最近、ライドの中盤で早々に脚が売り切れてしまう症状が頻発。
ついに私にも加齢という避けられない運命が来てしまったのか……
そう思って落ち込んでいたのですが、本当の原因は意外なところにありました。
例年ならお花見シーズンの四月頃にはすっかり脚が出来上がっているはずが、今年は異例中の異例。
天候不順により、四月のライド数は僅か三回という事実。
流石に異常だとは薄々感じていましたが、ご当地における四月の日照時間は70時間強とのことで、昨年の1/3以下。
とどのつまり、ライドに勤しめる機会自体が殆ど無かった訳です。
1894年の観測開始以来、最も低い数値だったそうで、そりゃあ脚が鈍っても何ら不思議じゃありません。
因みに、都道府県で最も日照時間が長いのが高知県で、四月の日照時間は210時間と羨ましい限り。
さて、新緑の五月に入りいよいよGWに突入です。
長期予報によると五月に入っても天気は不安定だそうですが、久々に目の覚めるような快晴となり逆に戸惑ってしまう始末。
脚は本調子ではないものの、グラベルロードでGWライドに勤しんでみることにしました。

今回は過去数回しか利用していない山越えルートから目的地に向かいます。
頻発するクマの出没が理由で避けていましたが、GW中のせいか交通量がいつもよりも多く、これなら大丈夫だろうという判断。
この日の気温は25度と季節外れの陽気。
8%とそれほどキツくない上りが1.5kmほど続き、ピークを迎える頃には額に汗が滲んでいました。

時期的に山菜シーズンということもあり、途中で路肩に駐車している自家用車を何台も見掛け、完全装備のおばちゃんから「ガンバレ!」といった謎の声援も。
この坂はピークを越えると3.5km近く緩い下り坂が続き、クールダウンに打って付け。
おまけに殆どペダリングすることなく休憩予定の場所まで辿り着けてしまう、貧脚にはとことん優しい道のりです。

まだ20kmそこそこなので疲労感はありませんが、道の駅にある東屋で小休止。
せっかくなので軽食でもとろうと、愛車を施錠しますがABUS1500の60cm版では尺が足りず地球ロックを断念。
治安の良い場所なのでこれでも十分ですが、こんな時は長尺かつ軽量なバイスガードエアの方が心強いですね。

立地が海沿いにつき、晴天時の眺めは爽快そのもの。
GW中なこともあり、観光客やツーリングを楽しむオートバイ集団で賑わっていて、コロナ禍の閑散が嘘のようです。

毎年、この時期には必ず訪れている場所ですが、今年もツバメがせっせと営巣中。
雛にしてはデカい……思わず二度見するも、どうやらまだ抱卵中みたいです。
今年は巣の位置が人の背丈くらいで驚きましたが、人の往来が激しい場所だけに逆に襲われづらいのかも知れませんね。
買い物を終えて駐輪している東屋まで戻ると、東南アジア系の女性集団がハイテンションで談笑していました。
このままBBQパーティーに突入しそうなくらいの勢いだったので、少し離れたベンチからしばし様子見。
どうやら観光客ではなく地元で働く方々の模様。
彼女らの母国と比べると日照時間70時間なんて地獄みたいなものでしょうから、喜びもひとしおでしょう。

楽しそうにはしゃぐ彼女らを横目に、私はおやつタイム。
今回はこの暑いのにたい焼きチョイス、私はコイツと今川焼には目がないのです。
今どき珍しい作り置きナシの焼き立てで、味は変わり種のコーヒーにしてみました。
この陽気のせいか、たい焼きのお店は他店と比べて人がガラガラ。
私の注文を大喜びで受けてくれるも、注文がたった一尾と聞いてあからさまに落胆したのは見逃しません。
口の中を火傷しそうなくらいアツアツなので、保険で赤コーラも準備。
しかし……道の駅の自販機はどれも観光地価格ですし、店舗内で買えるドリンクもそれに合わせて割高ですね。
辛うじて250mlの缶コーラが100円ポッキリ、一周回って40年前と同じ価格で同じ容量なのが面白いところ。

幸いBBQパーティーは開催されず、海辺でインスタ撮影会が始まった隙にグラベルロードで再出発。
本日の目的地は幹線道路から少し逸れたところにあり、十五年ほど前に一度だけ迷い込んだことのある思い出深い場所。

目的地に近づくにつれ、私好みな田舎の風景が広がります。
水路のある農村や集落は趣深い物があり、こういった風景は特に大好物。

以前は自動車で来たため全く記憶に残っていませんが、奥に進むにつれて凝った建造物がチラホラと。
瓦屋根の建物が増え始め、生活道路に架かる橋は擬宝珠つきです。
そして、ついに目的地に到着。

ドドーン、ぱちもの城~~
俗に言う「模擬天守」という奴で、昭和40年代には全国各地に作られました。
因みに、マジ物の天守は全国で12城しかありません。
歴史的事実と異なっているため誤解を招くと批判も多かったそうですが、各都道府県に一つくらいは必ずある鉄筋コンクリート製の強固な砦です。
とはいえ、こちらの模擬天守はかなり綺麗なので、おそらくバブル期かその後に建てられたものでしょうか。
地域のシンボルとして丁寧に扱われているのが外観からも伝わってきます。

そしてこちらが堅固な城門。
セ〇ムという番兵に昼夜を問わず警護され、玻璃格子の自動扉は来客を拒まない優しさも兼ね備えます。
かつてはお食事処と土産物店が城内にあったそうですが、現在は店子を募っているとのこと。

一応、入場は無料でしたが時間の関係で攻城戦は断念。
天守からは城下町を一望できるそうで、桜が満開の時期に来たかったところ。
次に来るなら秋の紅葉シーズンが狙い目でしょうか。

GW中ということで十五年ぶりに訪れてみましたが、観光客は私ひとり……
おまけに、地域の中心地区だというのに住民の方には誰ひとり出会わずじまいで、ちょっぴりサスペンス風味。
ぱちもの城なんて失礼な言い方をしましたが、集落全体が綺麗に整っていてじっくり見て回りたくなる場所ですね。
元はれっきとした藩政時代の城下町なだけに、地域全体がナチュラルにテーマパーク化している印象でしょうか。
往復で70km弱とそれほど遠方ではないので、春と秋にはライド先の良い候補になりそう。