青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライド

青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライドイメージ01

この時期の恒例行事みたいなものですが、夏場は暑さで自転車と向き合う気持ちが萎えがち。

日本においては間違いなく自転車には不向きな季節で、ライドどころかガレージでのメンテナンスすら億劫です。

暑さが本格的になる前に暑熱順化しておかなければ……

そんな危機感はあるものの、腰の重くなる夏場は「走る」こと以外にモチベーションを保つ要素が必要になります。

よくあるのは、補給と称した食事だったりスイーツ巡りだったりするのですが、私の場合は専ら野鳥や野生動物の撮影がそれに該当するでしょうか。

こんなふうに書いてしまうと、いかにも動物写真家のような高尚なものに思えるかも知れませんが、私は単純に記録に残すことが目的で写真自体の質には殆ど拘っていません。

端的に言うと、リアルポケモン図鑑を作って一人でニヤニヤするだけの物です。

このブログでも度々触れていますが、私が自転車に乗るようになった切欠は「徒歩」に近い目線を維持したまま、撮影の行動範囲を広げたかったからで、まさか撮影ではなく自転車そのものにハマるとは思ってもいませんでした。

おまけに最初に選んだ自転車がファットバイクですから、かなり歪なデビューを飾ったことになります。

青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライドイメージ02

例年よりも幾分早い夏の訪れですが、気温30度で湿度は60%未満と日差しさえ避ければ快適なコンディション。

暑熱順化を兼ねた探鳥ライドに出発するも、実のところ夏は野鳥撮影に不向きなシーズンだったりします。

枝葉が生い茂り見通しが悪くなるのもそうですが、なにより野鳥そのものが平地よりも涼しい山間部に移動しているため、ガチで撮影するなら500m以上のヒルクライムやクマとの遭遇を覚悟しなければなりません。

青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライドイメージ03

でも大丈夫。

本日のターゲットは「飛ぶ宝石」の愛称で知られるカワセミ。

河川や湖沼に生息し、夏でも普通に見られる野鳥です。

漢字では「翡翠」と書き、鉱物の翡翠/ヒスイはカワセミの羽色に似ていることから文字が転用された経緯があるとのこと。

飛ぶ宝石と呼ばれるだけあって、この野鳥を切欠にカメラ沼にハマる方も多く、こんなに綺麗なのに結構身近にいるのもそれに拍車を掛けます。

因みに、この鮮やかなコバルトブルーは構造色と呼ばれるもので、光が乱反射し青く見えているだけ。

うろ覚えですが、自然界で青色の色素を合成できる生物は希少で、構造色や体内の銅成分が酸化して青く見えているものが大半だったはず。

青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライドイメージ04

見晴らしはすこぶる良好なものの、遮蔽物の無いルートを選んだことをちょっぴり後悔。

サイクリングロードや農道は滅多に自動車が来ないため走りやすいのですが、木陰が全くないので日差しが本当にキツイ……

少し前から取り締まりが厳しくなっているので完全にNGですが、こんな日は自転車でも日傘を使いたくなりますね。

余談ですが、傘をハンドルに固定する傘スタンドこと「さすべえ」も今後は使えなくなりそう。

傘を自転車に固定してしまうと幅60cmの「普通自転車」枠から外れることになり、車道走行はできるものの歩道走行が認められなくなります。

仮に固定した傘を積載物扱いにしても、幅0.3m、高さ2mを超えると違法扱いになる可能性があり、割と八方塞がりですね。

乗っている人や着衣の幅には特に制限がないので、危険行為と受け取られなければ頭に被る「笠/カサ」の時代が再来するかも。

青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライドイメージ05

日差しに焼かれながら、15km先にある目的地に到着。

夏場のライドで無理をすると体調を崩しがちなので、往復40km未満の走行距離が丁度良い感じ。

私は紫外線アレルギーがあるため、真夏でも長袖・長ズボンという拷問スタイル。

今回のライドで久々にFoxfire/フォックスファイヤーの「コカゲシールドパンツ」を着用してみましたが、こういった日差しの強い日は効果を実感しますね。

特殊セラミック繊維による遮熱効果で「衣服内温度マイナス3℃!」なんて眉唾かと思っていましたが、太腿に感じるジリジリ感は確かに軽減されていました。

青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライドイメージ06

まわりを見渡すと、ここは本当に何もない田園地帯。

ちょうど一週間前にも訪れた場所で、その際に裏手にある野池でカワセミを目撃しています。

カワセミは条件を満たせば都会の水場にも住み着き、都内では石神井公園なんかが撮影スポットとして有名ですね。

都会に住むカワセミは人慣れしているため警戒心が薄く、直ぐ逃げてしまう田舎のカワセミとは雲泥の差。

カワセミはスズメと同程度のサイズ感しかないため、大きく撮影するにはギリギリまで近づくか1000mm前後の望遠レンズじゃないと期待できる絵面が望めません。

青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライドイメージ07

そしてこちらが件の野池。

カワセミが餌とする小魚が生息していることから、水抜きをする人工的な農業用溜池ではなく古くからある天然の野池ですね。

カワセミの生息地について「条件さえ満たせば」と前置きしましたが、餌となる小魚や水生昆虫が採れること以外にも巣作りに適した「崖」や「土手」があることも条件のひとつです。

カワセミは土壁に横穴を掘って巣作りするため、水場であっても河岸工事のコンクリートで固められた場所にはあまり寄り付かず狩場にする程度。

さて、ここ以外にもカワセミの撮影スポットは幾つか把握していますが、あえてここまで足を運んだのには理由があります。

ニッチ過ぎる理由で恐縮ですが……

ここのカワセミ、めっちゃホバリングするんですよ。

10秒も継続すれば十分に長いくらいなのに、ここのカワセミはレベチなホバリングを見せ、前回の目撃時には本気でハチドリだと勘違いしたほど。

ハチドリは日本に生息していないので、そんなはずは無いのですが、ホバリングの滞空時間とその空中静止っぷりが見事過ぎて自分の目を疑いました。

カワセミのホバリングに期待しつつ、前回目撃した70m先のポイントにカメラを向けると、見慣れない何かがいます。

青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライドイメージ08

作り物みたいにカラフルな奴だな……とよくよく眺めてみると、まさかのオシドリ。

この時期は岸近くの草影に隠れるように潜んでいることが多いですが、夏羽のオスは久しぶりに見ます。

青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライドイメージ09

こちらは以前に撮影した冬羽のツガイで、左がメス、右がオス。

オスの方が派手なのがオシドリの特徴で、オシドリと聞いてイメージするのは大抵この冬羽の方でしょうか。

スッキリとした見た目の夏羽だと「あれはメスのオシドリだよ」と嘘を教えられても、そのまま信じてしまうかも知れませんね。

青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライドイメージ10

しばらく粘ってみましたが、結局カワセミは現れず仕舞い。

直射日光の中で待ち続けるのが流石に辛くなってきたので、諦めて退散することに。

復路は涼しい木陰のルートに寄り道。

ここは数年前の水害で土手が崩落し少し前まで工事中でしたが、工期通りに通行止めが解除されていて、久々に気持ちの良いライドを楽しめました。

※ここから先には、虫のちょいグロ画像があるので苦手な方は要注意!

帰り際に何かを引きずる昆虫を目撃。

気になって凝視してみると、真っ黒なハチが自分の数倍はある大型のクモを必死に運搬中でした。

死んだクモは脚が丸くなっている場合が殆どですが、妙なみずみずしさがあり、もしかして寄生バチに麻痺させられているのではと興味を惹かれます。

青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライドイメージ11

黒いのがそのハチで、恐らく「オオモンクロクモバチ」でしょう。

オオモンクロクモバチは社会性を持たない狩りバチの一種で、毒針で麻痺して動けないクモに直接卵を産み付けることでよく知られています。

クモはハチの巣穴で生きたまま幼虫に貪り喰われることになり、かなりホラーな展開。

TVの教育番組なんかでよく紹介されていますが、生で見るのは初めてかも知れません。

運搬の邪魔をしてしまったせいか、オオモンクロクモバチが少し警戒気味。

刺されるとスズメバチ並みに痛いそうなので、その場を速やかに離脱しました。

青空と万緑の季節、グラベルロードで真夏の探鳥ライドイメージ12

夕方になると薄く雲が掛かり、ようやく過ごしやすいライド環境に。

この日の走行距離はトータル42kmと予定を少しだけオーバーするも、暑さによる疲労感は軽度でした。

夏の自転車は「走る」ことに集中し過ぎず、やっぱり他の目的をメインに据えるのがオススメですね。

私と同じ田舎住まいの自転車乗りなら、野生動物に遭遇する機会も多いでしょうから、スマホではなく高倍率コンデジを持ち歩くのも一興。

30倍程度の中古なら安く手に入るので、自分だけのリアルポケモン図鑑を作ってみては如何でしょう。

ヨロズ日記

管理人からのお知らせ ■当ブログは無許可での転載や引用、URLやその一部の掲載、これらの行為を禁じております。
ご希望の際は事前に『お問い合わせ』にてご連格下さい。
■当ブログにはプロモーション広告が含まれており、Amazonアソシエイトを含むアフィリエイトプログラムにより収入を得ています。
タイトルとURLをコピーしました