アンテナの高い方はマメにチェックしているのでしょうけど、私はサイクル系のメディアには疎いタイプ。
一度ソレ知ってしまったら、物欲が抑えられなくなる……
そんな業の深い理由からマメな情報収集はしておらず、周回遅れで知った新規格や新製品の話に驚かされることもしばしばです。
今回の話題もそんな物のひとつですが、いつの間にやら気になる製品がリリースされていました。
トップ画像やタイトルでバレバレですが、私が興味を惹かれたのはWOLFTOOTH/ウルフトゥースのロックオン式フォームグリップ「FAT PAW LOCK-ON GRIPS」です。
MTBなどのオフ車乗りにはもはや説明不要ですが、柔らかさとモチモチとした弾力を併せ持ち、マシュマロとグミを掛け合わせたような握り心地を備えているのがフォームグリップの特徴。
握り心地・グリップ力・振動吸収・耐久性・耐候性などなど、グリップに求められる要素を卒なく詰め込んだような製品で、一度使ったらもう元のグリップに後戻りできなくなる……そういった方も多いです。
私もその一人ですが、過去に地元のサイクルショップで実物に触れたことがフォームグリップにハマった切欠ですね。
当時、ロングライドでの手の痛みに悩んでいた私は、ほんの一瞬でその独特な感触の虜になってしまい、帰宅後も頭から離れなかった覚えがあります。
私を虜にしたグリップの正体はESI GRIPSの「CHUNKY/チャンキー」で、フォームグリップの元祖とも呼べる存在でした。
その後、たまらず購入した上位モデルのエクストラチャンキーがフルサスMTB用として三年も頑張ってくれたことで、私の中でフォームグリップはマストな存在となります。
さて、個人的に推しまくりなフォームグリップですが、今回の話題に繋がるちょっとした欠点があるのですよ。
むちゃくちゃ着脱しづらい……
ぶっちゃけると、これです。
よくあるラバー製グリップでもお馴染みの症状ですが、フォームグリップはそれに輪を掛けて酷く、取付けに関するHOW TO動画が多数存在しているほど。
ですが取付けはまだマシな方で、本当に厄介なのは取外しの方。
ご家庭にある器具だけで試みると、高確率でハンドルかグリップのどちらかにダメージが及び、グリップを無傷で取外すのがとにかく困難なのです。
もうおわかりですよね?
ようやく登場したんですよ、着脱が簡単にできるLOCK-ON/ロックオン式のフォームグリップが!
私情まみれの前置きが長くなりましたが、今回は個人的に絶対購入したいグリップこと
ウルフトゥースの「FAT PAW LOCK-ON GRIPS」にスポットを当ててみたいと思います。
実は二番手?WOLFTOOTH「FAT PAW LOCK-ON GRIPS」の詳細
外観は既存の非ロックオン式グリップであるWOLFTOOTH「FAT PAW」をそのままロックオン式に落とし込んだ印象で、カラーバリエーションは全8種類。
握り部分の素材は引き続きシリコンフォームが採用され、高いクッション性と共に劣化のしづらさも折り紙付き。
長さは132mmでペア重量は153g、握り径はΦ36mmと無印FAT PAWと同サイズを維持しています。
ロックオン式は内部に芯材となる1~2mm厚のプラ製円筒が必要になるため、どうしてもその分だけシリコンフォームが目減りしますが、この辺の影響が少し気になるところ。
愛用していたESIのエクストラチャンキーは芯材無しの握り径Φ34mmでしたから、実際に握った際のクッション性は目減りした分だけこちらと同等くらいの感覚でしょうか。
握り径Φ36mmだと上画像のようなサイズ感になり、一般的なラバーグリップと比べるとボリューム感の差は歴然です。
ウルフトゥースには更に肉厚なMEGA FAT PAWもラインナップされていますが、こちらは握り径Φ40mmの非ロックオン式。
トイレットペーパーの芯が内径Φ38mmとJIS規格で定められていますから、紙の厚みを加味してもそれより握り径が太いことになります。
手の小さい方には間違いなく不向きですし大抵の日本人にもオーバーサイズなので、使いたいなら街乗り用に限定するのが良さそう。
参考までに、グローブがMサイズの私で握り径Φ34mmのエクストラチャンキーが太すぎず細すぎずな感覚。
もちろん、三年間の使用歴で危なげな経験は無く、よく手に馴染んでくれました。
恐らくΦ36mmでも普通に握れますが、グローブがSサイズくらいの方はウルフトゥースではなく握り径Φ32mmの無印チャンキーあたりの方がフィットするかも知れません。
残念ながら、ESIからはロックオン式のチャンキーはリリースされていませんが、元祖だけにそろそろ登場しそうな予感がします。
さて、冒頭から「ウルフトゥースが遂にロックオン式のフォームグリップをリリースしてくれた!」的な流れで紹介していますが、実はウルフトゥースがパイオニアという訳ではありません。
10年近く前にRedMonkey Sportsが「KLÄMPZ LOCK-ON SILICONE GRIPS」というロックオン式のフォームグリップをリリースしており、どちらかと言えばこちらが元祖。
長さは132mmでペア重量は113g、握り径はΦ35mmでシリコンフォーム層が5mmとスペック的には申し分ありませんが、ウルフトゥースの登場で完全に影が薄くなってしまいました。
グリップの握り部分にも幾つかのカラーバリエーションがあることと40gほど軽量なのがウルフトゥースとの違いですが、今も昔も日本国内からの入手が難しいので、あえてこちらを選ぶ理由は無いかも知れません。
国内では殆ど知られておらず、見掛けたら相当なレア物です。
話が少し脱線しましたが、「FAT PAW LOCK-ON GRIPS」には組合せ可能なアルミ製のバーエンドブラグがあり、付属の樹脂製エンドキャップからのドレスアップも可能。
ウルフトゥースだけに少しお高めですが、グリップとセットで揃えたくなりますね。
昨今の世界的インフレと円安の影響で海外ブランドの製品は高嶺の花になりつつありますが、フォームグリップは寿命が長い上に加水分解でべとつくことも無いので、多少高価でもランニングコストは悪くないと感じます。
現在、グリップを使えるオフ車はファットバイクしか持っていませんが、名称がFAT PAWだけに相性も良さそう。
余談ですが、フォームグリップはラバーグリップよりも手が冷えづらい特徴があり、真冬にライドするファットバイクにはおあつらえ向きな装備だったりします。
まとめ
簡単に取外しできないのがフォームグリップの弱点でしたが、ロックオン式の登場により死角が無くなりましたね。
すぐに取外せるのでハンドルやレバー類の交換も苦になりませんし、非オープンクランプ式のマウントも怖くありません。
手のひらが痛くなりやすいロングライドにはモチモチのフォームグリップ。
操作性を重視したいトレイルには今まで通りのラバーグリップ。
着脱の容易さを活かして、コースやライドに応じてグリップを交換するのも一興でしょうか。