超極太タイヤで知られるファットバイクですが、お察しの通りそのタイヤを支えるチューブもまた超特大。
チューブの有無や重量が走行感を大きく左右し、ファットバイクの軽快化においてチューブの見直しは避けては通れない道です。
手っ取り早く車重や足まわりを改善するなら、チューブレス化が一番の近道ですが、小まめなタイヤ交換ができなくなったり、定期的なシーラント量の管理が必要だったりと、人によってはチューブよりも面倒に感じることも。
私はチューブレス化に苦手意識を持っていないものの、どちかというとチューブ派でしょうか、特に熱可塑性ポリウレタンチューブことTPUチューブがお気に入りです。
随分と昔の話になりますが、初代ファットバイクの26インチホイールがチューブレスに対応しておらず、代替品として試したファットバイク用TPUチューブ「REVOLOOP」が思いのほか好感触だったのが、TPUチューブ派になった切欠ですね。
さてここからが本題、半年ほど前に「27.5インチホイールに26インチ用TPUチューブは使えるのか?」という検証をしたことがあります。
海外通販でたまたま見掛けた眉唾モノの情報を参考に実験してみましたが、結果は成功!
今に至るまで特に不具合もなく、普通に使えてしまうことが判明しています。
ですが、情報が半信半疑だったため、検証用のREVOLOOPを一本しか購入していないという痛恨のミス……
この購入以降、ファットバイク用REVOLOOPがワールドワイドで長々と品薄状態になるとは、思いもしませんでした。
ファットバイク軽快化の要、超軽量TPUチューブがオンシーズンに間に合わないという事態になってしまい、一時はチューブレス化もやむなしと思っていたのですが、ようやく待望の再入荷です。
前回購入したのが八月くらいでしたから、約半年ぶりの再会になるでしょうか。
幸い大幅な値上がりはしていませんでしたが、相変わらずTPUチューブは高価ですね。特大サイズのファットバイク用は特に顕著で、一本で4000円前後とタイヤ並みの価格です。
本来なら、携行用の予備チューブも含めて二本購入で十分でしたが、長期欠品のトラウマから一本余分に購入。ついでにTPUチューブ専用の補修パッチも追加しておきました。
早速、未交換だったフロントタイヤからブチルチューブを抜き取ってサクッとチューブ交換。
実はチューブ交換を急いだ理由はもう一つあり、前回リアチューブを交換した際に穴あきリムを覆っているリムストリップの劣化で、ブチルチューブに薄っすら損傷が見られたからです。
指先でなぞった感覚からすると、まだ表面が軽く摩耗している程度ですが、画像の通りチューブ表面にはリム穴と同じ形状の擦れ傷が残り、パンクの原因になりかねません。
低圧を得意とするファットバイクは比較的パンクに強い自転車ですが、釘や金属片などの鋭利な異物による刺突バンク以外にも、リムストリップの劣化によってパンクを招くことがあります。
なにせ、リムに空いた肉抜き穴を内側から薄手のリムストリップで塞いでいるだけなので、劣化するとリム穴のエッジが容赦なくチューブを削ってきます。
私がファットバイクで初めてパンクを経験したのも、このリムストリップの劣化が原因でした。
現在は劣化の早いPVC製にかわり、耐久性に優れるナイロン製のリムストリップが主流になっていますが、それでも高圧で使い続けたり、屋外駐輪したりすると劣化が早まります。
最近はチューブレス化の兼ね合いでホイールにリム穴の無いファットバイクも多いですが、MATE XやBRONXなどの街乗り用ファットバイクなんかにもリム穴がありませんね。
後者の場合はママチャリと同じように、出来るだけノーメンテで乗り続けられるようにという配慮があるのかも知れません。
さて、取り出したファットバイク用27.5インチチューブは500gを僅かに上回る重量。
交換したREVOLOOPが約160gですから、チューブ交換だけで340gの軽量化となりました。
因みに、ファットバイクをチューブレス化する場合、注入するシーラント量はタイヤ一本あたり150~200mlとなり、この時点で重量面はTPUチューブと同等かそれ以上。
さらにチューブレスリムテープが一巻きで約30g、チューブレスバルブが一本約10gといった重量が加わるため、トータルで見るとチューブレス化の方がTPUチューブよりも重くなるという、ちょっと面白い結果になります。
取り合えず、休眠中の27.5インチホイールは前後共にTPUチューブ化できたものの、問題は現在ヘビロテ中の26インチホイールをどうするかですね。
このタイヤにも重量400g以上のブチルチューブが入っている筈ですが、どうしたものでしょう……
二月も半ばに差し掛かり、そろそろ汎用タイヤを装備した27.5インチホイールにバトンタッチしても良い頃合いなのですが、いまになって暖冬傾向だった一月の憂さを晴らすような積雪。
スノータイヤで走って、ちょうど気持ちが良いくらいの路面状況が連日続き、交換するのが少し勿体なく感じています。
普通なら「こっちのタイヤにTPUチューブを入れ直せば良いのでは?」と思うでしょうが、TPUチューブには「一度伸びたら伸びっぱなし」という良く知られた性質があり、チューブの使いまわしに制限があります。
一度でも4.8インチ幅のこのタイヤに使ってしまうと、以降それよりも小さな幅のタイヤには使いまわしできなくなるため、やるなら未使用の予備TPUチューブも総動員する覚悟が必要に。
このコスパの悪さがTPUチューブ最大の欠点な気もしますが、それでもファットバイクには効果覿面なので本当に手放せません。
因みに、TPUチューブはポリウレタン製だけに、経年劣化や加水分解が付き物です。
エーテル系のTPUなら加水分解に強いそうですが、大抵のポリウレタン製品は製造された直後から劣化が始まり、三年ほどでそれが顕著になり、最長でも五年ほどで寿命を迎えるとのこと。
未使用でコレクションしていたスニーカーが、いつの間にかボロボロになっていた……こういった例がよくありますね。
この寿命を長いと見るか短いと見るかは人それぞれですが、「タイヤを交換する際はチューブも一緒に交換しましょう!」が暗黙のルールになっている自転車界隈からすると、一応実用レベルと言えるのかな?
フルサス29erに使用中のTPUチューブがそろそろ三年目に突入するので、こちらも忘れずに交換せねば。