過去の記事でも触れたことがありますが、ファットバイクは既に規格が定まっているロードバイクと比べてパーツやアクセサリー類が手に入りづらい傾向にあり、価格も割高になってしまいます。
雪上を含む春夏秋冬の一年間、ファットバイクに乗って感じた長所と短所について簡単にまとめています。
私がファットバイクに乗り始めた頃は現在よりも更に状況が悪く、タイヤはもちろんチューブやリムテープ(リムストリップ)、各種スタンドや専用のポンプなど、必要となる装備を一揃えするのに結構な労力と出費を迫られた記憶があります。
特に困難を極めたのがファットバイクに採用されていたスルーアクスル対応のスキュワーで、現在でもどうやって入手するのか不明瞭な点が多いです。
ファットバイクのハブ規格とエンド幅
ファットバイク界隈はここ数年でようやく黎明期を抜け、混沌としていたハブ規格も幾つかに絞られています。
フロントのエンド幅には135mm/142mm/150mmの代表的な規格があり、その中では150mm×Φ15mmが一歩リードし、ほぼ標準化している印象でしょうか。
リアのエンド幅には170mm/177mm/190mm/197mmの代表的な規格があり、Φ12mmが定番化しているもののエンド幅は4インチファットで177mm、5インチファットで197mmがほぼ標準になっていますね。
因みに私のファットバイク、2016年モデルのアーガスエキスパートはフロント150mm×Φ15mm、リア190mm×Φ12mmなので、現在ではレアなこの規格に沿ったスキュワーを探すことになります。
ファットバイク用スキュワーは何処で入手する?
ファットバイクのスキュワー(貫通軸)はMTBや一部のロードバイクで採用されている、スルーアクスル(THRU-AXLE)規格が一般的な仕様になっています。
本来なら、一からファットバイクを組み上げでもしない限りスキュワーを別途に必要とすることはありませんが、誤ってリア用スキュワーのレバー部分を破損してしまい予備のリア用スキュワーを探す羽目になりました。
幸い実用に問題が無かったので、それほど危機感を覚えず軽い気持ちで探していたのですが、いくら探してもファットバイク用のスキュワーが見つからないのです…
ひょっとして、スルーアクスルのスキュワーは単体で販売されずハブやフォークとセットでしか販売されていないのでは?と勝手に予想を立て、ファットバイク用のハブでは有名処のSURLY(サーリー)、Industry Nine(インダストリーナイン)、HOPE(ホープ)、DT Swiss(ディーティースイス)の各HPを調べてみましたが、辛うじてDT Swiss(ディーティースイス)で取扱いがあります。
DT SwissはRWSというレバー部分が大変使い勝手の良いスキュワーが有名なので、これはイイ!!と期待していたのですが、ファットバイク用でエンド幅が190mm/197mmのリアハブを販売しているにも関わらず、何故か対応するリア用スキュワーがラインナップされていませんでした。
ついでにフロント用スキュワーを確認してみると、対応する150mm×Φ15mm規格の製品はあるもののレングスの表記に馴染みが無く、詳細もわからずじまいです。
全体的に表記が不親切な印象のDT Swissでしたが、調べているうちに『ネジ長』と『ネジピッチ』という新しい概念を知れたのは収穫でした。
『ネジ長』は文字通りネジ部分の長さで、DT Swissのレングス表記はこの部分がスキュワーシャフトのレングスに含まれているのか否かが不鮮明です。
また、ネジピッチは隣り合うねじ山の間隔の値でファットバイクのフロント用スキュワーは15M(ネジの外径)×1.5(ネジピッチ)と表記され、ネジピッチは1.5mmという値になります。
諦め切れずハブがだめならフォークか?と思い、ファットバイク用エアサス『ROCKSHOX Bluto』を販売しているROCKSHOXのHPも覗いてみると、Blutoは標準でスキュアーが付属して販売されていることがわかります。
スキュワー単体での取り扱いは無いかと更に調べてみると、アクセサリーのカテゴリーに『Maxle Lite』シリーズというスキュワーを見つけます。
Maxle LiteシリーズにはFront、Rear、Ultimateの三種類があり、ファットバイクのフロント用150mm×Φ15mm規格はしっかりと取扱いがありました!!
さて、肝心のリア用ですが…残念ながらこちらにもリア用スキュワーが見当たりません。
ですが、海外では『Maxle Ultimate Fat Bike』という名称でリア用スキュワーが販売されていて、177mm×Φ12mmと197mm×Φ12mmの二つの規格に対応しています。
私の規格は190mm×Φ12mmなので、残念ながら使えませんがSURLYのリアエンド幅を強く意識したスキュワーと言えるでしょうか。
実はアマゾンで簡単に入手可能、でも…
ファットバイク用のパーツと関わりの深いメーカーを幾つか当たってみましたが、リア用のスキュワーが見当たりません。
ですが、実はアマゾンで普通に取扱いがあります。
『スキュワー ファットバイク』といったワードで検索すると、ICAN(アイカン)やIMUST(アイマスト)など、アマゾンで増殖中のいわゆる中華メーカー製のスキュワーが見つかり、単品およびフロント&リアのセットで販売されています。
エンド幅の規格も大半が網羅され、197mm×Φ12mm、170mm×Φ12mmのリア用スキュワーや、私の求める190mm×Φ12mmも取扱いがあり、中華メーカー製という不安はあるもののダメ元で試してみる価値はありそうです。
どのスキュワーもレバー部分を除いた長さと重量くらいしか詳細が無く、ネジ長やネジピッチの記載がない事に不安を感じますが、中華通販のAliExpress(アリエクスプレス)でシャフト部分に寸法の刻印がある同規格のスキュワーを見る限り、どうやらファットバイクのリア用スキュワーはフロントと同様にネジピッチが1.5mmな模様。
ぶっちゃけネジ長に多少の違いがあってもネジピッチが適合しエンド幅が対応してさえいれば問題なく使えそうです。
ネジピッチはピッチゲージで正確に測定できるそうなので、ファットバイク用のスキュワーを購入する場合は手持ちのスキュワーのネジ長やネジピッチ、ネジ長を含むシャフト部分の長さを把握しておくと失敗が少なくなると思います。
因みに、中国からの配送になるため結構な送料が必要になりますが、金食い虫のファットバイクでは許容範囲な出費でしょうか。
まとめ
ファットバイクのオーナーならパーツの入手性やコスパの悪さは覚悟の上だと思いますが、ファットバイク用のスキュワーの場合、購入したサイクルショップや国内の販売代理店に相談してみるのも良いでしょう。
ファットバイクのスキュワーはフロント用が比較的容易に入手でき、リア用が入手困難という状況にありますが、リアエンドの規格が今以上に絞れられてくればもっと探しやすくなるのかも知れませんね。
個人的にリアエンド190mm幅が無くならないように祈りたいです…
【追記】ファットバイクを取り巻く状況もここ数年で随分と様変わりしました。エンド幅やスキュワー規格の情報は、以下の記事にて追記していますので、興味のある方は是非ご覧になって下さい。