この時期になるとお約束のように触れている話題ですが、またもや暑さに参っています。
昨年の今頃は気温38度超えが続出だったため幾分マシな印象もあるのですが、ライドへのモチベーションを保てないのは変わりません。
このまま引きこもって夏をやり過ごしたいのは山々ですが、私にとって自転車趣味は運動不足とストレス解消を兼ねた生活の一部。
昨シーズンと同様の夏を想定するなら九月中旬までは厳しい暑さが続きそうなので、不精せずにしっかりと体を暑さに慣らしておきたいところ。
難しい言い方をすると「暑熱順化」となりますが、個人差はあるものの二週間程度は必要で、汗を掻くことが必須とのこと。
自転車の場合、一回30分のライドを週三回程度するのが好ましく、このくらいなら無理なく達成できそうです。
さて、盛夏の八月。
この日の気温は30度ほどで、ここ数日では珍しく自転車日和です。
暑熱順化を目的としたライドですが、私は日光アレルギーなのでコツコツ開拓している木陰の多いルートを巡ることにしました。
暑さのせいで、グラベルロードのメンテナンスもサボり気味。
前回の注油から200km以上は走っているので、チェーンから軽くノイズが出始めていました。
夏場のガレージは蒸し暑くなるので、メンテからも足が遠のいてしまいます。
川沿いのサイクリングロードは直射日光を遮る物が殆どありませんが、ここは昼過ぎから夕方に掛けて木陰が生まれる冷涼なコース。
日影があるだけで体感がまるで違うのですから、男性にモンベルやソラニの日傘がバカ売れするのも納得ですね。
途中で今まで見たことの無い「かかし」を目撃。
知能の高いカラスに対して「おい、あそこで仲間が酷い目にあってるぞ……」といったふうに、警戒感を与える代物です。
昔は本物のカラスが見せしめとして吊るされることもあったそうですが、このプラ製タイプははじめて見ました。
木陰のサイクリングロードを経由して、集落近くの里山に。
初っ端からつづら折りの急勾配が続きますが、先ほどよりも密な木陰になっているせいかオーバーヒートせずに登れます。
ここ数年はクマの出没が頻発していて山間の道は避けるようにしていましたが、冷房とは異なる山特有の冷涼感には、どこか特別なものがありますね。
適度な湿度とフィトンチッドが含まれているからでしょうか。
坂を上り終え小休止していると、足元に青々とした夏の山栗。
場所によっては七月下旬から見られたので、今年はいつもより早くお目にかかっている気がします。
里山の途中にグラベルロード向きなダブルトラックがありました。
昨今のグラベルロード人気で、「せっかくのグラベルロードだから、やっぱりグラベルを走らないと!」
そういった風潮が少なからずあり、グラベルハントなんて言葉もチラホラ聞かれます。
舗装だらけの日本ならではの現象かも知れませんが、田舎は舗装路と農道がシームレスになっている場所も多く、グラベルロードを持て余すことが少ない気がします。
ロードバイクよりもちょっとだけ自由に道を選べる。
グラベルロードはそのくらいの気軽さで乗るのが一番心地良いですね。
里山の締め括りはご褒美タイムの下り坂。
額に滲んだ汗が木陰の冷たい空気で瞬く間に消えていきます。
これは私だけかも知れませんが、普段は嫌な向かい風も夏場だけは無条件で許せたり。
自転車に乗ると、絶えず扇風機の弱レベルの風を浴び続けている状態になるそうですが、追い風はこれが相殺されて正面が無風状態になりますからね。
里山を下った先の村落でスズメの雛に遭遇。
アスファルト上で口を開いていて、親スズメの給餌待ちなのか暑さで参っているのがが判断できない状態でした。
鳥類には汗腺が無いので口を開いて体温調整をするのですが、これで風向きを判別できたりします。
気温に関係なく鳥類はみな風上を向く性質があるので、ライド中に向かい風を避けたい時なんかはカラスを参考にルート変更するのがオススメ。
スズメは春先だけでなく二月から九月ごろまで繁殖するので、真夏に雛を見掛けても季節外れではありませんが、近くに親鳥がいる「巣立ち雛」にしては、少し発育が遅れている印象も。
自力で跳ねまわり草影に身を隠せるくらいには元気なので、これは保護したら駄目なパターンだと判断して、そのまま見守ることにしました。
昔、落ちたスズメを保護して成鳥まで育てたことがありますが、こんなに幼い巣立ち雛もいるんですね。
まだ産毛があるので、単に落ちただけかも知れませんけど……
木陰が多いルートを選んだお陰か、汗を掻きつつも久々に気持ちの良いライドができました。
暑熱順化には、これくらいのゆるさで自転車を嗜むのが良さそうです。
ライド中にふと思ったのですが、この時期から鬱陶しいほど増え始めるトンボをあまり見掛けません。
聞くところによると、2000年くらいからトンボが激減しているらしく、ここ数年の私の感覚とも合致します。
湿地の減少やザリガニなどの外来種の影響といった昔からの要因だけでなく、稲の育苗用として新たに使用されたネオニコチノイド系の農薬が致命的だったそうで、水田のヤゴが激減してしまったとのこと。
晩夏から秋に掛けては、自転車と並走するように飛ぶ赤トンボの群れが田舎の風物詩でしたが、あと数年で懐かしく思える光景になってしまうのかも知れません。