遅乾性のディスクブレーキクリーナー『Cleanse/クレンズ』の感想

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ディスクブレーキ車に乗っていて、一度は悩まされるのが俗に言う「鳴き」

ブレーキングの度にローターが耳障りな音を奏で、歩行者から奇異の目で見られることもしばしば。

雨天時にローターが濡れると高確率で発生するためディスクブレーキの持病と呼べなくもありませんが、メンテナンスをサボっていると晴天時にもこの現象が起こります。

「鳴き」を解消するにはディスクローターとブレーキパッドを脱脂・洗浄するのが効果的で、この手助けをしてくれるのがディスクブレーキ専用のクリーナー。

マックオフ製とフィニッシュライン製の二種類がよく知られていて、このどちらかを使っている方も多いはず。

私も最近まで知らなかったのですが、実はこれに続く第三のディスクブレーキクリーナーも存在していて、既存のふたつとは少しばかり毛色が異なっています。

Vipro’s/ヴィプロスがリリースしている「Cleanse/クレンズ VS-040」がそれで、マックオフ製やフィニッシュライン製との違いが気になるところ。

以前にマックオフ製とフィニッシュライン製との比較を記事にしたことがありますが、今回はそれに「Cleanse/クレンズ」も交えて、実際の洗浄力や使用感について話題にしてみます。

ヴィプロス「Cleanse/クレンズ」の特徴・既存二種類との違い

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ディスクブレーキ専用クリーナーには共通して言えることですが、クレンズも残留物となる余計な成分を含まず、ローターやパッドに影響を及ぼさない仕様。

主成分はエタノール・イソプロピルアルコール・ノルマルプロピルアルコールのアルコール系洗浄剤三種類となり、自作できそうなくらいシンプルな作りです。

容器はハンドポンプ式になっていて、溶剤の無駄打ちを最小限に抑えてくれるのも嬉しいところ。

マックオフ製もフィニッシュライン製もスプレー缶のエアゾール式なので溶剤を過剰に消費しがちですし、使い終わった空き缶の処理も面倒ですからね。

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使用対象となる箇所はディスクローターとブレーキパッドのふたつで、洗浄時に一回、仕上げに一回の二回使用が推奨されています。

スプレー式のマックオフやフィニッシュラインなら、パッドやローターを取付けたまま汚れを洗い流すパーツクリーナー的な使い方ができますが、流石にハンドポンプ式のクレンズでは難しく、腰を落ち着けたメンテ作業に向いている印象でしょうか。

また、画像の注意書きにもありますが、アルコールが主成分だけに塗装面や樹脂部分への過度な塗布はNGです。

興味深いことに、クレンズは漬け置き洗浄に対応していて、汚れが酷い場合はパッドのドブ漬けも可能とのこと。

アルコール成分が大半なので当然揮発はするものの、既存の二製品よりも遅乾性気味な特徴があるため1~2分程度の漬け置きなら問題なく行えます。

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早速購入してみると、確かに容器はハンドポンプ式でボトルネック付近には「OPEN」と記載された切替レバーが見られます。

容量は300mlでパッケージ下部にはシンナー類・オイル類・水・界面活性剤の不使用といった表示も。

私はパッドやローターの予洗いに食器用の中性洗剤を容赦なく使っていますが、こいつには界面活性剤がたっぷり入っています。

どういった影響があるのか調べてみると、界面活性剤は油汚れが落ちやすい反面、ブレーキ面に残留すると摩擦力を低下させ制動力に悪影響を及ぼすことがあるとのこと。

また、界面活性剤による摩擦の不均一化でブレーキの「鳴き」が再発しやすかったり、ホコリや油分が再付着しやすいといった弊害も。

予洗いにしか使っていませんし、洗浄後にしっかり水ですすぐことで解消できるそうですが、中性洗剤オンリーは控えた方が良さそう。

さて、気になる価格は1870円、少し前までディスクブレーキ専用クリーナーでは最安の製品でしたが、どうやら値上げされたようで、現在はフィニッシュラインにその座を譲っています。

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私は今回のクレンズも含めて三種類全てのディスクブレーキ専用クリーナーを使ったことがありますが、それぞれの使用感には確かな違いも。

フィニッシュライン 300ml【速乾性】溶剤の噴射が過剰で減りが早い印象。

マックオフ 400ml【中乾性】パーツクリーナーに似た使用感で漬け置き洗浄も一応可能。

クレンズ 300ml【遅乾性】良コスパだが時短メンテには不向き。

前述した通り、クレンズだけはキャリパーにジャバジャバ溶剤を噴射するような使い方ができず、じっくりと腰を落ち着けてメンテナンスする人向けの製品ですね。

フィニッシュラインとマックオフはローターやキャリパーにジャバジャバ噴射して時短メンテできるのが魅力ですが、その代償として溶剤の減りも早く、結局はクレンゼと同じ使い方に落ち着くという結果になりがち。

因みに、結論を先に言ってしまうと洗浄力に大きな違いは感じず、減りを気にしないでコスパ良く使い続けたいならクレンズは悪くない選択肢です。

洗浄力は如何に?ヴィプロス「Cleanse/クレンズ」の使用感

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クレンズの実験台としてお越しいただいたのはファットバイクのリアブレーキパッド。

こちらはシマノSLX「BR-M7100」用のパッドでメタルではなくレジン製だったはず。

フロントと比べるとブレーキの効きが甘く、今回は洗浄だけでなくサンドペーパーでの処理も加える予定。

ご覧の通り、良い加減にパッド表面が汚れていてテストには打って付けです。

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そしてこちらがリアホイールのローター。

目立った汚れはありませんが、今回はパッドだけでなくローター側もサンドペーパーで表面処理します。

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手始めにクレンズをパッド表面に吹き付けウエスで拭きとってみましたが、噴射力のあるスプレー式でないのにも関わらず、汚れ落ちが良くてちょっとビックリ。

頻繁にメンテナンスする場合なら、この工程だけでも十分かも知れませんね。

余談ですが、ブレーキパッド備え付けの抑えバネに「R」の刻印があることに初めて気が付きました。

もちろん裏側には「L」の刻印……

お察しの通り、抑えバネに左右の指定があり、シマノ製はフィン付きのブレーキパッドに限り指示に従う必要があるとのこと。

幸いフィン無しパッドでは無視しても構わないそうで、ほっと一安心。

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漬け置き洗浄OKということで、早速実験。

紙コップにクレンズを数回噴射し、数分程度ドブ漬けしてみました。

説明には1~2分とありましたが、その程度では溶剤の揮発を肉眼では確認できず、遅乾性であることは間違いなさそう。

揮発よりも先に紙コップがアルコール成分に負けてしまったため、正味3分程度で切り上げ。

漬け込んだ際に軽く紙コップをシェイクしてみても溶剤は殆ど黒くならず、一回目の洗浄で大半の汚れが落ちていた可能性も。

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空研ぎ用80番手のサンドペーパーでパッド表面を薄く剥ぎ取り、最後にもう一度クレンズで洗浄して完了。

やり過ぎると寿命が縮まりますが、このひと手間を加えるだけでレジンパッドが新品のように甦ります。

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続いてはローター側。

ローターの表面と裏面に吹き付け、未使用のウエスか使い捨てウエスで拭きとります。

ハンドポンプ式はスプレー式と比べると他の箇所への飛散や誤爆が少なく、本当に使いやすいですね。

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画像では確認しづらいですが、噴霧後はローター表面にしっとりと良く馴染み、水滴は殆どできません。

表裏両面に一気に吹き付けると液だれしやすく、ローターを伝ってリム側に溶剤が滴り落ちてしまうため、二回に分けて作業した方が無難です。

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一応、両面をクレンズでクリーニングした後に乾いたウエスで拭きとって、汚れの落ち具合をチェック。

元々あまり汚れていなかったせいもありますが、ウエスに汚れ移りは殆ど見られませんでした。

使い方や違いは?人気の『ディスクブレーキクリーナー』2種を比較イメージ09

因みに、こちらは過去にほぼ同条件でテストしたマックオフとフィニッシュラインの結果。

ガンガン乗っていたフルサスMTBのローターなので単純比較はアンフェアですが、それを差し引いてもクレンズの洗浄力が両者と比べて劣っていないことの証明にはなりそう。

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ブレーキパッドに続いて、今回は珍しくローター側にもひと工夫。

海外で紹介されていたやり方を参考に、水研ぎ用800番手サンドペーパーでパッドが触れる部分のローター表面を研磨してみました。

本来はクリーニングしてもローターの「鳴き」が治まらなかった際の対処法ですが、フロントに比べてリアブレーキの喰いつきが悪いと感じていたため、ローター表面の焼き付き除去を兼ねて円周部分をサンディング。

ローターを研磨していて思い出しましたが、過去に中華通販でSRAMのセンターラインローターの偽物を掴まされたことがあります。

その界隈に詳しい知人に「それ偽物ですよ……」と指摘されたことで発覚。

今もそうなのかはわかりませんが、本物は新品でもローター表面が軽くサンディングで荒されていると聞いた覚えがあります。

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クレンズによるローターとパッドの洗浄を終え、軽くテスト走行。

たぶんこれはクレンズの成果というよりもサンディングの影響なのでしょうけど、リアブレーキの喰いつきが以前とは雲泥の差。

毎回、ブレーキまわりのクリーニング直後は少なからずアタリが鈍くなっていましたが、ブレーキング多用で意図的にアタリを出す必要すらありませんでした。

まとめ

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第三のディスクブレーキ専用クリーナーこと、ヴィプロスの「Cleanse/クレンズ」を試してみましたが、しっかりと定期メンテナンスをする方にはこれで十分といった印象ですね。

マックオフやフィニッシュラインは分解せずにキャリパーごと洗浄できる手軽さがあるものの、どちらも溶剤の減りが早く財布に優しくないのが難点でしょうか。

結局、おすすめのディスクブレーキクリーナーはどれなのか?

正直なところ、洗浄力に大きな差を感じなかったため答えに窮しますが、多少メンテが面倒になっても構わないなら少量で済む「クレンズ」を推したいところ。

逆にブレーキメンテナンスには極力時間を使いたくないという方は、財力に物を言わせてフィニッシュラインかマックオフをガンガン使った方が幸せになれるでしょう。

因みに、人気は【フィニッシュライン】 >> 【マックオフ】 >>>>> 【クレンズ】が現状。

フィニッシュラインは減りが早いので不人気と思いきや、ローターの音鳴り解消が短時間で済み効果も高いという評判が人気を後押ししていました。

しかも、最安ですしね。

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