私事ですが、ちょっとした事情からグラベルロードで買い物に行く頻度が急上昇。
残念ながら、買い物に役立ちそうなバイクパッキング的なカスタマイズは一切しておらず、車体にはボトルケージと携行品でパンパンになったフレームバッグが辛うじて備わっているだけ。
買い物で生じた荷物はショルダーバッグやメッセンジャーバッグに詰め込んで運搬しているものの、どちらのバッグもワンショルダーなのが難点。
重量が3kgを超えると一方の肩にだけずっしりとした圧迫感があり、荷物のゴツゴツとした刺激が路面の凹凸に合わせて背中をしきりに叩きます。
ママチャリのような前カゴがあれば、少しは楽になるだろうか?
嫌でもそう思ってしまうシュチュエーションですが、ロードバイクやグラベルバイクといったスポーツサイクルに前カゴを装備するのは現実的ではなく、恐らくフロントラックあたりが落としどころ。
前カゴはドロップハンドルとの干渉問題により容量不足が付き纏いますし、最近はエコバッグが普及したため自由度のあるフロントラックの方が何かと重宝する印象でしょうか。
どちらにせよ、車体の外観を大きく損ねてしまうことへの対策を講じなければならず、前カゴもフロントラックも取外し可能な製品が欲しくなります。
個人的にフロントラックに心が傾きつつありますが、荷物を運べる利便性は欲しいけどスポ車らしい外観も損ねたくない……
今回はそんな我儘な願いを叶えてくれそうな製品を幾つかピックアップしてみました。
一番人気の着脱式フロントラック「Jack The Bike Rack」

【重量】730g
【サイズ】H224mm×D284mm×W226mm
【対応クランプ径】22.2mm/25.4mm/31.8mm
【耐荷重】5kg
【素材】ステンレススチール
【価格】¥17600
まずは鉄板の大本命からご紹介。
着脱可能なフロントラックのパイオニア、WHOLE GRAIN CYCLES/ホールグレンサイクルズの「Jack The Bike Rack/ジャックザバイクラック」です。
※長いので以下「ジャック」と呼称
ジャックは2021年にクラウドファンディングで成功を収め、専用工具やメンテナンスの知識が無くても簡単に取り外しできる点が高評価。
取り合えずコレを買っておけば大丈夫的なフロントラックですが、画像左のようにステムの下部に黄色いストラップを這わせることで荷重に耐えつつも、使用するストラップ長さによってラックの角度も調節可能な仕組み。
ラック底部はジャックパンツと呼ばれる600Dポリエステル製の布で覆われていて、バンジーコードといった付属品が充実しているのも魅力のひとつ。
大変完成度の高い製品で、取り外してもハンドルまわりにアダプターやブラケットの類が残らず、素のままの車体を維持できるのも嬉しいところ。
少しばかり値は張りますが、必要な時にだけ直ぐに取付けられる上に、そのままでもカッコ良く見えてしまうという反則級のフロントラックですね。
因みに、ステムの両側に10mmの空きスペースがあること、ハンドルバーの中心からフロントタイヤの上部までは225mm以上の隙間があること。
このふたつの条件を満たしているのが、ジャックの取付けに適した車体とのこと。
低価格と着脱の簡単さが強みの「FR-mini/フロントラックミニ」

【重量】640g
【サイズ】H100mm×D189mm×W257mm
【対応クランプ径】28mm~35mm
【耐荷重】3kg
【素材】記載なし
【備考】左右にライトブラケット用のM4ボルト穴あり
【価格】¥6050
着脱の容易さにおいて前述したジャックの上を行くのがこちら、FUKYAの手掛けるブランド「RideOasis/ライドオアシス」からリリースされている「FR-mini/フロントラックミニ」です。
ハンドルへの取付けはワンタッチで開閉できるミノウラのSMクランプが採用され、別売りの「SM-2229」に交換すれば25.4mmや26mmのクランプ径にも対応可能。
ハンドル幅が400mm以上に対応し、それ以下だとラックとレバーが干渉する恐れがあるとのこと。
耐荷重は3kgと控え目なものの、ストラップで支えていたジャックとは異なり、ステム下につっかえ棒のように接触するノブボルトが角度調整しつつ荷重を支える仕組みになっています。
価格は¥6050とコスパは良好ですが、スカスカな底部を支える付属品が無いためそのままだと荷物が落下しやすく、ストラップの類も一切付属していません。
アウトドア用のパラコードでアレンジしたり、自分好みのストラップを組み合わせるなど、利用者のカスタマイズが前提となるフロントラックとなり、使う人次第では化けそうな印象も。
いじり甲斐があって面白そうな製品ですが、取外した後に傷防止のクッション材がハンドル側に残ってしまい、ジャックよりも見栄えが悪くなるのが少し気になります。
コンパクトでも拡張性が高いリクセン&カウル「Vario Rack Sport KF900」

【重量】410g
【サイズ】H200mm×D160mm×W260mm
【対応クランプ径】22-26mm/31.8mm ※別売りアタッチメントに依存
【耐荷重】7kg
【素材】記載なし
【備考】KLICKfixシステム対応
【価格】¥16500
続いてはRIXEN&KAULの手掛けるフロントラック「 Vario Rack Sport/ヴァリオラック スポーツ KF900」です。
ラックはリクセンカウルお得意の「KLICKfixシステム」だけにワンタッチで着脱が可能。
耐荷重も7gとジャックを上回る値で、耐荷重と着脱の容易さが両立している稀有なフロントラックでしょうか。
姉妹品としてH320mm×D170mm×W210mmとサイズが縦長になった「ヴァリオ ラック KF873」もあり、こちらはミニベロとの相性が良好。
シンプルかつ卒のないフロントラックに仕上がっているものの、ただでさえ割高なのに取付け用のアタッチメントが別売なのが少し残念。
車体に取付けるには、クランプ径22~26mm対応の「KF810」かクランプ径31.8mm対応の「KF852」を追加で購入する必要があり、重量はどちらも120gとのこと。
価格面を除けば良品なのは間違いなく、別のアタッチメントを利用すればシートポストにもラックを取付け可能。
因みに、リクセン&カウルにはKLICKfixシステムに対応した製品が豊富に存在し、アタッチメントを通じてそれらを簡単に取付けできてしまうのも強みです。
スポ車に馴染む前カゴ「Bodega Basket/ボデガバスケット」

【重量】1000g
【サイズ】H127mm×D230mm×W305mm ※バスケット内寸
【対応クランプ径】22mm~31.8mm
【耐荷重】7kg
【素材】記載なし
【備考】側面にU字ロック用スロット・下部にライトマウントあり
【価格】¥18000
フロントラック続きでしたが、ようやくフロントバスケットこと前カゴのご登場。
とはいえ、こちらのPDW/ポートランドデザインワークス「Bodega Basket/ボデガバスケット」はリムーバブル仕様ではなく、ハンドルに固定したままで使うタイプの製品。
PDWの前カゴといえば、6缶パックのビールがジャストフィットするサイズ感の「Takeout Basket/テイクアウトバスケット」の方が有名なものの、こちらは容量の少なさが弱点でした。
ボデガバスケットはそういった不満を解消するために底部の面積が1.8倍に拡張され、これはA4用紙とほぼ同じサイズ。
ママチャリの前カゴと比べるとまだまだ十分な大きさとは言えませんが、荷物を無造作に放り込める程度には使用感が向上しています。
ハンドルへの固定にはリクセン&カウル製の専用ブラケットが採用されているものの、残念ながらKLICKfixシステムには未対応。
余談ですが、上画像のイラストのように樹脂パーツでバスケットのフレームをサンドする形で固定する仕組みなので、俗に「リクセンカウル化」と呼ばれる改造でKLICKfixシステムに対応させられる可能性も。
実力は未知数なアデプト「Mods Basket/Forth Bar Rack」

●Mods Basket/モッズバスケット
【重量】630g
【サイズ】H120mm×D180mm×W240mm
【対応クランプ径】31.8mm ※別売ハンドルバーシムで22.2mm/25.4mm/26mm対応
【耐荷重】3kg
【素材】中空アルミ合金
【備考】側部にライトマンウント穴あり・シルバーカラーあり
【価格】¥12100
●Forth Bar Rack/フォースバーラック
【重量】560g
【サイズ】H150mm×D260mm×W300mm ※天板 D150mm×W300mm
【対応クランプ径】31.8mm ※別売ハンドルバーシムで22.2mm/25.4mm/26mm対応
【耐荷重】5kg
【素材】中空アルミ合金
【備考】フックドバンジーストラップは別売
【価格】¥8250
お次はフロントラックと前カゴをセットでご紹介。
どちらも株式会社マルイ立ち上げたアーバンサイクリスト向けのブランド「ADEPT/アデプト」の製品で、クランプ部分の仕様やハンドルへの固定方法も共通しています。
フロントラックが「Forth Bar Rack/フォースバーラック」、前カゴが「Mods Basket/モッズバスケット」という製品名で、残念ながら着脱可能なリムーバブル仕様ではありません。
ハンドルへの固定は二箇所のクランプのみで行われ、取付け時に使用する傷防止用のラバーテープが付属。
また、クランプ部分を5Mボルトで締め付ける都合上、カーボンハンドルには未対応とのこと。
固定が二箇所だけのため耐荷重に関しては過信できない部分があり、カタログ値は目安と考えた方が良さそう。
マニュアルにも「あくまでも静止状態での耐荷重」との注意書が見られ、上限いっぱいまで積載すると走行中の振動や衝撃で固定がズレてしまい、荷物ごとラックが垂れ下がってしまう可能性も。
使用感に関してはフォースバーラックは概ね良好で高評価なものの、モッズバスケットは前述したPDWのテイクアウトバスケットと似たようなサイズ感のため、実用性はイマイチという評価でしょうか。
アデプトは良コスパな製品が多い中、バスケットは例外的に割高なので、どちらかを選ぶならフォースバーラックの方がオススメですね。
因みに、荷物を固定するバンジーコードは別売りという不親切仕様につき、買い忘れに注意したいところ。
軽量で良コスパ!期待のTOPEAK「HANDLEBAR RACK」

【重量】320g
【サイズ】H250mm×D260mm×W210mm
【対応クランプ径】25.4mm /28.6mm/31.8mm
【耐荷重】4.5kg
【素材】アルミニウム
【備考】120cmカーゴエラスティックコード付属
【価格】¥7700
最後を飾るのは、良い意味で後出しジャンケンを得意とするTOPEAK/トピークのフロントラック。
画像左の「HANDLEBAR RACK/ハンドルバーラック」という何の捻りもない名称の製品がそれで、前述したアデプトの「フォースバーラック」と共通点の多い作り。
とはいえ、こちらはカーボンハンドルへの取付けが可能だったり、荷重による垂れ下がりを防止するセーフティストラップが付属していたりと、アデプト製の弱点がしっかりと補われています。
これで簡単に着脱可能だったら文句無しでしたが、シンプルな外観な上に今回紹介したフロントラックの中では320gと最軽量なので、仮に固定装備にしたとしても異物感は薄いかも知れませんね。
ついでに紹介するのが画像右のゴツいフロントラック。
「TETRARACK/テトララック」と呼ばれる製品で、MTB用のMシリーズ、ロード用のRシリーズ、グラベルバイク用のGRシリーズ、この三種類が存在しフルサスMTB以外ではリアラックとしても機能します。
このテトララックはハンドルではなくフォークやフロントサスペンションに直接固定するタイプの製品で、取付けにはダボ穴を必要としません。
フォークへの固定は左右四箇所にある強力な面ファスナーで行われ、製品によっては静止状態で10kg以上の耐荷重を誇ります。
着脱には工具が必要なものの、車体に装備すると見栄えがするため評判が良く、ロングライドやバイクパッキング用として使っている方も多いとのこと。
流石に前後に付けると2kg近い重量増になってしまいますが、フロントサスペンションに取付け可能なだけでも有難い存在ですね。
何かと制限の多いMTBには、良い選択肢になってくれるかも知れません。
まとめ
ロードバイク・グラベルロード・クロスバイクといったスポーツサイクルに取付け可能な前カゴやフロントラックを幾つか紹介してみましたが、個人的にトピークのハンドルバーラックが好印象。
日本国内では2025~2026年の冬にリリース予定とのことで、直ぐに手に入らずヤキモキしていますが、軽量さと装備しっぱなしでも違和感の少ないデザインが魅力的に映ります。
世間的には完成度の高い「ジャック ザ バイクラック」が鉄板でしょうけど、着脱がワンタッチで行えるリクセン&カウル「ヴァリオラック スポーツ」も今後は人気を集めそうな予感。

