噴射12mのスプレー登場!自転車で使う『クマ除けグッズ』を再検討

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そろそろ本気で考える時期かも……

そう思いつつも、二の足を踏んでいるのがライド中のクマ対策。

私の住む地域ではクマの出没が常態化しているため、割と切実な悩みだったりします。

もともと田舎なこともありますが、ここ数年でお気に入りだったコースが次々とクマの頻出地域となり、安心して走れる場所はもはや数えるほど。

正直な話、クマ出没による不安よりもライド先の自由度が制限されてしまうことの方がストレスで、本気のクマ対策もやむなしといった心境でしょうか。

一応、以前からクマ鈴だけは使用しているものの、効果に関してはかなり懐疑的です。

こちらがクマのテリトリーに踏み込むトレイルライドでなら一定の効果を発揮するのかも知れませんが、半ばアーバンベア化した個体には疑わしい限り。

ご当地では、それこそ通学時の小学生から散歩中の高齢者までこぞってクマ鈴を使用しているため、クマが慣れてしまわない方が逆に不自然です。

実際、人里近くのクマがどのような音に敏感に反応するかという検証をされた方もいて、クマ鈴・ラジオ・自動車の走行音といった、音が鳴り続ける要素にはほぼ無反応という結果に。

それに対し、単発的に大きな音を発するサイレンや破裂音にはしっかりと反応していて、銃声を模した発砲音には警戒感を露にしていました。

当然のことながら、クマ鈴だけではライド中の不安は拭いきれず、あと一歩踏み込んだクマ対策をしたいところ。

やっぱり「クマ撃退スプレー」がマストか?

このセリフが真っ先に頭に浮かぶものの、不慣れな初心者には扱いの難しいシロモノであるのもまた事実。

10000円前後と高価な上に使用期限がある。

実際にクマと正対して使うには胆力が要る。

風向き次第では使えず、自爆するリスクもある。

強力な製品は使用者の皮膚に触れても危険がある。

自転車だと咄嗟に使えない可能性がある。

クマ撃退スプレーを使うには、こういったマイナス要素と向き合う必要があり、実用面には目を瞑って万が一のお守りとして携帯している方も珍しくありません。

私自身、そろそろ携帯すべきという危機感は持ち続けていますが、タイミング良くアウトドア界のユニクロと呼ばれるモンベルがクマ撃退スプレーの取扱いを開始するという気になる情報が。

噴射距離が最大12mとのことで俄然興味が湧きますが、今回は自転車用のクマ除けグッズやクマ撃退スプレーについて話題にしてみます。

噴射距離12mのSABRE社「フロンティアーズマン ベアスプレー」

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モンベルが取り扱いを始めたといっても製造元は米国のSABRE/セイバー社で、製品名は「FRONTIERSMAN BEAR SPLAY」

モンベル公式では「フロンティアーズマン ベアスプレー」という名前で紹介されていて、使用期限は製造から四年とのこと。

噴射距離が最大12mというのが大きな売りになっていて、9~10.5mだった旧モデルからパワーアップしています。

米国製につき、ツキノワグマだけでなくヒグマにも対応していて、北海道民も安心して使える全国仕様。

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ラインナップは234mlタイプと大容量の272mlタイプの二種類で、噴射可能時間は234mlタイプが6~7秒、272mlタイプが7~8秒。

もちろん一回で使い切る必要は無く、複数回に分けて使用することも可能。

注目すべきは、練習用のプラクティススプレーも準備されている点で、噴射するまでの流れや実際の使用感を事前に学習できるのも魅力でしょうか。

当たり前ですが、練習用には有害な成分が一切含まれていないため、あえて向かい風の状況下で使用し、噴射後の挙動を確認してみるのも悪くありません。

気になるサイズ感は234mlタイプがΦ5.3cm x 22cmで304g、272mlタイプがΦ5.3cm x 24cmで345gとなり、重量は缶ジュース一本分とほぼ同じ感覚になりそうです。

価格は234mlタイプが12100円、272mlタイプが13200円、練習用が6800円で、どれも税込み。

練習用がちょっと割高なのが気になりますが、本番用がヒグマ対応でこの価格なら十分許容範囲でしょうか。

因みに、ホルスターは付属していないので、こちらは別途で購入が必要。

ホルスターの有無は咄嗟に使えるか否かを大きく左右するので、危険地帯に自ら赴くような方はスプレーとセットで購入するのがオススメです。

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スプレーの使い方は上画像の通りで、セーフティクリップの仕様は大体どの製品も共通していますね。

噴射距離が12mと聞いてもあまりピンと来ませんが、路線バスや観光バスの長さがそのくらいでしょうか。

クマと人との間に、ちょうど大型バス1台分の安全マージンを確保できることになります。

また、クマ撃退スプレーには水性と油性の二種類があり、前者はツキノワグマ用、後者はヒグマ用である場合が多く、フロンティアーズマンベアスプレーはもちろん油性。

油性タイプは粘着性が高く、長時間に渡ってクマに苦痛を与えて学習させることも目的としているため、誤って人体の目や皮膚に触れると洒落にならないダメージがあります。

「皮膚に付着した場合、多量の水で15分以上洗い流してください。」という注意書きが物語るように、油性は大量の水が無いと除去できないため、水性のツキノワグマ用とは勝手が違うことだけは留意したいところ。

自転車で使える、その他の「クマ除けグッズ」あれこれ

自転車に『クマ鈴』つけてる?超便利な切替式ベルを購入してみたイメージ08

冒頭でも触れましたが、クマ鈴はかなり前から愛用中。

人を恐れなくなったクマの出現により効果のほどが疑問視されているものの、無いよりはマシということで使っている方も多いはず。

自転車用のクマ鈴はグラナイトデザイン「クリケット ベル」やTimber「MTB Bell」あたりがよく知られていますが、上画像は私が過去にやってしまった間違った使い方の代表例。

この手のクマ鈴の多くは路面の凹凸からの振動にはあまり反応してくれず、荒れた舗装路くらいでは無反応なことも珍しくありません。

本来はステム付近ではなくグリップ付近に取付けるのが正解で、ハンドリング動作によってベルを鳴らすのが正しい使い方です。

自転車に『クマ鈴』つけてる?超便利な切替式ベルを購入してみたイメージ09

とはいえ、グリップ付近に取付けるタイプのクマ鈴はロードバイクやグラベルロードとは相性が悪く、取付け場所に苦慮しがち。

唯一の例外が東京ベルの製品で、ステム付近に取付けてもしっかりと鳴り通常のベルとしても使用できる「TB-SZ1 鈴丸」というクマ鈴がリリースされています。

他にも、登山用のクマ鈴を自転車用として流用する方法がありますが、路面からの突き上げでクマ鈴が勝手にオフになってしまったりと、物に寄っては使い勝手がイマイチな場合も。

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本記事中でクマ鈴やラジオといった継続して音が鳴りつつける物にはクマの反応が薄かったとお伝えしましたが、その代替品として注目したいのがホイッスルや火薬玉鉄砲です。

一定時間毎にホイッスルを吹くのは面倒ですしヒルクライム中だと息も上がってしまいますが、クマ鈴よりも自身の警戒心を維持しやすいという心理的効果も少なからずあり、意外に馬鹿にできません。

火薬玉鉄砲は銃声を模した破裂音によりクマへのアピール効果が非常に高く、知人のMTB乗りが実際に使用していました。

爆竹よりもお手軽に使え謎のストレス解消効果も得られますが、クマよりも職質された時の方が厄介という欠点も。

また、クマ撃退スプレーを使いたいけど自爆が怖い……そんな方には、TMM社のPOLICE MAGNUM/ポリスマグナム「熊撃退スプレー 中型 B-609」がオススメ。

こちらはツキノワグマ用で噴射距離は5mと短いものの、本州で使う分には過不足なくサルやイノシシ、対人用としても使用可能。

直径Φ38mm、長さ172mm、重量163gとコンパクトなのも魅力で、万が一のお守りとして携帯しやすいサイズ感です。

因みに、上画像左の赤いスプレー缶は「COUNTER ASSAULT/カウンターアソールト」とうヒグマ対応の製品。

以前はヒグマ用といえばこちらの製品が定番でしたが、フロンティアーズマンと比べると価格が割高なのが難点でしょうか。

まとめ

最後に注意点をひとつ。

ほぼ全てのクマ撃退スプレーは航空法により航空機内への持ち込みが厳禁です。

北海道に飛行機輪行する場合に引っ掛かってしまう恐れがあり、必要ならばクマ撃退スプレーを現地調達しなければなりません。

一応、モンベルではWEBや電話から事前申し込みできるレンタルも実施していて、レンタル料金は3日間で2500円からとのこと。

とはいえ、自転車で北海道旅行する人が数日で済むはずもなく、結局は現地調達が一番の解決策になるのかも。

余談ですが、北海道一周をしていたサイクリストが、既に達成した他のサイクリストからクマ撃退スプレーをタダで貰えたという話を聞いたことがあります。

高価なのに気前の良い人がいるものだと感心したのですが、今思うと航空法の事情があったからなのでしょうね。

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