夏が過ぎ、虫の大量発生も一段落したということで、久々に定番コースの一つである河川敷沿いのサイクリングロードに戻ってみました。
秋の爽やかな空気と柔らかな日差しの中をのんびり走っていると、妙な既視感があり
『アレ?春先に走っていた時もこんな風景だったような…』
10月も半ば、既に白鳥も飛来し始めているこの時期にしては草花が賑やかで、そこかしこに黄色い花をつけた背の高い植物が見受けられます。
恐らく、春に咲いていたブタクサに似ていることが既視感の原因ですが、サイクリングロードを進めば進むほどその植物の勢いは増し、場所によってはあたり一面を埋め尽くす程です。
秋口にしては気温が高い日が続いていたので、草木の生命力がまだまだ旺盛なだけかな?と思いつつも、見慣れた秋の風景とは明らかに異質な植生に何ともいえない違和感を覚えます。
停車して『しかし…背の高い植物だなぁ、大人の背丈くらいだろうか?』と眺めていると、おぼろげながら『セイタカアワダチソウ』という名前を思い出し、特にスマホで調べることも無くライドを再開させます。
引き続きサイクリングロードを流しつつ、傍目に黄色い花を見ていると、ようやく違和感の原因に気が付きます。
そうなんです…ススキがあり得ないくらい激減していたのです。
少なくとも昨年まではほぼススキ野原しかない状態だったのに、多い場所でも五割程度と明らかに衰えを見せ、ススキに置き換わるかたちでセイタカアワダチソウが勢力を広げていました。
気になったので帰宅後に調べてみると、名称は確かに『セイタカアワダチソウ/背高泡立草』で北米原産の外来種とのこと。
因みに『アワダチ』の部分は、実になった際に綿毛がふわふわとした様子を泡になぞらえたものだそうです。
明治時代には観賞用として既に持ち込まれていたそうですが、本格的に定着したのは戦後の米軍物資からで、昭和40年代には関東以西から九州にかけて大繁殖したとのこと。
温暖化で、遂に北の大地でも大繁殖するようになったのか…と、何となく納得しましたが、このセイタカアワダチソウには、さらにアレロパシーという厄介な効果がある模様。
ウィキペディア先生によると、セイタカアワダチソウは根から周囲の植物の成長を抑制する化学物質を出すアレロパシーと呼ばれる性質を持っていて、ススキの激減もこれが影響しています。
ひょっとして…夕日に照らされつつ揺れる、あの物悲しいススキ野原の風景はもう二度と見られないのか?と一時は落胆しましたが、予想もしないオチが待っていました。
思わず、コイツの目的は一体何なんだ?とツッコミたくなりますが、実はこの根から出る化学物質が土壌で一定濃度を超えると、自らの種子にも強い発芽障害を起こすそうで、結果として3~4年で自滅という道を辿ります。
『そして 私も消えよう 永遠に!』君はFF5のラスボスか?
興味深いことに、この化学物質はススキの種子に対しては発芽障害を起こさず、最終的に植生はススキに対して劣勢に傾くとのこと。
取り合えず一安心ですが、セイタカアワダチソウが目立ち始めたのが今年ですから、あと数年はこのビビットな秋と付き合うことになるんでしょうね…
幸い、どんなに咲き誇ってもブタクサと違って花粉症の恐れはほぼ無いそうですから、その点は安心できそうです。