最近は増車した29erプラスにかまけてばかりで随分とご無沙汰でしたが、久々にファットバイクの話題です。
私は数年前に45NTRH『DILLINGER4』というファットバイク用のスパイクタイヤを購入しましたが、ここ数年の暖冬傾向もあり全く出番のない状況が続いています。
高価な買い物だっただけに本当にもったいない話ですが、冷静になって五年に渡る私のファットバイク歴を振り返ってみると『本当にスパイクタイヤは必要か?』といった疑問が頭を過ります。
殆どのファットバイク用タイヤは凍結路に対して無力ですし、私も何度か転倒したことがあるので、あると便利なことは確かですが、スパイクタイヤを常に履き続けられる状況が維持されるか否かは重要な点かも知れません。
住んでいる地域の気候は大前提としてあるものの、温暖化で凍結路が維持できないほど冬が暖かくなっているのを実感しますし、見落としがちなのが各自治体の除雪対応でしょうか?
ファット乗りのちょっとした悩み、自治体の除雪対応について
ファットバイクを買ってしまうくらいですから、もちろん私は結構な雪国に住んでいます。
同じ雪国でも、雪害に割かれる予算や除雪への対応は地域によって大きく異なり、自治体によってアタリハズレがあるのは良く知られた話ですね。
さて、私の住む地域は残念ながら『ハズレ』です…未だに除雪車が車道の雪を路側帯側に押し退けるだけの除雪がまかり通り、雪で狭くなった道路にはファットバイクが走れる安全な領域は残されていません。
気温が低く積雪も十分ならば、圧雪された路面は凍結またはスタッドレスタイヤで磨き上げられたツルツルな状態になり、虎の子のスパイクタイヤの出番となる訳ですが、前述の理由で車道を走れることは滅多にありません、無理に走っても自動車側が迷惑するのが火を見るよりも明らかです…
こうなってしまうと、非推奨と知りながらも泣く泣く歩道を走る羽目になりますが、私の住む地域は歩道の除雪が輪を掛けて最悪です。
例え幹線道路沿いや通学路であっても、冬季の数か月間に一回でも除雪があればマシな方で、根雪が多くなる冬の後半になるとファットバイクでも厳しいくらいに雪が堆積するので、スパイクタイヤではなくノブの深い『スノータイヤ』を履くのが現実的でしょうか。
厄介なことに、スパイクタイヤは除雪され過ぎてもNGで、アスファルトが剥き出しになった路面を走ると耳障りなスクラッチ音が響きます、スタッドピンの脱落や寿命にも影響するので気が気じゃありません。
少なくとも私の住む地域では、雪が多くても少なくてもスパイクタイヤの必要性をイマイチ感じられず、それに最近の暖冬化傾向が追い打ちを掛けて朝晩以外は路面が凍結することが珍しくなりました。
今後はウインターシーズンに安定した寒さと積雪が見込める北海道や内地の山間部、加えて除雪がしっかりしている地域以外ではスパイクタイヤは持て余し気味になるかも知れませんね。
ガチのファット乗りはタイヤをチューブレス化した上に、ホイールを二組準備して路面状況によって使い分けているそうですが、『スパイクタイヤ』にするか『スノータイヤ』にするかは、お住いの地域の気候や除雪対応、用途が生活の足か趣味かなどを、しっかりと照らし合わせて決めた方が良さそうです。
おすすめのファットバイク用『スノータイヤ』は?
個人的に北海道や高地を除く大半の地域ではスパイクタイヤは不要と考えていますが、流石にSchwalbe/シュワルベ『JumboJim/ジャンボジム』などのノブの低いタイヤでは雪道のトラクションに不安が残ります。
幸いなことに、ファットバイク用のスノータイヤにはちょっとした凍結路にも対応できる鉄板のスノータイヤが幾つか存在していて、上記の地域以外ならこれ一本で十分かも知れません。
SURLY『BUD/バッド』
【サイズ】26 x 4.8
【TPI】120
【ケーシング】フォールディングビード チューブレスレディ
【重量】1580g
【価格】¥16500
説明不要なくらい有名なSURLYのタイヤですが、後述するLOUを含めて『BUD&LOU』とセットで呼ばれています。
オンロードバイクでは馴染み無い用法ですが、オフ車ではフロントタイヤとリアタイヤを別々の物にすることは珍しくありません。
この『BUD』は64-100mmのリム幅に対応するフロント用で、ゴジラの背びれのように縦に並んだトレッドパターンに特徴がありますね。
MTBなどで雪道を走った経験がある方なら、この独特なパターンの優位性がすぐに理解できると思いますが、深い雪道でもフロントタイヤが左右に流れづらくハンドリングが安定してくれます。
因みに、2019年モデルから念願のチューブレス対応となりました、タイヤクリアランスに問題が無いなら迷うことなくこのタイヤを選びましょう。
SURLY『LOU/ロウ』
【サイズ】26 x 4.8
【TPI】120
【ケーシング】フォールディングビード チューブレスレディ
【重量】1580g
【価格】¥16500
先ほどのBUDとセットでリア用として使うのがこの『LOU』です。
パドルタイヤを思わせる横長のセンタートレッドが並び、これ一本あれば十分と思わせるくらいのトラクション性能を発揮してくれるタイヤですね。
タイヤが埋没する深い雪はもちろん、多少の凍結路でも表面を破壊しながらグイグイ進めてしまい、過信しすぎなければスパイクタイヤの代用としても期待できます。
こちらも64-100mmのリム幅に対応し2019年モデルからチューブレス対応になりましたが、リア側は車体のタイヤクリアランスがシビアな場合が多く、残念ながら4インチファットバイクには不向きです。
余談ですが、タイヤの回転方向を指示とは逆に取付けるとトラクションの掛かり具合に変化があるそうで、あえて逆向きに取付ける方も多いです。
45NRTH『FLOW BEIST/フロービースト』
【サイズ】26 x 4.6
【TPI】120
【ケーシング】フォールディングビード チューブレスレディ
【重量】1425g
【価格】¥16280
45NRTH版のBUDとも呼べるのが、この『FLOW BEIST』です、65-102mmのリム幅に対応し、フロント用として使います。
少し前までなら、チューブレス対応というアドバンテージがあったのですが、BUD&LOUとどちらを選ぶかは好みの問題でしょうか?サイドのノブ形状が高く攻撃的なので、コーナリングトラクションに優れる印象ですね。
4インチファットバイクなどでフロントフォークのタイヤクリアランスに不安がある場合は軽量でタイヤ幅も狭いこちらのタイヤを選ぶのが吉です。
45NRTH『DUNDER BEIST/ダンダービースト』
【サイズ】26 x 4.6
【TPI】120
【ケーシング】フォールディングビード チューブレスレディ
【重量】1525g
【価格】¥16280
FLOW BEISTとセットでリア用として使うのが、この『DUNDER BEIST』です。
65-102mmのリム幅に対応し、攻撃的なトレッドパターンを活かして、雪道を掘り返して進むようなトラクションを発揮してくれます。
タイヤ幅が4.6インチと細いためフレーム互換性が高く、SURLYの『LOU』が対応しない4インチファットバイクにも対応してくれるのが嬉しいですね。
因みに、80mmのリムに1.5barで取付けた場合のタイヤ幅は、実寸で約107mmだそうです。
SURLY『NATE/ネイト』
【サイズ】26 x 3.8
【TPI】60/120
【ケーシング】フォールディングビード
【重量】1395g/1350g(120TPI)
【価格】¥11000/¥13000
最後にオマケとして紹介するのが、この『NATE』です。
本来はリア・フロント両用として使用するタイヤですが、トレッドパターンがLOUに似ていることから、タイヤクリアランスが不十分な4インチファットバイクのリア用タイヤに、LOUの代替品として使われています。
タイヤ幅が3.8インチなので4インチファットバイクでも問題なく使用できますが、今のところチューブレスに未対応なので、強引にチューブレス化するならシーラントは多めに使いましょう。
個人的に、レトロなタンカラーがあるのが嬉しいですね、無味乾燥な冬場にリムもタイヤも真っ黒では少し味気ないので、前後をNATEで揃えるのも面白そうです。
まとめ
今回は愚痴っぽい内容になってしまいましたが、せっかくファットバイクを買ったのに思うように雪道を楽しめない…といった方も多いのでは無いでしょうか?
私の場合、早々に舗装路沿いを走るのは諦め、未除雪の田舎道をバックカントリー風に楽しむ方向にシフトしましたが、そうなるとスノータイヤが冬の本命タイヤになります。
ファットバイク用のスパイクタイヤは大変高価なので、最初にスノータイヤを試してみて、本当にスパイクタイヤが必要かどうかを見極めてから購入した方が良さそうですね。