そろそろ秋の気配を感じるようになり、春先から寝かせていたファットバイクの本格稼働も間近。
カスタマイズ用のパーツも一通り揃い、後は交換や組み付け作業に移るだけなのですが、今回はとある情報の検証をしてみたいと思います。
さて、私が増車したファットバイクは最近ちょくちょく見掛けるようになった27.5インチホイールが採用されています。
ホイール径が大きくなった分、低圧時は前後方向への接地面積が増え、4インチ幅のタイヤでも走破性は26×4.8インチタイヤ並みとのこと。
ですが、良いことばかりではなく現時点でまともに使えそうな軽量タイヤの選択肢がほぼゼロ、おまけに軽量チューブも存在していないという落とし穴があり、26インチホイールよりも足まわりが鈍重になってしまうのが悩みの種。
せっかくホイールがチューブレスに対応しているのだから、シンプルにチューブレス化してしまえば万事解決では?
そんなふうに頭では理解できているのですが、ファットバイクに超軽量なTPUチューブを長いこと愛用していた私にとって、タイヤ一本あたり100ml以上のシーラント注入や面倒なチューブレスリムテープの貼り替えが必須なチューブレス化が、それほど魅力的に映らないのも事実です。
あれこれ悩みつつ、諦めの悪い私は少しでも軽いチューブを求めて情報収集していると、愛用するファットバイク用TPUチューブ「REVOLOOP/レボループ」に待望の27.5インチファット用が存在することを知ります。
あっさり解決!と思ったのも束の間……このご時世の品不足が原因なのか、リリースさてたばかりで流通量が少ないだけなのか、海外通販を含めても取り扱っているお店が数えるほどしかありません。
しかも、おそらくインフレの影響でチューブ一本がドル円換算で¥7000という驚きのお値段、普通にタイヤが買えてしまいます。
う~ん、予備チューブを含めた三本で¥20000超え、それに送料や輸入消費税が加わりますから、たかがチューブに¥30000弱の出費を覚悟しなければなりません。
これは流石に時期を待った方が良さそうだ……と諦めますが、某海外通販の販売ページに気になる一文を見付けてしまいます。
「豆知識 : RevoLoop チューブの 26 インチ バージョンは 27.5 インチ バージョンと同じです」
この一文を加えたのは、ひょっとして神か?
機械翻訳につき、この文章の正確な内容を把握しきれていませんが、先に発売された26インチ版と後発の27.5インチ版が同じ仕様になっている。
または、大は小を兼ねるということで、後に発売された27.5インチ版にファットバイク用チューブの仕様が統一された、このどちらかである可能性が汲み取れます。
幸い、26インチ版はまだ今までと同じ価格で入手可能……「これは試さずにはいられない!」ということで、早速27.5インチホイールのファットバイクで検証してみることにしました。
27.5インチホイールに26インチ用 REVOLOOP「REVO.FAT」は取付けできるのか?
前回購入したのがリリース直後の2019年でしたから、三年以上ぶりの購入ですね。いつの間にかパッケージもリニューアルされていました。
思い切って三本くらい……とも考えましたが、ガセネタだった時のダメージが大きいので今回は一本だけのついで買い。
26インチ版でも¥3000以上しますし、TPUチューブはブチルチューブと違って一度空気を入れると完全には復元しないというチューブらしからぬ性質があるので、失敗したら目も当てられません。
重量は初期モデルと比べて15g重く微増傾向でした、耐久性の面で改良があったのかも知れませんね。
見た目はイカの切り身に似た半透明の乳白色、質感は水分補給用のハイドレーションパックに似ていて、しっかりとした強度を感じます。
さて、早速チューブを取付けてみよう!と27.5インチタイヤ45NRTH「VANHELGA」の腹を開いてみると、思わぬ事実が発覚します。
チューブレスレディ対応を謳ったホイールなので、今どきの完成車に倣って予めチューブレスリムテープが巻かれていると思いきや、リムストリップのみというサービス精神の無さ。
納車後すぐに確認しておけば良かった……と軽く後悔しましたが、このホイールをチューブレス化するには78mm幅のチューブレスリムテープを別途で購入し、リムストリップの上からテープを重ね貼りをする必要があります。
さらによく見てみると、辛うじて劣化の早いPVC製ではありませんでしたが、ナイロン製のリムストリップがリム穴のエッジ部分で擦れて、あと少しで破れてしまいそうな気配も。
最近はリム穴のあるホイールは少なくなったとはいえ、ファットバイクがパンクする原因の一つがリムストリップの劣化ですから、これは看過できません。
どうやら、SUNRINGLE純正のリムストラップは使われていないようで、リムストリップの幅が広すぎるが故に、チューブレスリムテープを上からリムに密着させる「貼り代」のスペースが殆どありません。
調べてみると、こちらのホイール「SUNRINGLE MULEFUT 80 V2」を チューブレス化するには、78mm幅のチューブレスリムテープの他に、60mm幅のSUNRINGLE純正リムストリップが必要らしく、これらの組合せでホイールの気密を維持する模様。
劣化が見られるのでリムストリップの交換は確定ですが、予想外の出費ですね……予備も含めてしぶしぶ四本まとめて注文しましたが、27.5インチファットバイク用のリムストリップなんて純正以外の選択肢がありませんから、こちらも入手難易度が高かったです。
因みに、使用されていたブチルチューブは519gと激重でREVOLOOP三本分以上のボリュームでした。
しかし、リムストリップといいチューブといい、製造元が不確かで低品質な物が目立ちますね……サルサは見えない部分のコストダウンがえげつないです。
やたらと前置きが長くなりましたが、ここからが本番。
取り合えずバルブ穴にバルブを通して、チューブをホイールの外周に沿わせてみました。
この時点でパツパツだとガセネタ確定でしたが、ほど良いゆとりがあり何となく行けそうな予感。
REVOLOOPに限らず、TPUチューブはチューブをタイヤに入れていない状態で膨らませるのはご法度なので、許容値である0.5bar以下を目安にポンピング。
空気圧が0.25barで上画像のような状態になりました。
この時点では、まだTPUチューブが伸びていないのでリム幅に対してチューブが細すぎますが、ある程度空気を注入してもリムに接するチューブの内周部分にはシワが見られるので、サイズ的な余裕はまだ十分にありそう。
結局、そのままポンピングを続けて上限である0.5barにしても、この状態ではチューブ内周部分がリム内側に隙間なく密着したり、過度に擦れてしまうことはありませんでした。
続いて、チューブをタイヤに収め、ビードが上るまで空気を注入してみます。
新品のTPUチューブはまだタイヤサイズに合わせて伸びていないため、なかなかタイヤとリムの隙間が埋まってくれませんが、1.0bar辺りでようやく反応が出始めます。
1.0bar前後からパチンパチンとビードが上る破裂音が響き渡り、そのまま新品のTPUチューブをタイヤにフィットさせるため、タイヤの空気圧上限である1.4bar付近までポンピング。
ご覧の通りビードが完全に上がり、全周に渡ってしっかりとタイヤラインも確認できます。
心なしかブチルチューブの時よりもリム穴の膨らみが小さく、リムストリップへの圧迫が軽減されている印象も。
結果的に27.5インチホイールに26インチ版TPUチューブは何の問題もなく取付けできましたが、まだサイズオーバーによりチューブが歪に変形する可能性も捨て切れないので、空気圧1.4barのまましばらく放置しておくことにしました。
24時間後にタイヤを再確認してみましたが特に異変は無く、タイヤの手触りや張り、内部の反響音もいつものREVOLOOPのまま。
念のためチューブを取り出してみても、失敗したバルーンアートのようなTPUチューブ特有の不均一な変形は見られず、チューブ内周部分にも傷や圧迫痕は確認できませんでした。
まだ実際にライドしていないので、評価は100点満点中の50点というところですが、この程度のサイズオーバーなら不都合が無いみたいですね。
REVOLOOPファットバイク用チューブの「26インチ版=27.5インチ版」説は未だ不明瞭なものの、取付け限定で26インチ版チューブを流用できるのは確かで、某海外通販の豆知識に嘘偽りはありませんでした。
まとめ
あとは実際に乗ってみて不具合が出ないことを祈りたいですが、低圧での使用には不安が残るため、下限は0.5barくらいが安全圏でしょう。
この結果から26インチ版 REVO.FATの追加購入も視野に入りますが、その前にリムストリップをSUNRINGLE純正品に交換する必要があるため、試走はもう少しだけ先の話になりそう。
因みに、TPUチューブは表面がツルツルしているためタイヤ内で摩擦を生みづらいそうです。あくまでも私見ですが、その特徴がサイズオーバー時にもプラスに働いてくれるかも知れません。
今回はTPUチューブでの試みでしたが、ひょっとしたらブチルチューブでもいけるかな?
27.5インチ用ブチルチューブはどれも500g前後なので、300g台と軽量なSCHWALBE「13J-SV」やSURLY「ultra light tube」あたりで試してみたいところ。
まあ、今回使ったREVOLOOPよりも安いのが一番の魅力かな……半額以下ですし。