自転車を趣味してからというもの、これは出費が馬鹿にならないなぁ……
そんなふうに感じているのが、メンテナンスに欠かせないケミカル類でしょうか。
愛車が一台だけならまだしも、複数台ともなるとメンテナンスに費やす時間や労力だけでなく、金銭的な面でも負担を強いられがち。
最初の自転車を購入して以来、御多分に漏れずワコーズのケミカル類を主軸としていますが、効果や使い勝手には満足しているものの、少しばかり割高なのが悩みの種。
ワコーズのチェーンクリーナーを使い切ったのを機に、もう少し安価な製品は無いものかとアレコレ物色していると、Surluster/シュアラスターのチェーンクリーナーが目に留まります。
実売1200円とそこそこ安く、ワコーズと同じように専用のブラシも付属、おまけに自転車専用とのことで俄然興味が湧いてきました。
ワコーズ製チェーンクリーナーとの価格差は800円程ですが、この選択が吉と出るか凶と出るか。
今回はシュアラスター製チェーンクリーナーの使用感やワコーズとの違いにいて話題にしてみましょう。
シュアラスター「チェーンクリーナー」の詳細をワコーズとの違い
早速購入してみましたが、冒頭でも触れた通りお値段は1200円でワコーズよりも4割ほどリーズナブル。
店売りでは見掛けなかったので、例によってアマゾンで購入しました。
容量はワコーズ330mlに対して、シュアラスター480mlと容量面でもお得になっていますが、後述する両者の使用感にはかなりの違いがあるので素直には喜べない部分です。
ワコーズのチェーンクリーナーと聞くと、特殊なノズルの作りがまず思い浮かぶかも知れませんね。
ノズル先端からピンポイントで噴射できるのはもちろんですが、ノズルを折り畳んだ状態だと一般的なスプレーのように広範囲な塗布も可能で、ノズルを交換することなくスムーズな使い分けができます。
外観からではわかりづらいですが、シュアラスターもこの機能がありワコーズ同様にノズルの使い分けが可能。
パッケージに「2WAY仕様」の表記が無ければ、ずっと気付かないままだったかも。
続いて、成分に目を移すとワコーズのチェーンクリーナーはかなり個性的。
生分解性洗浄剤、水洗い可能、ゴム素材に使用可、防錆剤配合、非乾燥タイプと、これでもかと言わんばかりの配慮が窺えます。
特に非乾燥タイプと水洗い可能、これら二つの要素は作業効率を大きく左右するので、見逃せない部分でしょうか。
地球にやさしいワコーズ製と比べると、シュアラスターはチェーンクリーナーの皮を被ったパーツクリーナーといった印象を受けます。
自転車チェーン用の特殊洗浄成分により、粘度の高い油汚れだけでなくチェーンに入り込んだ泥や砂汚れにも効果を発揮。
チェーンの奥まで洗浄成分が浸透するとともに、パーツクリーナー的なジェット噴霧で汚れを短時間で除去するといった使い方もできるとのこと。
個人的に気になるのは、溶剤が完全揮発する中速乾性寄りな性質を持っている点でしょうか。
ワコーズと似通ったノズル仕様だったりブラシ付属といった要素から、より安価な代替品になってくれるのでは?
そんな期待をしてしまいますが、実際の使用感がかなり異なることを覚悟した方が良さそうです。
また、ゴム素材にも少なからず攻撃性があるそうなので、こちらはシールチェーンに使用できません。
ついでに付属のブラシにも触れておきますが、ワコーズ製は豚毛でシュアラスターはイマイチ素材の判別がつきませんでした。
色の違う毛が混ざっているのでシュアラスターも豚毛な気がしますが、毛の密度はワコーズの半分程度といった感じ。
うろ覚えですが、ワコーズ製ブラシがあえて豚毛を採用しているのは、天然素材の方が毛の先端が細かな隙間に入り込みやすいからだそうです。
完全揮発が仇になる?シュアラスター「チェーンクリーナー」の使用感
チェーンクリーナーだけにチェーンの洗浄に使いたいところですが、私は結構マメに掃除しているので今回はギトギトに汚れたスプロケットにお越しいただきました。
グラベルロードのシマノ製11-46Tスプロケで、分解を兼ねた本格的なクリーニングはおそらく一年ぶり。
スプレー後もある程度の時間はウエットな状態が続く中速乾性であることを意識して作業してみますが、乾燥速度が予想していたよりもずっと速い……
表面積が広いスプロケットということもありますが、スプレー後のブラッシング時間にあまり余裕が無く、中速乾性どころかパーツクリーナー並みかそれ以上の速乾性に感じます。
ブラッシングによりギトギト汚れは落ちてくれるものの、洗浄成分が完全揮発してしまう性質から一旦浮いた油汚れが薄まった状態で再定着しがち。
画像のように表面積のある部分が特に顕著で、油汚れが斑状に残ってしまいます。
ワコーズとは異なる完全揮発が災いした結果ですが、ワコーズであれシュアラスターであれ、チェーンクリーナー単体でクリーニングが完結する訳ではないので、欠点と決めつけるのは尚早でしょうか。
ワコーズのチェーンクリーナーにフォーミングマルチクリーナーがあるように、シュアラスターのチェーンクリーナーにも相棒となるバイクシャンプーがあります。
ワコーズの場合は非乾燥のチェーンクリーナー+ブラッシングで汚れを完全に浮かせてから、発泡性のあるフォーミングマルチクリーナーで汚れを押し流すという作業手順。
シュアラスターの場合はチェーンクリーナー使用後に薄く再定着した汚れをバイクシャンプ+ブラッシングで洗い流すという作業手順。
しっかりと汚れを落としたいなら、チェーンクリーナ単体ではなく仕上げとなる泡系クリーナーとセットで考える必要があるのでしょう。
因みに、セット価格だとワコーズが3500円程でシュアラスターが2100円程と、より価格差が大きくなります。
一応、手元にワコーズのフォーミングマルチクリーナーはあるものの、シュアラスターのバイクウォッシュよりも洗浄力が劣るため、今回は仕上げにKURE-556を活用しました。
KURE-556は成分が灯油に近いので、ウエスに含ませて拭き取ることでチェーンやスプロケの簡易クリーナーとしても使えます。
ぶっちゃけ、シュアラスターよりもKURE-556の方が乾燥がずっと遅いので、スプロケ限定でなら556だけで十分だったのでは……そんな身も蓋もない考えが頭を過りました。
KURE-556なら1200円で三本は買えますしね。
シュアラスターにとっては不本意な結果でしたが、チェーンクリーナーの名を冠するだけにチェーンに使わないと真の実力は計れないのでは?
そう思ったので、一応チェーンにもブラッシング無しで使用してみます。
余談ですが、シュアラスターの説明書きには「汚れがひどい場合は布・ブラシなどを使用」とあったので、この使い方でも間違いではありません。
実際に吹き付けてみると、やはり使用感はパーツクリーナによく似ています、チェーン清掃が面倒臭くてパーツクリーナーで不精するアレですね。
とはいえ、パーツクリーナーよりも汚れ落ちは確かに良く、簡易クリーニングならこれで十分かも知れません。
油汚れが再定着しやすいのは相変わらずですが、チェーンの場合は側面のプレートが主なのでウエスに含ませて拭き取るだけで直ぐに綺麗にできました。
意外だったのが、頑固な汚れがこびり付きやすいプーリーまわりに効果的だったことで、ブラッシング無しでもそこそこ綺麗になってくれます。
粘度の高い油汚れだけでなく泥や砂汚れにも効果を発揮するという売り文句に間違いは無いようで、プーリー専用として割り切って使うのも悪くなさそう。
最後になりますが、実際の使用感を一言でまとめると以下のようになるでしょうか。
減りが激しい!
これは、ほぼ速乾性でブラッシングの度に噴霧しなければならなかったり、パーツクリーナー的な使い方をした時に強く感じます。
容量が480mlあっても、非乾燥タイプ故に少量で済むワコーズとは消費量が段違いでした。
まとめ
安さに釣られてシュアラスターのチェーンクリーナーを試してみましたが、悪くはないが良くもない……それが正直な感想ですね。
ワコーズに慣れ親しんいる方ほど違和感が強く、使いづらいなぁ~といった愚痴を零すかも知れません。
導入するならシュアラスターのチェーンクリーナーとバイクシャンプーをセットで使い、チェーンクリーナーでの油落としは大雑把に仕上げるのがコツでしょうか。
チェーンクリーナーの工程に頓着し過ぎなければ、使用量も低く抑えられるかと思います。
言い忘れましたが、ブラッシングしてもワコーズほど飛び散らず、周囲に汚れが拡散しづらい点は素直に褒めてあげたいですね。
ワコーズ製チェーンクリーナーの後釜としては、やや失敗気味のチョイスになってしまいましたが、次回はGOTALの「チェーンディグリーザーの素」かNo92の「ハイクウォリティウォッシャー」を試してみる予定。
どちらも過去に禁じ手とされていたアルカリ性洗浄剤で価格も若干割高ですが、自転車用として安全に使えるように成分が見直されています。
特にチェーンディグリーザーの素は灯油のようなシャカシャカ洗いに対応し、密閉容器にチェーンやスプロケをぶち込んでシェイクするだけのお手軽さが魅力。
灯油と違い廃油処理も必要なく、薄めて下水に流せるのも嬉しいですね。