自分のケツは貧弱か否か?そんな自問自答をすると、まず間違いなく『ハイ、かなり…』と答えます。
数年前に趣味として自転車に乗り始めた時から、今も変わらず続いている悩みのひとつで、サドル選びには毎回苦労させられます。
世間一般でいわれている方法は一通り試していますし、乗車姿勢やら加重やら何やら、自転車に詳しい人からも、あれやこれやとアドバイスはいただいていますが…
私の場合、自動車の座席でも自転車よりも短時間で痛みが出るほどケツが貧弱なので、もやは体質といった方が正しいでしょう。因みに映画館もなかなかの拷問です。
とはいえ、そんなデリケートなお尻を備えた私にも『これが最高だ!』と長年愛用しているサドルがあります。
一部の方から『神サドル』と呼ばれているサーファスのRXシリーズがそれで、私は『RX ADVANCE』をミニベロに、『MH-RX ハイパフォーマンス』をフルサス29erに使用しています。
画像中央がMH-RX ハイパフォーマンスで、画像左のぼってりしたサドルがRX ADVANCEになりますが、残念ながらミニベロで愛用していたRX ADVANCEがそろそろ寿命を迎えようとしています。
乗り心地には大変満足していましたが、やはりこのボリュームのある見た目には少なからず不満があり、次期サドルはフルサス29erと同じスリムなMH-RX ハイパフォーマンスあたりが無難かな?と考えていたのですが、人気過ぎて長期欠品中という有様。
入荷まで待つか…と少しだけ悩みましたが、同じサドルを購入してもつまらないという気持ちもあり、ここは思い切って冒険してみることにしました。
さて、評判の良いコンフォートサドルは大抵試した経験のある私ですが、唯一『低反発サドル』だけが未体験のままです。
低反発素材は使い続けると数年でヘタってしまうため消耗品と割り切る必要がありますが、果してサドルとしての実力はどれくらいなのでしょうか?
今回は『Palmy Sports コンフォートサドル』と『DDK/iWA コンフォートプラス』、これら二種類の低反発サドルについて、実際の使用感も含めて掘り下げてみたいと思います。
座面のやわらかさ・重量は如何に?『低反発サドル』二種類の詳細
本当は四種類の低反発サドルを購入して比較する予定でしたが、欠品などの影響で『Palmy Sports コンフォートサドル』と『DDK/iWA コンフォートプラス』の二種類だけになりました。
因みに、買えなかった残りの二種類はセラロイヤルの『CLASSIC Mach2』と同じくセラロイヤルの『CLASSIC Freeway Fit』です。
『Palmy Sports コンフォートサドル』 の詳細
まずはコチラ、『Palmy Sports コンフォートサドル 6134NO-LR』です。
購入したのはブラックで、別カラーでダークブラウンもラインナップされています。実売価格は¥2000くらいで、失敗してもダメージが少ないのが嬉しいですね。
ご覧の通り、装飾どころかワンポイントも一切見られない割り切った作りになっていて、安っぽさとは紙一重な印象でしょうか。
座面は幅広でサイズは276mm×153mmほど。表面素材は光沢を抑えたレザー調でブラックよりもダークブラウンの方が見栄えが良さそうです。
サドル裏面にステープル処理などの粗末な点は見られませんが、価格なりといった仕上がりでしょうか。
また、座面後方にセンタースリットのような僅かな窪みが見られるものの、前方はフラットなので尿道や会陰部分にトラブルを抱えている方には不向きなサドルかも知れません。
コンフォートサドルにありがちな表面素材のパツパツ感は無く、内部の低反発素材を活かすためにしっとりとした素材が使われています。
画像のように指先で圧を加えると凹みができ、8秒くらいで元の形に復元されました。
実重量は427gと重めの仕上がりですね。低反発素材はサドルの中部から後部手前までしか使われておらず、内部も多層構造にもなっていませんが、一体どの部分が足を引っ張っているのでしょうか?
実際に使用してみるまでは何ともいえませんが、内部のクッションが低反発素材のみという構成が少し引っ掛かります。
これはどの低反発サドルにも当てはまることかも知れませんが、低反発素材がお尻や座骨の形に変形しきってしまうと、あとは『底つき感』が出る質の悪いコンフォートサドルに成り下がってしまのでは…といった不安が拭えません。
『DDK/iWA コンフォートプラス』 の詳細
同時に購入した訳ではありませんが、お次の低反発サドルは『DDK/iWA コンフォートプラス』です。
私は高評価で話題になっていた自転車用ディスプレイスタンドで初めて名前を知りましたが、『iWA』は2014に丸八工機株式会社が立ち上げた自社ブランドだそうで、今回のサドルは台湾のDDK製ですね。
最近は信憑性の低下が著しい某ショッピングサイドのレビューにおいて、真実味のある内容が多かった点とジャパンブランドで高評価を得ている『iWA』のダブルネームが購入の決め手になりました。
座面は低反発素材と衝撃吸収素材の二層構造で、サドルの形状もロード向きのスマートモデルから、どっしり座れるワイドモデルまで、五種類のタイプから選べます。
私の用途だと、スマートモデルの『D063』かオールラウンドモデルの『D073』『D043』あたりがマッチし、今回はクッション性と見た目のバランスが一番整っている『D073』を購入しました。
上画像では上から順にスマートモデル『D063』、オールラウンドモデル『D073』、同オールラウンドモデル『D043』となり、見た目で判断できるオールラウンドモデル二種の違いは、座面幅とノーズの形状くらいでしょうか。
レビューによると、クッション材の厚みに大きな違いは無いそうなので、迷ったら重量や見た目の好みで選んでも良さそうです。
非常にシンプルだったPalmy Sports コンフォートサドルとは逆に、こちらは外観が少し煩い印象ですね。ブルーのワンポイントは少し好みがわかれるでしょうか?
見ての通り、こちらの座面にはしっかりとセンタースリットが設けられているので、尿道や会陰への負担は少なくて済みそうです。
価格がPalmy Sportsの倍近いだけにサドル裏側にも手抜かりは無く、綺麗な仕上がりになっていますね。
指先で圧を加えると、例によってしっとりと座面が沈み込みますが、『ひょっとしてゲル入りか?』と思えるほどPalmy Sportsとは質感が異なります。
座面に張りがあって形状の復元もややスピーディーですが、嫌な硬さは微塵も無く、手で触っただけでも心地良さを感じました。
今まで使ってきたどのサドルとも異なる、独特のやわらかさがありますね。
実重量は349gとコンフォートサドルとしては標準的な重さですが、ここまでのクッション性をこの重量で実現しているサドルは中々お目に掛れません。お気に入りのサーファス MH-RX ハイパフォーマンスですら400gです。
軽量さの秘密は使用箇所をピンポイントに絞ったクッション材の配置で、サドル中央からノーズ先端までは、殆どクッション性の無い硬めの作りになっています。
ヒルクライムを頻繁にする方や前乗り癖のある方には不向きなので、その点は注意しましょう。
珍しく使用前から期待が膨らむサドルですが、あとは実際の使用で底つき感が出ないことを祈るばかりですね。
お尻の痛みは如何に?実走による低反発サドル二種類の使用感
サドルの評価は座ってからが本番ということで、二種類の低反発サドルでそれぞれ40kmほどテストライドしてみました。
まずは試走前から辛口批評の『Palmy Sports コンフォートサドル』から、上画像の通りサイドシルエットはスマートで悪くありませんね、フレームがマット塗装なので座面の質感も中々しっくりきています。
『アレ?なんでフルサス?ミニベロじゃないの?』と思うかも知れませんが、ドロッパーシートポストでアップライト気味に乗れるフルサス29erの方が、やや前傾気味で乗るミニベロよりもシビアにテストできるのですよ。
ハイ、早速感想です。
事前に予想した通り、クッションとなる低反発素材のフィットが一段落すると、使用感はよくあるコンフォートサドルと大差が無くなりますね。
幸い、懸念していた『底つき感』はありませんでしたが、頼れるクッション材が低反発素材のみという点が影響していて、アップライト気味の姿勢とは特に相性が悪かったです。
それでも、お尻の形が座面にフィットしてくれるお陰で、大抵のコンフォートサドルよりも座り心地は良いですが、サーファスRXシリーズの後釜としては間違いなく力不足でした。
また、乗り心地とは直接関係ありませんが、素っ気ないサドル裏面の作りが災いして、後部やノーズ部分の掴み心地がイマイチなのも気になる点です。
続いてふたつ目の低反発サドル『DDK/iWA コンフォートプラス』のオールラウンドモデル『D073』で走ってみました。
こちらもコンフォートサドルにしてはサイドシルエットが綺麗で、スマートモデルの『D063』を選ばなくてもロードバイクやクロスバイクに使えそうな外観ですね。
さて感想ですが…ぶっちゃけ、座面の手触りから予見できていた通り、いきなり私のベスト3サドルに名を連ねても良いくらい、座り心地が素晴らしかったです。
今まで、座面がやわらかいと称されるサドルを散々試しましたが、このサドル以上お尻に優しくフィットする製品は記憶にありませんね。
1~2時間程度なら、ママチャリ並みの90度近いアップライト姿勢でも十分にお尻が耐えられる、見事な大当たりサドルでした。
ただし、前述した通りにクッション材のカバー範囲が狭いため、前乗り気味の方や頻繁にお尻のポジションを変えて乗る方には不向きです。『全くポジションを変えられない!』という程ではありませんが、座面を広く使うタイプのサドルではありません。
因みに、座面がやわらかすぎてペダリングがしづらいのでは?と思うかも知れませんが、クッション材がピンポイントなせいか、サーファス製よりもお尻が跳ねづらい感覚でした。
総合力では現主力サドルの『サーファス MH-RX ハイパフォーマンス』に並び、走行距離が60kmを超えても、その評価は揺るぎません。
個人的に第二の神サドルと称しても差し支えないレベルに達していると感じます。
まとめ
ミニベロ用に低反発サドルを購入してみたものの、あまりの座り心地の良さに、そのままフルサス29erに居座る勢いです。
二層構造のクッション材のお陰で、気になっていた底つき感もなく、久々に100%満足できる買い物ができました。
どのモデルも実売価格がサーファス MH-RX ハイパフォーマンスの半額以下で、財布に優しい点も評価に値しますね。
既に『DDK/iWA コンフォートプラス』をもうひとつ追加で購入する気満々ですが、お次は見た目重視でスマートモデルの『D063』にでもしてみましょうか。