春と秋。
この季節は暑くも寒くもなく、自転車にとって実に快適なシーズン。
ですが、田舎に居を構える私にはちょっとした悩みがあります。

それが、こちら。
お目汚しで申し訳ありませんが、舗装路しか走っていないはずなのに僅か数分でグラベルタイヤがこの有様。

私と同じように田舎にお住いの方には既に察しがついていると思いますが、原因は田畑から舗装路上に持ち込まれた泥や土のカタマリ。
そうなんです、春と秋は農繁期でもあるため、タイヤにとっては不遇の季節。

トラクターのパドルタイヤからは泥のカタマリが容赦なく落ち、その上を考え無しに通過しようものならタイヤは瞬く間に土埃まみれ。
乾燥した土塊ならまだマシな方で、これが水気の多い粘土状だったならタイヤのトレッド面だけでなく、路面とはほぼ接触しないサイドサイドにもしつこく泥汚れが居座ることに。

余談ですが、最もこの被害に遭っていたのがファットバイクで、理由はその接地面積の広さ。
普通に走っても路上の土塊を拾いまくるため、農繁期には自主的にタイヤを汚しに行っているようなものでした。
ライドの終盤で意図的に路肩の雑草や公園の芝生をの上を走り、タイヤをクリーニングしてから帰宅していたのをよく覚えています……
今でも時々やってますけど、天然のタイヤブラシみたいな物でしょうか。
さて、田舎者の愚痴が長くなりましたが、ここからが本題。
この時期はタイヤが直ぐに泥まみれになってしまうため小まめに水洗いしたい衝動に駆られますが、ライドの度にいちいちタイヤを洗うのは流石に面倒です。
ファットバイクで悩んでいた頃から、もっと簡単にタイヤを綺麗にできる方法はないものかとアレコレ思案していましたが、今回はその手助けになりそうな製品を幾つかピックアップしてみました。
【キホンの基本】自転車にタイヤワックス・クリーナーが厳禁な理由

釈迦に説法かと思いますが、前置きとして自転車のタイヤにやってはいけないNG行為をひとつ。
かなり有名な話ですし、最近は本来の用途である自動車に使うのも疑問視されていますが、自動車用のタイヤクリーナー・タイヤワックスの類を自転車のタイヤに流用するのは避けましょう。
理由は成分に含まれる溶剤が自転車のタイヤには強すぎて返って劣化を助長することと、トレッド面に付着するとタイヤ本来のグリップ力が発揮されなくなるから。
かなり乱暴な物言いになりますが、この手の製品はタイヤの見栄えを良くすることが一番の目的で、タイヤに優しいか否かはまた別の話。
また、自動車用のタイヤワックスやクリーナーには油性タイプと水性タイプの二種類があり、タイヤへの負担が少ないとされる水性タイプでも自転車にはリスキー。
水性タイプには艶出し成分としてシリコンが含まれることがあり、ブレーキ面に付着すれば制動力の低下を招き、タイヤのトレッド面に付着すればスリップの原因にもなります。
スプレータイプのタイヤクリーナーは水洗いどころかブラッシングすらも不必要なので、時短目的で使ってみたくなりますが、ここはグッと我慢のしどころ。
特に油性タイプは水性以上にタイヤが滑りやすくなる上にタイヤコンパウンドへの攻撃性も高いので、自転車には使用しないのが賢い選択です。

ちょっと気になる製品として、自転車専用のタイヤコート剤もひとつだけ存在しています。
4℃REST/クレストヨンドの「BLACKSHIELD/ブラックシールド」がそれで、私の知る限り唯一無二の製品。
黒いゴム状の塗膜を形成する仕組みで、塗布後は下ろし立てのタイヤのような質感が三ヶ月ほど持続。
塗膜はサラサラとした手触りにつき汚れが付着しづらく、油抜けによるゴムの劣化も低減してくれるとのこと。
メーカー曰くタイヤサイドだけでなくトレッド面に使っても走行に影響はなかったそうですが、対象となるゴムの質によっては僅かにグリップ力が低下する恐れがあるため、ロード系タイヤのトレッド面への塗布は推奨されていません。
時短に繋がるクリーナー的な製品ではないものの、汚れが付きづらくなるなら試してみたくなる製品ですね。
因みに、タイヤの艶出し目的でワコーズのバリアスコートを使う方もいるそうで、トレッド面をしっかりと避けてタイヤサイドに少量だけ塗布してから拭き上げるのがコツだそうです。
擦るだけでも効果あり!汚れが落ちやすい自転車用タイヤブラシ

タイヤの水洗いが面倒臭いと言っておきながら、何故かタイヤブラシの紹介。
これには理由があって、質の良いタイヤブラシは水や洗剤を使わない乾拭きでも、それなりに汚れを落とす効果を備えているから。
靴磨きに使う豚毛ブラシっぽい使い方といえば、わかりやすいでしょうか?
さて、自転車用のタイヤブラシはマックオフの「TYRE & CASSETTE BRUSH」とパークツールの「BCB-4.2」が定番のツートップ。
パークツールはセット内に含まれているものの、どちらもブラシ毛がコシの強い作りになっていてタイヤ溝に詰まったしつこい汚れを掻き出す用途に長けています。
どちらも高評価なタイヤブラシですが、パークツールの方が毛の密度が高くヘッドも大きいため、スリックタイヤの表面を撫でるように乾拭きするなら、こちらの方が使い勝手が良さそうな印象でしょうか。
ついでなのでタイヤにも使える自転車専用洗剤にも触れておきますが、こちらはマックオフの「NANOTECH BIKE CLEANER/ナノテックバイククリーナー」だダントツで人気ですね。
タイヤを含む自転車全体に使用でき、泥汚れに強いのが人気の秘密。
対抗馬になりそうなのがピーティーズの「LoamFoam Cleaner」で、マックオフとほぼ同じ特徴を有しつつも、こちらにはボトル単体でフォームガン要らずな泡洗浄に切り替え可能というオマケ付き。
また、家庭にある洗剤で済ませたいなら食器用洗剤に代表される中性洗剤を薄めて使うのがベストで、どうしてもアルカリ性の洗剤を使いたい場合は腐食を招くアルミパーツに触れないような配慮が必要。

個人的に興味深かったのがこのふたつのタイヤブラシ。
画像左のタイヤブラシは二股になっているだけでなくブラシ部分を自由に曲げ伸ばし可能。
どんなタイヤにも包み込むように密着してくれるため、ブラッシングの時短に期待が持てます。
オリジナルはWhite Lightning「Easy Clean Tire Brush」のようですが、ECサイトで自転車用のタイヤブラシで検索すると類似品が簡単に見付かる程度には人気がある模様。
画像右のブラシもタイヤにフィットしやすい形状が採用され、ブラシ毛は非常に硬いナイロン製とのこと。
製品名は「Radon Tire Brush」で、トレッドパターンに詰まった泥や小石を掻き出しやすく、こちらは主にMTB用として重宝されています。
国内ではほぼ見掛けない製品ですが、おそらくOEMなのかOUMERS/オウマーズという自転車用工具ブランドがクリーニングセットの一部としてリリースしていて、こちらは普通に入手可能。

そして、自転車用に拘らないのなら最強の選択肢があります。
Vikan/ヴァイカンのハンドルブラシがそれで、自動車の洗車界隈ではかなり有名な製品。
毛の密度と耐久性が桁違いなデンマーク製のブラシで、先割れ加工が施された毛先は細かな汚れを逃さず掻き出すだけでなく、対象を傷付けない繊細さも兼ね備えています。
タイヤまわりの洗浄には大定番の「524652」がイチオシですが、自転車用になら少し小振りな「525252」でも十分かも知れません。
タイヤ表面を撫でるように使う乾拭きでも十分な効果を発揮してくれそうですが、水でタイヤを軽く濡らすと、洗剤要らずで面白いように汚れが落ちてくれます。
使い捨てのウエットクロス・モップでタイヤを時短掃除する

続いては使い捨て用品でお手軽にタイヤの汚れを落とす方法。
帰宅時にササッと簡単に使える反面、ノブありのタイヤにはあまり向かずタイヤ表面に凹凸の少ないスリックやセミスリックと相性の良いやり方でしょうか。
自転車乗りにとって最も馴染みがあるのが、ワコーズのフォーミングマルチクリーナーとワイプオールの組合せ。
フォーミングマルチクリーナーには余計な成分が含まれていないため、タイヤ全体に使用しても何ら不都合がありません。
乾拭きオンリーならユニ・チャームの「ウェーブ ハンディワイパー」が優秀ですが、過度な汚れにはタイヤブラシによる事前ブラッシングが必要になることもしばしば。
汚れを吸着できるのがモップの長所なだけに土埃の除去には高い効果を発揮しますが、タイヤそのものよりもホイールのリム部分の汚れを意識して使った方が効果を実感しやすいかも知れません。
そして、自転車乗りで意外に使っている人が多いのが花王の「クイックルワイパー 立体吸着ウエットシート」で、こちらも成分に余計な物が含まれていないのが強み。
エントラップ構造と呼ばれる独自の凹凸加工によりタイヤ溝に詰まった細かな汚れをしっかり絡めとってくれますし、洗浄液には艶出し用の油分やワックス成分が含まれていなのも魅力でしょうか。
同じウエット系でも、赤ちゃんのおしりふきや一般的な除菌ウエットティッシュには保湿成分としてグリセリンが含まれることがあり、タイヤに使用すると逆に土埃を吸着しやすくなるので注意が必要。
また、洗浄液が速乾性なのも見逃せない点で単純に水拭きした時よりもタイヤ表面の乾燥が早く、汚れが再付着しづらいことも評価を高める理由になっています。
タイヤの汚れ落としに「泥落し用屋外マット」を併用する

タイヤブラシの乾拭きや使い捨てウエットクロスでは汚れを落とし切れそうにない……
そんな時は「泥落し用屋外マット」で事前ブラッシングするのも手です。
マットの上で車体を小刻みに前後させたり、ブレーキングしたままタイヤ汚れの気になる部分をゴシゴシ擦り付けたりと、手を汚さずにタイヤの大まかな汚れ落としが可能。
自転車の取り回しにはコツや慣れが必要ですが、汚れが軽度ならばこの方法だけで十分な場合もあり、不精者には打って付けな魔法の絨毯。
泥落し用の屋外マットは硬い繊維がループ状に絡み合ったコイルタイプの製品がオススメで、自転車を乗せて数回前後に転がすだけでトレッド溝に入り込んだ泥や土埃の多くを掻き出してくれます。
個人的に馴染み深い山崎産業のコンドルシリーズを試してみたくなりますが、家庭用は金網が邪魔して自転車のタイヤにはやや不適な印象ですね。
同じコンドルでもブラシ毛の密度が高い業務用が気になるものの、高価すぎてとてもじゃありませんが手が出ません。
因みに、予算不足ならホームセンターで買える人工芝の上を転がすだけでも十分に効果があるそうで、自宅のガレージや敷地に余裕があるなら縦長に数メートル敷き詰めてみるのも面白そう。
最近はリアル志向な人工芝も売っていますが、タイヤクリーニング用には目の粗い昔ながらの人口芝が最適解です。
まとめ
自転車のタイヤを時短でキレイにする方法を幾つかまとめてみましたが、帰宅後に屋外用マットの上で車体を往復。
その後、ヴァイカンのタイヤブラシで軽く撫でるようにブラッシングするか、クイックルワイパー立体吸着ウエットシートでタイヤをぐるりと一周拭き掃除。
汚れに応じて、これらの過程を増減させるのが最もお手軽なやり方かも知れません。

記事中では触れませんでしたが、タイヤを空転させやすくなるトピークの「アップアップスタンド」やミノウラの簡易メンテナンススタンド「HMS」シリーズがあれば、帰宅後のタイヤクリーニングがもっと楽になるかも。
特にミノウラのHMSシリーズはサドルを引っ掛けるだけというバイクラックのような使用感で、車体を最小限の労力で浮かせられます。
本来は後輪が浮き前輪が接地するのが正しい使い方なものの、ノーマルポスト用の「HMS-10Q」とエアロポスト用の「HMS-20TSQ」は高さ調節が出来るため、短時間だけなら両輪を浮かせるような使い方も可能。
まあ、ダンボールを敷いて車体を逆さまにすれば済む話ですけど、ロングライドの帰宅後は大抵ヘロヘロになっているので、そんな余力は残っていないかも。

