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プチ比較『チューブレス』vs『軽量TPUチューブ』の私的な感想

プチ比較『チューブレス』VS『軽量TPUチューブ』の率直な感想イメージ01

いわゆる出戻りという奴ですが、フックレスリムによるタイヤの暴発で冷や汗が出る思いをして以来、チューブレスからチューブドへと、しばしの原点回帰中です。

久々のチューブドとはいえ、そこは一度チューブレスの快適さを経験した身ですから、今更ブチルやラテックスの激重チューブに戻れる筈もなく、愛車のフルサス29erには超軽量で知られる『REVOLOOP』のTPUチューブをチョイスしました。

チューブレスに潜む危険…タイヤが外れた原因とビード落ちの予防策
チューブレス化はメリットばかりが注目されますが、使用するリムとタイヤの相性やタイヤの空気圧が適切でないと、走行中にタイヤが外れてしまうなどの大変危険なデメリットも存在します

リム幅に対して適切なタイヤを使い、空気圧の上限をしっかり守ってさえいれば過剰に心配する必要はありませんが、TPUチューブとはいえ久々にクリンチャーに戻してみると『ひょっとして…私にはこちらの方が向いているのでは?』と思う所も少なくありません。

MTBからグラベルロードへ、グラベルロードからロードバイクへと、チューブレス化が当たり前の時代が到来しつつありますが、今回はその一歩手前の選択肢として『TPUチューブはチューブレスと比べてどうなの?』といった疑問にちょっとだけ答えてみたいと思います。

チューブレスとの違いは?29erにTPUチューブ『REVOLOOP』を試す

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本題に入る前にTPUチューブの簡単な説明を兼ねて、チューブレスからチューブドのクリンチャーに出戻りしたフルサス29erの話題に触れておきますが、長くなりそうなので興味のない方は読み飛ばしてもOK。

以前に記事にしましたが、フックレスリムは俗に『タイヤの暴発』と呼ばれる、走行中にタイヤがリムから外れてしまうトラブルが起こりやすく、MTB用タイヤよりも柔らかいグラベルタイヤではそれに拍車が掛かります。

一番簡単な予防策はチューブドで運用することですが、チューブレスの代替としておあつらえ向きなのが超軽量なTPUチューブな訳です。

ご存知の通り、TPUチューブは素材に熱可塑性ポリウレタンが使われ、今までのチューブと比べて軽量かつ強度に優れる特徴があり、『tubolito』と『REVOLOOP』という二つのメーカーの製品が良く知られていますね。

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今回購入したのはREVOLOOPの29er用チューブで29 x 1.6-2.4のサイズに対応します。以前にもファットバイク用チューブで購入した経験があり、一年使っても耐久性に問題はなくTPUチューブの不具合でよく報告されているチューブの歪な変形も見られませんでした。

上画像を見るとわかりますが、流石に29er用でもファットバイク用と比べるとサイズが控えめに感じますね、ボリューム感は半分くらいでしょうか。向こうが透けて見えるほどチューブが薄く、相変わらず不安になる見た目です。

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因みに、全く同じサイズのtubolito製も既に持っていて、こちらはチューブレス運用時の携帯用ですね。TPUチューブはタイヤ内のシーラントから影響を受けないので、トラブル時にシーラントの下処理をせずに気軽に使えます。

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実重量は29er用のREVOLOOPが39g、バルブが分離できるtubolitoの携帯専用チューブ『S-Tubo』が46gでした、MTB用チューブとしては信じられない軽さですね…ロード並みです。

この両社は姉妹関係にあるそうですが、tubolito製のTPUチューブはREVOLOOPと比べて総じて重めの仕様になっています。ひょっとしたらその分だけ耐久性に違いがあるのかも知れませんね。

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どうせチューブドに戻すなら、またグラベルタイヤにしてみよう!ということで、以前使用して抜群に転がりが良かったSCHWALBE G-One Speedを再装着してみました。

このタイヤは以前パンクした際のダメージで気密が甘くなり、泣く泣くお蔵入りになっていた物ですが、トレッド面の気密が無関係なチューブドならまだまだ使えます。

待望の『REVOLOOP』超軽量ファットバイク用チューブをゲット!
ファットバイク用TPUチューブ『Revoloop.Blue Fat.』を使用した感想や取付け方法についてまとめています。常用での耐久性が未知数、パンク修理キットが無いなどの欠点はありますが、チューブレス化に迫る実力を発揮してくれそうです。

ファットバイク用のTPUチューブについて記事にした際にも解説しましたが、TPUチューブの取付けは従来のチューブとは少し異なる方法で行います。

難しくはありませんが初見殺しな側面があり、最低でも【1】『極薄なのでチューブが噛み込みやすい』【2】『途中でチューブに空気を入れちゃダメ!』【3】『チューブ単体で空気を入れ過ぎるとバーストする』【4】『バルブをタイヤ越しに押し上げながら空気を入れる』これら4つの注意点だけは守りましょう。

29erといえどファットバイクと比べるとリムもタイヤも細くなっているので、今回の取付けで私も思わぬ苦戦を強いられました。チューブの噛み込みを恐れて思わず途中で少量の空気を入れてしまったのですが、従来とは逆にタイヤに収まりづらくなりましたね…私が不器用なだけかも知れませんが。

気になるTPUチューブの走行感についてですが、重量面ではチューブレスとほぼ同じなだけに説明されないと違いに気付かないレベルです、タイヤの反響音が僅かに甲高く感じるくらいでしょうか。

29 x 2.0タイヤでチューブレス化するとシーラント+チューブレスバルブの重量が70~90gくらい、対してTPUチューブは39gと、重量面ではほぼ同じかTPUチューブの方が若干軽くなり、チューブドによるギャップはまるで感じません。

正直、リム打ちパンクのリスク以外でチューブレスに劣る印象は無く、タイヤを高圧気味で運用したり街乗り主体のMTB用でなら、チューブドでもチューブレス並みの軽快さを味わえると思います。

メリット・デメリットから見る『チューブレス』

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前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。冒頭で『疑問に答える』なんて大見得を切ってしまいましたが、ロードバイクのチューブレスは門外漢ですし、あくまでも私の経験から得た内容になるので、話半分に受け取ってもらえればと思います。

さて、一般的にいわれているチューブレスのメリット・デメリットに私の経験という隠し味を加えると、おおよそ以下のような内容になるでしょうか?

【チューブレス化のメリット】

  • リム打ちを含むパンク耐性が向上する
  • チューブ分の体積が空気に置き換わり、乗り心地が良くなる
  • チューブが無くなり転がり抵抗が軽減される
  • パンクを過度に気にせず、精神的に楽に走れる
  • 軽いパンクなら勝手に直ってくれる
  • 予備チューブなどの携行品を減らせる
  • 足まわりが軽快になりMTBやファットバイクは特に効果的

【チューブレス化のデメリット】

  • シーラント入りにつき、タイヤ交換が少し面倒になる
  • リムとタイヤの相性でビード上げに苦戦しがち
  • タイヤによってはパンク修理が困難
  • パンクがド派手で割とハズカシイ
  • シーラントがウェア付くと厄介
  • タイヤの暴発・ビード落ちの危険がある
  • 予備チューブがないとビード落ちで詰む

殆どは世間一般でいわれている内容ですが、一部に『うん?ナニコレ』と思う内容もチラホラありますよね…ここからは私個人が感じたチューブレス化のメリット・デメリットを吐露してみます。

意外に思うかも知れませんがデメリットの最たるものはチューブレスタイヤのパンクですね、確かにリム打ちパンクとは無縁になりますし、軽度のパンクならシーラントが勝手に補修してくれますが、チューブレス化したタイヤがひとたびパンクすると、場合によってはチューブドのクリンチャーよりも面倒なことが多いです。

運悪く街中でパンクしようものなら、アスファルト上に真っ白なシーラントの水たまりができ、回転するタイヤからはヘアスプレーのようにシーラントが噴き出し続けるなど、当事者の自分が思わず笑ってしまうくらい目立ちますね。

タイヤを回したり揺すったりすれば、シーラントの効果で短時間に空気漏れが収まってくれますが、実はこのシーラントそのものが悪さを働く場合があり、走行中にパンクすると路面や車体だけなく少なからずウェアもダメージを被ります。

サイクルウェアに付着したシーラントは、繊維に染込んで乾燥してしまうとちょっとやそっとじゃ落ちません。お気に入りのサイクルジャージや値の張るアウターが水玉模様にプリントされてしまうなんて悲劇もあり、最近はパンクそのものよりもウェアの状態にヒヤリとさせられますね…撥水加工が施されたウェアで難を逃れることも多いです。

さて、続いてはパンクした後の身の振り方です。場所や距離にも寄りますが出先でパンクした場合、一旦帰宅かそのままライドを続行の二択になると思います。チューブドなら多少時間が掛かってもパッチ修理やチューブ交換でライドを続行できますが、チューブレスだとこれが結構微妙な判断を迫られるのですよ。

軽度ならシーラントが穴を勝手に塞ぎ、抜けた空気をハンドポンプで補充するだけで済むのですが、タイヤの種類やシーラントの性能次第では走行中のちょっとした刺激で同じ個所でパンクが再発するなんてこともあり、気持ちの面も含めてチューブドほど安心感のある仕切り直しが出来なかったりします。

経験上、標準的なシーラントとトレッド面の薄いXC用タイヤやグラベルタイヤの組み合わせで再発しやすく、ゴツめのMTB用タイヤでは起こりづらいですね。穴を塞ぐコルク栓のようになったシーラントは壁が薄いとトレッド面と一体化しづらいのかも知れません。

最後はチューブレス化で一番疑問の多いパンク修理についてです。さて、チューブレスタイヤがパンクした場合、補修を含む後処理はどうするのが正しいのでしょうか?

【A】シーラントに任せて何もしない【B】プラグ式のリペアキットで穴を塞ぐ【C】タイヤの裏からパッチで塞ぐ【D】タイヤを丸ごと交換する

無駄にクイズ風ですが、ぶっちゃけ全部正解ですね。私の知る限りこれら四通りの方法を使い分けることになりす。

チューブレスレディタイヤがパンクした時の対処&修理方法イメージ06

過去にグラベルタイヤのSCHWALBE G-One Speedをチューブレスで使い、パンクを経験したことがあるのですが、スタンズ製の無印シーラントで穴は塞がるものの、直ぐに同じ個所が再発してしまう症状に見舞われました。

画像左のトレッド面や画像右のタイヤ裏側を見てわかる通り、噴き出したシーラントが穴を塞ぐ栓のように固まり、再スタートできるくらいの仕事はしてくれるのですが、3.0bar程度の空気圧や悪路での衝撃には耐えられず、未処理のままでは使い続けることが出来ませんでした。

チューブレスレディタイヤがパンクした時の対処&修理方法イメージ08

こりゃあ裏からパッチで塞ぐしかないぞ…とチューブと同様の修理を施しますが、ここに予想外の落とし穴がありました。転がりやスピードを重視したXC用タイヤやグラベルタイヤはトレッド面が裏側も当然のように薄く、パッチを貼ろうにもゴムの表面を荒せないのです。

紙やすりで軽く擦っただけでも内部の繊維やらフィルムやらが露出してしまい、どうにもパッチの接着が上手く行きません。

上画像はゴム糊多めで強引に接着した時の物ですが、結局タイヤの気密には不安が残り、トレッド面が薄いこの手のタイヤは【A】シーラントに任せて何もしない【D】タイヤを丸ごと交換する、の二通りの手段しか取れないことを学びました。

プチ比較『チューブレス』VS『軽量TPUチューブ』の率直な感想イメージ08

因みに、SCHWALBE G-One SpeedをTPUチューブで復活させるにあたって【1】タイヤ裏側からパッチ張る【2】タイヤ表側に靴底補修剤を盛るという手法を使っています。矢印部分が靴底補修剤を盛った部分となり、この状態でチューブを入れずにシーラントを注入すれば、チューブレスタイヤの基本的なパンク修理方法として使えます。

ここまで、チューブレス化に関するニッチなデメリットを書き連ねてきましたが、世間で言われているチューブレス化のメリットの多くは、真っ当なMTB用タイヤを使った場合にだけ発揮されるように思います。

私がXC用タイヤやグラベルタイヤを好んで使っているせいもありますが、実際にチューブレスを試してみても『思っていたほど楽じゃない…』というのが本音でしょうか。トレイルを頻繁にやらない、タイヤをあまり低圧にしない、といった条件でならリム打ちパンクとも無縁でいられますから、思い切ってTPUチューブに切り替えた方が煩わしい思いをしないで済みそうです。

まとめ

チューブレスとTPUチューブを比較してみました…というよりも、一方的にチューブレスをディスった様にしか思えない内容でしたね、思わず日頃の鬱憤が漏れ出してしまいました。

TPUチューブにも、チューブが伸びたら伸びっぱなし、チューブの使いまわしが小タイヤから大タイヤへの一方通行、チューブと同素材のバルブ本体が破損しやすい、といった欠点があるので、フェアじゃありません。

トレイル、オールマウンテン、エンデューロあたりのガチなMTBなら、チューブレス一択で間違いありませんが、ゆるMTB乗りの私には扱いあぐねる点も多く、過去の経験が活かせるTPUチューブの方が扱いやすく感じます。

大雑把にまとめると、チューブレスはパンク直後は楽だけどタイヤによっては後処理が面倒、TPUチューブはパンク直後は面倒だけど後処理は特に必要無し、といった感じでしょうか?どちらを好むかは割と性格が出そうな気がしますね。

夏休みの最終日に宿題で四苦八苦していたような方は、チューブレスが向いているかも知れません、根拠はまったくありませんケド。

余談ですが、やっぱり俺はチューブレスがイイぜ!という方はタイヤ以外にシーラントにも拘った方が良いです。スタンズ製の無印シーラントではグラベルタイヤに対して力不足でしたが、海外レビューで抜群に評価の高いMUC-OFF/マックオフのシーラントなら、私が感じた不満を解消できそうです。

このシーラントは国内では少し手に入りづらいのが難点ですが、薄いタイヤで使うなら最低でもスタンズのレースシーラントくらいは注入しておきましょう。

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