によると37C版でも実際のタイヤ幅は31mmアンダーだったそうで、ケーシングが120TIPだけに消耗が早く寿命が若干短いものの、走り心地は非常に軽快で柔らかな乗り心地と評していました。
さて、気になるのが近々登場する後継の「SIREN COMP RISE」です。
IRC公式でも重量などの情報は未公開でしたが、旧モデルの軽量さはそのままにグリップ性能と耐久性が向上しているとのこと。
RBCC2と呼ばれる米ぬか由来の硬質粒子を配合したIRC独自のコンパウンドが採用され、これは上位モデルの「SIREN PRO RISE」と全く同じ仕様。
転がり抵抗が低いのもRBCC2の特徴で、耐摩耗性やグリップ力を高めつつもタイヤが長持ちする設計になりました。
因みに、耐候性も向上していて紫外線や乾燥によるひび割れにも強くなっているそうです。
こういった情報を目にしてしまうと、後継となる「SIREN COMP RISE」が待ち遠しくなってしまいますが、実売価格は旧モデルの倍近くなるのが難点。
正直、現行の「SIREN COMP」でも重量面で見劣りはしていませんし走りも軽快そのものですから、コスパを重視するなら3000円ちょっとで買えてしまうこちらを選ぶのも悪くありません。

ついでなので触れておきますが、IRCの小径車用タイヤでもう一つ気になる製品がありました。
前述した451ホイールに対応するIRCのミニベロ用タイヤ「ROADLITE for MINIVELO」は既に生産が終了しているものの、現在そのポジションを埋めているのが上画像の「JETTY PLUS/ジェッティー プラス」
こちらは従来通りのクリンチャー専用で、サイズは20×1 1/8(ETRTO28-451)
スチールビードにつき240gと重量面は標準的な値ですが、451ホイール用としては希少なスキンサイドカラーがラインナップされていて、ミニッツライトのアンバーよりも安価な点も魅力。
IRC曰く、軽快な乗り心地と耐久性を両立させたアーバンロードタイヤとのことで、ミニベロをオールドスクール風にカスタマイズしている方にはオススメのタイヤかも知れませんね。
まとめ
個人的に盲点だったIRCの小径車用タイヤについて話題にしてみましたが、新旧「SIREN COMP」の軽量さには目を見張る物があり、SCHWALBE ONE廃番による喪失感が数年ぶりに癒されそうです。

競合しそうなのは、冒頭でも触れたパナレーサーの「Minits Lite/ミニッツライト」ですが、こちらは23C版は165gで28C版が190g。
軽さだけなら23C版に軍配が上がるものの、細身な上に完全なスリックタイヤだけに街乗りではヒヤッとする場面が多く、未舗装のちょっとした田舎道では走行を躊躇しがちなのも弱点でしょうか。
今のところ、愛用のミニベロKHS「F-20R」にはパナレーサーのミニッツタフを履かせていますが、経年劣化によるひび割れが始まっていて、いつ寿命が来てもおかしくない状態。
早々に交換用のタイヤを決めなければなりませんが、軽量でコスパにも優れる「SIREN COMP」が後釜になるのは間違いなさそう。
もともとBMX用なだけに、多少の悪路も気にせずグラベルバイク的な楽しみ方ができたりと、田舎暮らしの私には打って付けなタイヤかも知れません。

