今年の夏は随分と過ごしやすかった印象がありますが、待望の秋がやって来ました。
秋は春と並んでサイクルライフが最も捗るシーズンで、ここから雪がちらつくまでの期間は思う存分ロングライドが楽しめます。

稲穂もすっかり首を垂れ、これが毎年恒例となったリハビリライド開始の合図。
例によって夏場に鈍った脚に喝を入れますが、実はこのリハビリライドをするのは二年振りのこと。
昨年は体調不良により通院生活と自宅療養を余儀なくされたせいか、今年は少なからず気持ちが高揚しています。

ライド当日は絵に描いたような秋晴れで、田んぼも見事に黄金色。
作柄は平年並みだそうですが、輸入小麦の値上がりが避けられない昨今、米価が以前に近い水準で落ち着いてくれるのを祈るばかり。
米の値段が高騰して以来、我が家の食卓は米2、パン2、麺類1くらいの割合になりましたから、小麦値上げの追い打ちは地味に痛いです。

この時期の田んぼは干上がっているため、うろつくダイサギもどことなく所在無さげ。
ダイサギは全国どこにでもいる珍しくない野鳥ですが、見慣れた人でもダイサギとチュウサギの区別は難しく、くちばし根元の裂け目が目玉よりも後方にせり出しているのがダイサギの特徴。

余談ですが、ちょうど一ヶ月前にダイサギの群れに遭遇。
渡りや繁殖期には40羽前後の群れを形成することもあるそうですが、盛夏の八月に20羽以上がひしめき合っている姿は初めて見ました。
サギ類を見るといつも思い出すのが、不味いから絶滅しなかったという俗説。
明治時代に食用として乱獲されたトキやツルと比べると確かにダイサギは不味いそうですが、アオサギの肉は結構美味しいという興味深い記録も残されています。
サギ類がトキやツルのような運命を辿らなかったのは、繁殖力の高さと食性の広さ、そして人間への警戒心が元々強かったのが実際の理由だとか。

本日のライドは海沿いのサイクリングロードから道の駅に至る定番のコース。
日差しを遮るものが一切無いため真夏には数える程しか走ったことがありませんが、釣りやウォータースポーツに興じる方も多い場所ですね。
もちろん半裸のオッサンもわらわら居て、紫外線が有害という常識を疑いたくなるほど。
半裸でうろつける境地に至る、私にもいつかそんな日が来るのでしょうか……

海辺にはまだ夏の気配が色濃く残り、気温も午前中から急上昇。
半袖なので何とか耐えられるものの、予想外の暑さで額にはしっとりと汗が滲みます。

海沿いを5kmほど走り、一般道への分岐点に到着。
一応、この先にも海沿いのコースは続いているのですが、車体を担ぎ上げつつ足場の不安定な場所を越える難所があるため、しばしの逡巡。
過去にフルサス29erで挑むも、車体が重すぎて途中で断念した覚えがあります。
海沿いをそのまま直進するルートは未体験だったため悩みましたが、フレームバッグが邪魔になって十分な担ぎ上げが出来そうにないため、無理をせず道の駅を目指すことに。

道の駅へと続く木陰のルートに入ると、先ほどまでの暑さが嘘のように霧散。
クマの出没を警戒しつつ、束の間の涼を楽しみます。

久々にこの道を通りましたが、まさかの通せん坊。
倒木が道を塞いでいて、乗車したままでは通過できそうにありません。

担ぎ上げを忌避してこちらのルートを選んだのに、車体を担ぎ上げて倒木を越えるという見事なオチ。
よく知られた話ですが、こういった倒木の下にはヘビが高確率で潜んでいるので事前確認が鉄則。
特にマムシがこういった場所を好み、無造作に倒木を跨ぐと足首やふくらはぎを噛まれることも。
倒木を跨ぐ前に足を一旦乗せて反対側を確認したり、木の枝や棒で周囲を叩いてマムシに退いてもらうのが得策です。

倒木を回避して道の駅になんとか到着。
バイクラックは相変わらずママチャリに占拠されていましたが、今回は辛うじてスペースを確保。
因みに、油圧式ドロッパーシートポストでバイクラックを利用する際は、ポストを最長状態にするのが必須。
中途半端な長さで引っ掛けるとエア噛みを招くことがあり、ポストにガタが出やすくなります。
さて、折り返し地点である道の駅に到着したものの、ここでは無補給に徹するのが私のルール。
なぜなら全てが割高だから……
田舎の道の駅といえば、地元の野菜や特産品が割安なイメージがあるのですが、ここはそれが当てはまりません。
店売りの飲料さえも自販機価格になっているため、貧乏性の私はドリンク一本ですら躊躇しがち。
大量仕入れができるスーパーと違い、道の駅ではスケールメリットを活かせない。
店売りが安いと自販機の売れ行きが低下する。
周囲に競合店が乏しいため、値引きする必要が無い。
こういった理由から値引きがされていないそうですが、ペットボトル飲料が一本200円に迫るご時世では、面倒でもスーパーを利用するのが賢い選択かも知れませんね。

道の駅で折り返し、6km先にある湖畔の東屋であらためて休憩。
この場所を訪れるのは定番になっていて、いつの間にかリハビリライドのチェックポイント化しています。
相変わらず空も湖面も青々としていて、気になる野鳥の姿もチラホラ。

例年なら付近の100円自販機で喉を潤すのがお約束なんですが、この先にある大型スーパーのイートインが最近のお気に入り。
ここはグッと我慢して、帰途につくことにします。

日が傾きつつある帰り際に「渡らずの白鳥」が居たのでしばしの観察。
いわゆる滞留白鳥で全国各地で目撃されていますが、怪我や老衰で体力が低下したことにより北帰行が叶わなかった個体です。
昔から、夏に飛行している滞留白鳥を見たことが無いのを不思議に思っていたのですが、調べてみると理由は明白でした。
飛ばないのではなく、飛べないのです。
白鳥などの水鳥は「換羽/かんう」と呼ばれる羽の生え変わりが一気に行われるため、健康な個体でも夏場の一ヶ月ほどは全く飛べない期間が存在するとのこと。
また、換羽により大量のエネルギーが消費されるため、省エネのため輪を掛けて飛ばなくなるのも一因とか。

イートインで小腹を満たしてからしばらく走ると、辺りは徐々に暗くなり始めていました。
日中の残暑とは裏腹に秋の訪れをひしひしと実感るす光景ですが、本日の走行距離は60kmと適度なリハビリ加減。
太腿に多少の張りを感じるものの、あと数回もこなせば100km超えでも無理なく走行できるように仕上がってくれるでしょう。
あとはクマ除けスプレーを購入して、秋のロングライドに備えるだけです。
最後にちょっと寂しい話題になりますが、自転車好きの知人が引退を表明して愛車を手放すことに。
終の棲家ならぬ「終の自転車」は電動アシストMTBという結末で、私も似たような経緯を辿りそうな予感がしています。
100kmライドに厳しさを感じるようになったらイーバイクに乗り換えるつもりでいますが、あと何年くらい人力バイクで頑張れるのでしょうか……
筋肉は維持できても関節は消耗品なので、意地を張らずに早めに乗り換えるのも手ですけどね。

