オンロード、オフロードを問わず、珍しく無くなった自転車のチューブレス化。
正確にはピュアチューブレスではなく、タイヤシーラントの手助けが必要なチューブレスレディのことですが、私もグラベルロードをチューブレス化して運用しています。
グラベルロードに乗り始めた最初の一年は定番のスタンズ製シーラントを使用していましたが、タイヤサイドからのシーラント滲みが日に日に酷くなったため、タイヤ交換のタイミングで他のシーラントに鞍替え。
スタンズ製の後釜に座ったのは評価の高いMUC-OFF/マックオフ製のシーラントで、正式名称は「No Puncture Hassle Tubeless Sealant」
UVライトに反応する毒々しいピンク色が目を引きますが、最大6mmまでの穴やサイドカットに対応、最長で180日の持続性、ホイールを腐食させず水洗いが可能、CO2カードリッジに対応と機能面の充実ぶりは流石の一言。
半年ほど使い続けてみても、パンクはもちろんタイヤサイドやトレッド面からのシーラント滲みも起こらず、期待した通りの働きをしてくれています。
だだし、個人的に気になるといいますか、杞憂に思っている点が一つ。
水のようにサラサラなスタンズ製シーラントに慣れていたこともありますが、マックオフのシーラントは粘度が高すぎて、タイヤ内での挙動に一抹の不安が。
ユーザーの方は実感していると思いますが、マックオフのシーラントはホットケーキミックスのような粘り気があり、タイヤ内での流動性はかなり控えめ。
タイヤ内で自由に動く液体というよりも、タイヤ内側に張り付いたままシーラントが待機しているような状態になります。
確かにこの状態なら即座に穴を塞いでくれそうですが、シーラントの残量が把握しづらく乾燥に気付きづらいという欠点も。
粘性の低いシーラントならタイヤ空転時の水音で判断できたり、バルブコアを外した後に棒状の物を突っ込んで残量を確認したりできますが、粘性の高いシーラントはタイヤの腹を開くしか確実な手段がありません。
不精な方には耳の痛い話ですが、追いシーラントをしないままズルズルと一年近く乗り続けてしまい、肝心な時に穴が塞がらなかった……そんな話もよく聞きます。
また、夏場の高温によってシーラントが想定以上に目減りすることもあり、足まわりの軽量化を意識して注入量をケチったりするとこの罠に陥りがち。
こういったシーラント不足の状態からライドに復帰するには、予備チューブを使うかシーラントを追加するかの二択になりますが、予備のシーラントを携帯している方は稀かも知れませんね。
さて、やたらと長い前置きでしたが、ここからが本題。
心配性の私はチューブレス化しても予備チューブはしっかりと持ち歩いているものの、作業が面倒なので極力頼りたくないのが本音です。
前々から、予備シーラントの携帯を目論んでいたのですが、マックオフのシーラントは140mlのパウチが最小サイズとなり、市販されているゼリー飲料とほぼ同じ大きさ。
少し嵩張るなぁ……と半年近く逡巡していると、今になってマックオフから80mlサイズのパウチが新たに加わるとともに、ロードやグラベルバイクに特化した新しいシーラントが登場するとの情報が。
今まで一種類だった「NO PUNCTURE HASSLE TUBELESS SEALANT」がマウンテンバイク用とロード&グラベル用の二種類に細分化され、それぞれ異なる個性を獲得。
マウンテンバイク用は旧シーラントと中身が全く一緒なものの、新登場のロード&グラベル用はシャバシャバと水のような質感に。
高粘度な旧シーラントは高圧で運用するロード系タイヤには不向きでしたが、低粘度化とミネラルフレークや竹粒子の配合により、パンクしたら即座に穴を塞いでくれるとのこと。
旧シーラントの長所はそのまま継承しつつも、ロードバイクやグラベルロードに特化した製品に仕上がっていて、最大7mmまでの穴に対応するなど、機能的にマウンテンバイク用を上回る部分も。
ロード&グラベル用の新シーラントは110PSI/7.6BARまでの高圧タイヤに対応しますが、マウンテンバイク用シーラントとの使い分けはタイヤサイズと空気圧が目安になります。
●タイヤサイズ40c以上、空気圧50PSI/3.4BAR以下ならマウンテンバイク用シーラント
●タイヤサイズ40c以下、空気圧50PSI/3.4BAR以上ならロード&グラベル用シーラント
マックオフ公式によると、概ねこういった使い分けが推奨されていました。
タイヤサイズが40c以上で空気圧が50PSI以上の場合はどうすればいいの?
こういった素朴な疑問も浮かびますが、私の経験からするとタイヤサイズに関わらず高圧運用でパンクするとシーラントがヘアスプレー並みの勢いで噴出しますから、瞬時に塞がるロード&グラベル用シーラントを頼るのが正解でしょう。
また、したくても高圧にできないフックレスリムも少し判断が難しいかも知れません。
40c以下の低ボリュームタイヤでも3.0BAR以上の高圧にできないことがあるので、どちらのシーラントを使うのか悩ましいところです。
余談ですが、同じマックオフ製でもマウンテンバイク用とロード&グラベル用とでは成分が異なるため、混ぜて使ううのはNGとのこと。
さて、気になる容量は5L/1L/500ml/140ml/80mlの五種類で、500mlと80mlが新たに追加されています。
個人的に携帯用として期待していた80mlパウチですが、パッケージサイズは140mlパウチと大きな違いは無く、容器が薄く軽量になったくらいの違い。
薄くなった分だけバッグ類への収まりが良くなるのは確かなものの、80mlパウチが1540円、140mlパウチが1980円なだけに、140mlを購入して追いシーラントで目減りさせてから携帯用にするのも手でしょうか。
因みに、80mlパウチも140mlパウチも注ぎ口が仏式バルブにジャストフィットするので、別途シリンジを準備する必要がありません。
私のグラベルロードは高圧にしづらいフックレスリムなので、ロード&グラベル用の新シーラントに切り替えるべきか判断に迷いますね。
タイヤ内でシーラントがシャバシャバしているくらいの方が安心するので、既に答えは出ている気も。