この手順で成功率UP!チューブレスタイヤ向け【パンク修理の覚書】

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愛車をチューブレス化してみたものの、意外に面倒臭いことが多い……

その最たるものといえば、やはりパンクにまつわる話。

チューブレスはちょっとやそっとじゃパンクに至らない反面、一度パンクしてしまうとクリンチャーとは異なる対応が求められます。

私も過去にチューブレスでのパンクを経験していて、パンク直後の身の振り方からその後のタイヤ補修まで、試行錯誤しつつも多くを学ばせてもらいました。

そして先日、不幸にもチューブレスタイヤが二度目のパンク。

一度目のパンクでは検証不足だった部分も多く、二度目はしっかりと腰を据えて向き合いたいところ。

今回は画像多め、しかも見栄えのしないタイヤばかりで心苦しい限りですが、チューブレスタイヤにおけるパンク修理の手順や、その過程でわかった問題点について話題にしてみます。

チューブレスでパンク!高性能シーラントでも過信は禁物という話

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チューブレスタイヤのパンク修理に移る前に、ちょっとだけ状況説明。

パンクしたのは最も稼働率の高いグラベルロードでタイヤは特にパンク耐性の高くない無印グラベルキングの第二世代モデル。

原因は恐らくガラス片を踏んでしまったことですが、タイヤシーラントが高粘度なMUC-OFF製だったせいか一気に噴き出すことはなく、路上で悪目立ちすることだけは避けられました。

そのまま走り続けると1分ほどで空気漏れが完全に止まり、タイヤの空気圧は体感で0.5BARくらいでしょうか。

自宅まであと2km程だったため、そのまま追いポンプせず低速走行で慎重に帰宅。

流石に二度目のパンクだけあって、心にも随分と余裕を持てました。

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帰宅後は患部よりも先に車体と自身の臀部を確認。

前回はシートチューブ裏がシーラント塗れでしたが、今回はかなり軽微でサドルやパンツのお尻部分には一切飛散がありませんでした。

衣類に染込んで乾燥したシーラントはちょっとやそっとじゃ落ちませんから、割と気にしたくなる部分です。

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続いて、患部をウエスで綺麗にしてからダメージ具合を再確認。

この時点では、これくらいならシーラントで余裕だな……

そう思っていましたが、前回同様にその考えが甘いことを後々思い知ります。

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減圧したタイヤをいつも通りの2.5BARまで復元すると、患部にシーラントが滲むもののあからさまな空気漏れは確認できません。

24時間経過しても空気圧が維持されていたため、せめてタイヤの穴くらいは埋めようと、4km先にあるホームセンターに靴底補修剤を求めてテスト走行することに。

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まあ、経験上わかっていましたが、そんな都合の良い話は無く3km地点で見事に再発。

どんなに高性能でもシーラントの補修能力だけでは推奨値の空気圧には耐えられず、トレッド面の薄いロード用やグラベル用タイヤではそれが顕著です。

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念のためポケットに忍ばせていたハイボリュームタイプの携帯ポンプが役に立ち、直ぐに1.0BARまで回復。

今回も1分足らずで空気漏れが止まったので、素直にMUC-OFF製シーラントを褒め称えたいところですが、やはりタイヤシーラントは帰宅させてくれるまでの一時しのぎにすぎません。

一応、タイヤ外側から補修材を挿し込むプラグ式のリペアキットもありますが、これもロード用やグラベル用タイヤとは相性が悪く、高確率で失敗するという話もチラホラ。

身も蓋も無い言い方をすると、パンクしたチューブレスタイヤを復活させる最良の方法は、新品のタイヤに交換すること!

これに尽きるのですが、タイヤ交換してからまだ一年、センタートレッドも薄っすらとしか減っておらず、お蔵入りさせるには流石に早すぎます。

正直、タイヤを買った方が遥かに簡単だった……そう思わないでもありませんが、懲りずにチューブレスタイヤのパンク修理に再挑戦してみました。

表裏両面から攻めよ!パンクしたチューブレスタイヤを修理する方法

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いよいよ補修を開始しますが、必要な物はパンク修理キットの「パッチ&ゴム糊」と「靴底補修剤」のふたつだけ。

パンク修理キットは100円ショップの物でもOK、最近はスポーツサイクル用の小パッチタイプも販売されいるので、細いタイヤの場合はそちらの方が向いています。

靴底補修剤は「SHOE GOO/シューグー」か「セメダイン シューズドクターN」のどちらかで、色はもちろんブラック。

今回は付属している塗ベラの使用感が良く安価だったシューズドクターNをチョイスしましたが、仕上がり後の耐久性はSHOE GOOに軍配が上がる印象ですね。

因みにタイヤ補修にしか使わないのなら、画像の50mlタイプではなく使い切りタイプの20mlタイプで十分です。

どれが本命?チューブレスタイヤの修理・補修キットあれこれイメージ03

今回の補修にあたって、購入するかで悩んだのがこちらの「LEZYNE TUBELESS PRO PLUGS」

タイヤ外側への肉盛りが不要なチューブレスタイヤ専用のリペアキットで、試してみたい気持ちもありました。

ですが、価格が3000円なのにロード向きな小サイズパッチが2個、グラベルタイヤに使えそうなサイズを加味しても4個程度しか同梱されておらず、えらくコスパの悪い代物。

タイヤを表裏両面から一気に補修できて仕上がりも綺麗な点には魅力を感じますが、あと2000円足せば新しいタイヤが買えてしまうので、今回は泣く泣く購入を見送ることにしました。

タイヤを高確率で延命できるので将来のパンクを見越すなら、やや高価でも購入してみたくなるリペアキットですね。

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まずは手始めにタイヤのビードを落とします。

この手順は十中八九周囲が汚れるので、何度やっても好きになれません。

シーラント塗れになるのが嫌でTPUチューブに乗り換える人も多いそうで、私も時折そんな気持ちになります。

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少し前に追いシーラントしたばかりなので、内部はご覧の通りピンク色の毒々しい様相。

勿体ないので回収して再利用も考えましたが、異物が入っている可能性もあるため今回は除去することに決定。

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MUC-OFF製のシーラントは水洗いに対応していて、乾燥前なら簡単に除去が可能です。

屋外に移動して散水ホースでジャバジャバ洗い流し、軽く水気を切ってから室内へと帰還。

玄関先をピンク色に汚染してしまうのでは……と少し心配になるも、晴天下ではあっという間に消えてしまい、シーラントの痕跡や匂いは一切残りませんでした。

しかし、タイヤを裏返しにすると見た目が捌いた鮭にそっくりですね。

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タイヤを取り外すとホイールはご覧の通りベトベトになるので、ウエスで早々にクリーニング。

シーラントが染み込まない箇所なら元通り綺麗になりますが、タイヤのトレッド面や布地などにシーラントが付着したまま乾燥すると、シミのような斑模様が固着してしまうので要注意。

私もこれで失敗しましたが、予防策としてタイヤを事前に濡らすくらいはした方が良かったかも。

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ホイール内部はシーラントのカスだらけで、バルブ根元が特に顕著でした。

どうせまたシーラントを注入するのにいちいちホイール内側をクリーニングするのは面倒ですが、カスが過剰に残留しているとビードの上がりやすさに影響が出るため、できるだけ除去しておくのを推奨。

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タイヤ補修の下準備が終了したので、あらためて患部を確認。

外側は穴というよりも切り傷に近い外観で、円弧状に6mmほど裂けていました。

思っていたよりも重傷で、靴底補修剤で肉盛りしてあげないと今後の使用に耐えられそうにありません。

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内側のダメージは思ったほどではなく、1~2mm程度の小さな穴でした。

これくらいなら高性能シーラントで余裕だと感じるものの、トレッド面が薄いため効果を維持しづらいのが実情。

やはり、ロードやグラベル用のタイヤではシーラントの効果を十分に享受しづらく、チューブレスレディがMTB向きの技術であることを肌で感じます。

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まずはタイヤ内側のパッチ補修を行いますが、前回の修理時に幾つか疑問点があったため軽く情報収集。

疑問点は【1】タイヤ内側の荒し(バフ)はどの程度が適切か?【2】表面のシーラント膜は除去すべきか?

上記のふたつで、タイヤの内側は外側と比べてかなりデリケートな作りになっているため、ロード用やグラベル用のタイヤでは十分な下処理ができない場合が殆どです。

上画像の事例を見る限り、表面の荒しは割と大胆に行われ、タイヤ内側にはシーラントの膜が殆ど残っていませんが、これはMTB用タイヤの話なのでグラベル用タイヤとは勝手が異なる可能性も。

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タイヤ内側のシーラントが完全乾燥するのを待ってから、いよいよ補修作業を開始。

前回と同様にチューブと同じ要領でパッチを貼ってみるも、危惧していた通りサンドペーパーで荒せるほど内側のゴム被膜に強度が無かったため、下処理は脱脂のみに留めました。

タイヤ内側を無理に荒らすと繊維層がごっそり露出してしまい、表面が必要以上にボロボロになってしまいます。

画像は圧着後のものですが、パッチの周囲に剥離のような症状が見られ、これは塗り広げたゴム糊がシーラントと反応した結果ですね。

現時点ではパッチ自体が剥離している訳ではなく、ゴム糊が周囲のシーラント被膜を剥がしているだけですが、これを見る限りシーラント被膜を除去せずにパッチを貼るとタイヤとの接着を阻害すると見て間違いありません。

調べてみると、ラテックス系シーラントでは特に接着不良が起こりやすく、補修完了後すぐにシーラントを注入するのも避けた方が良いとのこと。

因みに、ラテックス系はスタンズ・マックオフ・パナレーサーなどのシーラントが該当し、非ラテックス系はピーティーズ・ビットリア・エフェットマリポサのシーラントが該当します。

また、たとえ完全乾燥していてもシーラント膜の上にそのままパッチを貼ると時間経過とともに剥がれてしまうそうで、補修後に空気漏れが再発するのはこれが原因。

これに対してはカッターの背やサンドペーパーで擦って患部のシーラント膜を完全に取り除く方法が推奨されていましたが、MTBよりも作りが脆弱なグラベル用タイヤには、もう少し攻撃性の低いやり方を選びたいところ。

後述しますが、タイヤからシーラントを剥がすには「天然ゴム製の消しゴム」でゴシゴシするのが最も効果が高いそうで、パッチの接着を阻害するシーラント被膜は、この方法で除去するのが良さそうです。

チューブレスレディタイヤがパンクした時の対処&修理方法イメージ08

そしてこれが前回のパッチ補修の様子。

スタンズのサラサラ系シーラントで短期間のみの注入だったせいか、ウエスでゴシゴシ拭くだけでシーラント膜が除去できた覚えがあります。

仕上がりはこちらの方が明らかに綺麗で、軽くですが荒らしのバフ掛けも卒なくやっていたはず。

サンドペーパーでの荒らしは繊維層が容易に露出するためどうしても躊躇いがちになりますが、露出しても上からパッチで覆ってしまえば無問題と考えれば、それほど害は無いのかも知れません。

海外の大雑把な補修例を見る限り「もっと大胆にやれ!」そう諭されているようにも思えます。

今回のパッチ補修を採点するなら、恐らく100点満点中30点の赤点ですね。

【1】患部のシーラント被膜はしっかりと除去しておく

【2】パッチ接着前は患部を大胆かつ繊細に荒しておく

【3】補修後は最低でも12時間待ってからシーラントを注入する

失敗を避けたいなら、この3つだけは心得ておきたいですね。

※【3】については少し説明不足でしたが、パッチの接着や乾燥が不十分なままシーラントを早々に注入すると、パッチの縁からシーラントが侵入して接着を弱めてしまうことがあるそうです。

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タイヤ内側のパッチ補修が終わったら、タイヤを再びホイールに装着しビード上げ。

実はこの手順でかなり苦戦したのですが、それについては注意点として後述します。

どうやらパッチの圧着はまだ何とか保たれているようで、あからさまな空気漏れは起こりませんでした。

空気圧でタイヤが膨らみ、患部の傷にはハッキリわかる溝が発生していますね。

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そして、靴底補修剤を使い一度目の肉盛りを開始。

パッケージ裏の説明書きによると、塗る前に付属のサンドペーパーによる荒らしと脱脂が必要とのことで、素直にそれに従いました。

今回の手順で脱脂には50%のイソプロピルアルコールを使っていますが、ゴムや樹脂に攻撃性の無いタイプのパーツクリーナーでも構いません。

最初は円弧状に開いた傷をパテ埋めするように塗り、その後はタイヤ表面への足付けも兼ねて患部の周囲に塗り広げるように重ね塗り。

作業中は気付きませんでしたが、僅かに空気が漏れていたようで赤矢印の部分に極々小さな穴が開いていました。

靴底補修剤にはかなりの粘りがあるので、綺麗に仕上げようとは考えず余分な部分を削ぎ落すように塗り整えるのがコツです。

2mm厚に盛った際の乾燥時間は気温23度・湿度50%で24時間とのことなので、このままタイヤを丸一日放置。

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二度目の肉盛りも同様に行い、画像は48時間後の状態。

靴底補修剤には結構な粘度があるのですが、二度目の肉盛りでも漏れた空気の通り道が出来ていました。

パックリと開いた傷をパテ埋めしたかったのでタイヤに空気入れたまま作業したものの、パッチでの補修が不完全だったせいか課題の残る仕上がりに。

外側からの肉盛りで気密を補えるとは微塵も思っていませんが、二度目の肉盛り前にタイヤの空気を抜くなどして、内圧の影響が出ないように作業した方が良かった気も。

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横から見るとこんな感じ。

実際に走行すると肉盛りした部分が少なからず潰れるので、もっと大胆に盛るべきだったと少し反省。

とはいえ、肉盛りの厚みが4mmを越えると走行時にタイヤから異物感が伝わってくるようになるので匙加減が難しいところ。

重ね塗りは後から幾らでもできますから、取り合えずこの仕上がりで様子を見ることにしました。

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光沢感が気になったので、1000番の耐水ペーパーで軽く表面処理。

試しにやってみたものの、効果は薄いですし乗れば勝手に削れて馴染むので、蛇足感は否めません。

走行時に削れ難いタイヤのサイド面の光沢が気になる場合だけお試し下さい。

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因みに、1000番の耐水ペーパーはタイヤに付着したシーラントの染み除去にギリ使える印象。

画像のようにシーラントがタイヤ表面に付着したまま乾燥すると斑模様がしつこく残ってしまうのですが、多少の摩耗を覚悟するなら、耐水ペーパーで薄くできます。

最初はプラスチック消しゴムで試してみたのですが、こちらは効果がほぼゼロ。

この部分も後述する天然ゴム製の消しゴムなら完全に除去できたのかも。

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チューブレスタイヤの補修完了から四日後、不安を抱えつつもテスト走行に出発。

やはり一度でも走ると肉盛り部分が一気に馴染んてしまい、仕上げのペーパー掛けが無意味だったことを痛感。

結局30km走っても傷は再発せず、空気圧2.5BARの平常値を維持したまま無事帰宅。

僅かに漏れていた空気が気掛かりでしたが、流石にこの程度ならシーラントが勝手に塞いでくれます。

タイヤ内側のパッチ補修が不完全なため、いつ再発してもおかしくない状態ですが、取り合えずこれで一段落。

文字通り失敗から学んだことにより、二度目のパンク修理でだいぶノウハウを蓄積できました。

【チューブレスタイヤ】二度目のパンク修理で学んだこと

過去に一度試しているので、二度目は楽勝だろ!

そう思っていたのですが、蓋を開けてみれば前回以上の大苦戦。

今回のパンクと補修の過程でも幾つかの学びがあったため、それについて簡単に触れておきます。

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まずはプラグ式のリペアキットについて。

この手の製品の大半がロード用やグラベル用タイヤに無力だと説明しましたが、例外が一つだけあります。

画像の「Dynaplug/ダイナプラグ」がそれで、高圧になるロード用やグラベル用のタイヤでもしっかりと機能し、海外ではロード・グラベル用リペアキットとして唯一無二の高評価。

ロード・グラベル用には「Dynaplug Pill」や「Dynaplug Dynaplugger」など数種類があり、後者は低価格な簡易版とのこと。

ぶっちゃけ、TPUチューブで回復した方が安上がりで手っ取り早いという見方もありますが、チューブレスタイヤのビードはクリンチャーよりも硬いため、タイヤレバー片手に悪戦苦闘する姿が想像に難くありません。

おまけにタイヤの腹を開くとシーラント塗れになるのは確実ですから、可能な限り避けたいのが本音です。

ライド中にシーラントで塞がった穴が頻繁に再発してしまう場合でも、ダイナプラグならタイヤの外側からしっかりと補修でき、少ない労力でライドに復帰できるのが一番の魅力でしょうか。

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続いてはこちら、ビードクリームないしビードワックスの必要性について。

私は今までこれらに頼らずにチューブレスタイヤのセットアップを完了できていましたが、今回ばかりは勝手が違いました。

一度でもシーラントを注入したタイヤはビード付近に成分が固着し、新品のタイヤとは異なる挙動を見せます。

ビード付近に固着した成分が過剰な摩擦を生むことでビード上げの成功率が一気に低下し、今回の場合はフロアポンプどころかCO2カードリッジによるチートでも歯が立ちませんでした。

高性能なシーラントだったせいもありますが、軟ゴム状のシーラントカスがビードまわりに頑固にこびり付いているため、ホイールのハンプ部分までビードが上手く滑ってくれないのです。

新品のタイヤと比べるとビード上げの難易度は段違いで、ホイール内部やタイヤビード付近に固着したシーラントカスを可能な限り除去した上で、ビードワックスやビードクリームで滑りを良くしてあげるのが成功への近道でした。

使用済みのチューブレスタイヤを再セットアップする際は、ヌルヌルを覚悟してでも石鹸水を頼った方がスムーズに事が運びます。

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最後はタイヤ内側の穴を塞ぐパッチ補修に関する内容。

私自身、最も頭を悩ませたのがタイヤ内部の下処理で、正直わからないことだらけでした。

強度の乏しい内部のトレッド面をどうやって荒す(バフ掛け)するのか?

これに関しては、番手の大きいサンドペーパーで慎重に荒すしかないものの、ケミカル類を頼る方法も試してみたくなります。

マルニから「バフいらずエコ」という製品がリリースされていて、パンク修理時に脱脂と荒らしが同時に出来てしまう優れモノ。

ゴム成分を溶かすリモネンが主成分のケミカルスプレーで、同じくリモネンが主成分のシール剥がしでも代用可能だったりと、サンドペーパーで荒すよりもタイヤに優しいアプローチができる可能性も。

リモネン成分でシーラント膜もついでに除去してしまいたいところですが、これには別に良い方法があります。

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タイヤに付着したシーラントを除去するには「天然ゴムの消しゴム」でゴシゴシ擦るのが最も効果的で、カッターの背やサンドペーパーよりもタイヤへの負担が少ない下処理が可能。

また、この天然ゴムの消しゴムがあれば、先述したビード部分のシーラントカスも除去でき、ビードの上がりづらさも解消できるようになります。

スエード靴なんかに使うクリーニング消しゴムがそれで、薄黄色でゴツゴツした特徴的な外観をしていますね、靴底のクレープソールと同素材といえばわかりやすいでしょうか。

因みに、シーラント除去といえばMUC-OFFの「GLUE REMOVER/グルーリムーバー」が有名ですが、こちらはホイールやフレームといった硬質な箇所を対象としていて、タイヤに対しては効果を発揮しないので注意しましょう。

さて、シーラントの除去に目処が立つなら、パッチではなく患部をゴリラテープで補修するという荒業に期待したくなります。

実際にタイヤブートやチューブレスリムテープの代替品として広く使われている実績があり、防水気密性を含めた機能面は十分過ぎるほど。

聞くところによると、タイヤの外側に貼り付けて裂けたトレッド面を保護する使い方にも耐えるそうで、強度や粘着力は相当なもの。

表面を荒らす必要のあるゴム糊&パッチで処理するよりも、剥がれづらいように角を丸く整えたゴリラテープを貼り付けた方が良い仕事をしてくれる可能性があり、一度くらいは試してみたくなる方法ですね。

まとめ

チューブレスタイヤで二度目のパンク修理に挑戦してみましたが、タイヤ内側にパッチ補修、タイヤ外側に靴底補修剤による肉盛り、この方法ならタイヤを高圧にした際の再発も防ぐことが出来ます。

【1】タイヤ内部のシーラントを完全乾燥させる

【2】天然ゴム製の消しゴムで必要な部分のシーラントを徹底除去

【3】細目のサンドペーパーかリモネン成分で患部周辺を荒らす

【4】表面を脱脂した後にゴム糊を薄く塗り5分ほど乾燥 ※厚塗りは逆効果

【5】タイヤ内側からパッチを貼り付けてしっかりと圧着

【6】タイヤをホイールに再取付け ※ビードワックス推奨

【7】空気を注入しタイヤ外側から靴底補修剤を肉盛り

【8】肉盛りは一回につき2mm厚が上限で24時間乾燥

【9】シーラントの再注入はパッチ補修から最低でも12時間は待つ

大まかな手順は以上の通りで、失敗を避けるには【2】【3】【9】の工程が特に重要となります。

実際、補修後に数回ライドを繰り返したところ、再発には至らないものの徐々に患部からのシーラント漏れが激しくなる症状が見られました。

確認のためタイヤの腹を開いてみると、タイヤ内部のパッチはすっかり剥がれかけの状態。

もちろん原因はシーラント被膜の除去とパッチ接着前の荒しが不十分だったことで、成功のカギはこの工程の良し悪しに掛かっています。

これは前述したチューブレスタイヤ専用パッチ「LEZYNE TUBELESS PRO PLUGS」を使う際にも言えることなので、肝に銘じておきたいところでしょうか。

本音を言ってしまうと、新しいチューブレスタイヤに交換した方が手っ取り早いですしライド中の安心感も段違いですが、財布の紐がそれを許してくれません。

タイヤを少しでも延命したい方やチューブドに切り替えて使い続けたい方は、ダメ元でこの方法を是非お試しあれ。

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オマケの余談ですが、どうも私はグラベルキングとの相性が悪いらしく、初代も二代目も使用期間が一年でトラブルに見舞われました。

第二世代のグラベルキングにはかなり期待していたのですが、タイヤサイドに謎の模様が出現し、全体的な強度に不安を感じています。

目を凝らすとわかりますが、茶色いタイヤサイドにメロンパンのような格子状の模様が発生していて、フロントタイヤよりもリアタイヤの方が顕著。

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他にも、リア・フロント共にタイヤサイドに一直線のひび割れが発生していて、ますます不安を煽ります。

私以外にも短時間でひび割れが発生しているのかは不明ですが、タンサイドやスキンサイドはブラックと比べて強度や耐候性に劣ると聞いたことがあるので、それが原因なのかも知れません。

良いカラーアクセントになるので気に入っていますが、長く使うならタイヤサイドはブラックを選ぶべきなんでしょうね。

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