石鹸水はダメ?チューブレスに『ビードワックス・クリーム』のススメ

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オフロード車に限らず、オンロード車でもチューブレスが珍しく無くなった昨今。

私もその例に漏れず、チューブレス歴は既に六年目。

正確にはタイヤシーラントが必須となるチューブレスレディですが、未だに頭を悩ませるようなトラブルも少なくありません。

少し前の話ですが、久々にチューブレスタイヤがパンク。

タイヤの内側からパッチを貼り、タイヤの外側には靴底修理剤で肉盛りする定番のやり方で補修を済ませるも、ホイールへの再装着で思わぬ苦戦を強いられます。

今までチューブレスタイヤのビード上げはフロアポンプで事足りていましたし、最悪でもCO2カードリッジを使ったチートで乗り越えて来ました。

ところが、今まで培ったノウハウを総動員してもビードが全く上がらず、途方に暮れてしまいます。

自分でも薄々原因はわかっていましたが、犯人はタイヤのビード部分にこびり付いたタイヤシーラント。

こいつが過剰な摩擦を生んでしまい、タイヤのビードがホイールのハンプ部分まで上手く滑ってくれないのです。

よくよく思い返してみると、今まで新品のチューブレスタイヤしかセットアップした経験が無く、長期間シーラントを使用したチューブレスタイヤを再セットアップするのは初めてのこと。

たとえ六年使っても、実際に体験しないと知り得ないこともあるなぁ……と感慨にふけるも、この時ようやくビードワックスビードクリームといったタイヤマウント専用潤滑剤の必要性を痛感します。

緊急時や一回限りなら、ビードワックス・クリームの代用として石鹸水を使う方法もありますが、気になって調べてみるとチューブレスタイヤにはあまり良い手段ではないとのこと。

タイヤ・リム・シーラントなどの各所に悪影響が出てしまうそうで、チューブレスタイヤには試さない方が無難です。

いつものように前置きが長くなりましたが、今回は自転車用のビードワックス・クリームで代表的な製品を幾つか紹介すると共に、石鹸水が非推奨な理由についても簡単に触れてみましょう。

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チューブレスは要注意!石鹸水によるビード上げを避けるべき理由

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タイヤのビード上げに石鹸水はNG!

そう聞いて違和感を覚える方も多いはず。

昔からチューブレス化には身近な存在でしたし、ビード上げの潤滑だけでなくセットアップ後の空気漏れのチェックにも使われることがあるため、尚更そう感じますよね。

大雑把にまとめると石鹸水が非推奨な理由は以下の通り。

【1】石鹸のアルカリ成分がビードゴムやリムテープを劣化させ、硬化やひび割れを招きやすい。

【2】石鹸に含まれる塩分・香料・界面活性剤がアルミリムを腐食させたりカーボンリムの表面処理を劣化させる。

【3】石鹸に含まれる界面活性剤はシーラントの凝固を阻害する。

【4】発泡により空気漏れが止まりづらく、ビードとリムの間に残った泡が気密性を低下させることがある。

【1】【2】に関してはクリンチャー運用の場合にも該当し、石鹸水ではなく薄めた中性洗剤なら軽減できそうな内容でしょうか。

【3】【4】に関してはチューブレス運用を狙い撃ちしたかのような内容で、特にタイヤシーラント本来の機能を低下させる界面活性剤は殆どの洗剤類に含まれている点が厄介です。

因みに、専用品となるビードワックスやビードクリームは界面活性剤を含んでいない物が大半で、成分の揮発後も残留物が生じません。

ゴムやラテックスに対しては化学的に中性になっているそうで、潤滑しつつも影響は最小限という設計になっているとのこと。

どうしても応急処置的に石鹸水の類を使うなら、中性洗剤を20対1以下に希釈、ビード部分だけに最小限で塗布、はみ出した液は綺麗に拭き取る。

これらを守った上で常習的に行わないことが求められます、もちろんチューブレスには使用しないのが大前提。

オススメはどれ?自転車用の「ビードワックス・クリーム」あれこれ

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ここからは市販のビードワックスやビードクリームについて、代表的な製品やその特長について簡単に触れみましょう。

トップバッターは期待のニューカマー、Vittoria/ビットリア「Bead Glide/ビードグライド」です。

この記事を書いている時点ではまだ未発売の製品で、市場に出回るのは2026年の一月くらいの模様。

先端にスポンジの付いたシューケアクリームのようなタイヤマウント専用潤滑剤で、画像の通り成分が泡状に塗布されます。

専用品だけにタイヤのビードやサイドウォールを痛めるような化学成分は一切含まれておらず、使用後に水洗いする必要もない親切設計。

容量100mlで価格は¥2000程と多少割高感がありますが、ビットリアによると同社のタイヤインサート「Air-Liner」のセットアップとは特に相性が良い仕様とのこと。

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お次はビットリアと競合しそうなSCHWALBE/シュワルベ「Easy Fit/イージーフィット」です。

作りも使用法も似通っていますがイージーフィットの方がパイオニアとなり、使っている方が多く評価も上々。

塗ってから10分で乾燥する水溶性のビードワックスで、液体が残らない速乾性やその使い勝手の良さに特徴があります。

容量は50mlと控え目で価格は¥1100程、特に拘りが無いのなら現時点では最も選びやすいで製品でしょうか。

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続いてはホームセンターでも見掛ける、MARUNI/マルニ「ビードワックス W-109」

こちらは前ふたつの製品とは質感や使用感の異なるペースト状で、自動車・自動二輪・自転車兼用の製品となります。

目立った特徴はありませんが、石鹸水とは違いサビの原因にならずホイールには優しい設計。

ベタつきが少なく拭き取りも容易なため評価は上々ですが、付属のスポンジはオマケ程度なので別途で準備する必要あり。

容量は40gで価格は¥800程とコスパに優れ、爽やかなレモンの香りが付いています。

因みに、液体タイプの「K-500 ビードルーブ」という製品も存在し、こちらはスプレー容器入り。

液体だけにタイヤとホイールの間に浸透しやすく、固着したタイヤにも効果を発揮してくれます。

どちらかといえば、タイヤ着脱の「脱」の方に特化した製品といった感じでしょうか。

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最後に紹介するのは、井上ゴム工業のIRC「チューブレスタイヤ フィッティングローション」です。

ローションというだけあって液体タイプの製品となり、前述したマルニ「K-500 ビードルーブ」に近い性質を備えているものの、こちらは正式にチューブレス対応を謳った製品。

一応、前述したシュワルベもチューブレスに対応していますが、IRCはキッチリと明文化されているだけに安心感があります。

また、潤滑によりタイヤとリムの嵌合(かんごう)を手助けしてくれるだけでなく、防腐剤を配合することでサビ止めの効果も得られるとのこと。

容量は50mlで価格は¥1200程、チューブレスレディになら一番安心して使える製品かも知れませんね。

余談ですが、二種類あるスプレーボトルのうち左側は旧パッケージとなり、現行品と成分や性質が異なる可能性も。

まとめ

タイヤのビード上げを手助けしてくれるビードワックスやビードクリームについて話題にしてみましたが、個人的に石鹸水による代替が非推奨である点が特に印象的でしたね。

当たり前に活用されてるテクニックだけに、何の疑問も持っていませんでした。

アルカリ成分はタイヤにも悪影響があるので、タイヤを洗う際にも覚えておきたい内容でしょうか。

大雑把にまとめると、クリンチャー運用が主体なら、どの製品を選んでも特に問題はナシ。

チューブレス運用ならシーラントに悪影響が出ないように、シュワルベ・IRCあたりからお好みで選ぶのが良さそう。

言い忘れましたが、ビードに付着したシーラントを除去するには「天然ゴム素材の消しゴム」で擦るのが最も効果的。

チューブレスタイヤの再セットアップが上手くいかずにお悩みなら、シーラントカスを消しゴムで除去した上でビードワックス・ビードクリームを使用するやり方を試してみましょう。

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