調整方法が超簡単に!機械式ディスクブレーキ”TRP SPYKE”の感想

TRP製対向2ピストン機械式ディスクブレーキ『SPYKE/SPYRE』の感想イメージ01

私が数年前に購入したファットバイクは油圧式ディスクブレーキが標準装備でした。

ブレーキタッチの軽さと制動力の高さに驚きましたが、数十年ぶりの自転車購入で油圧式どころかディスクブレーキ自体の予備知識がゼロだった私は、嫌と言うほどトラブルに振り回され、最初の一年は随分と頭を悩ませた記憶があります。

ファットバイクの油圧式ディスクブレーキを機械式に交換した理由
ファットバイクのディスクブレーキを油圧式から機械式(メカニカル)に交換。制動力的にはダウングレードと言えますが、想像していたよりも油圧式はメンテナンスに手間が掛り、パッドとローター間のクリアランス調整に自由度がなかった点が交換した理由です。

結局、デリケート過ぎる油圧式ディスクブレーキが肌に合わず、現在は調整に自由度のある機械式ディスクブレーキを愛用していますが、こちらはこちらで片側ピストンによるパッドの片減りやローターの歪み、ワイヤーによるの引きの重さや制動力不足などの欠点があり、タイヤをロック出来るくらいまで設定を追い込むには、調整に慣れやコツが必要になります。

私が現在使用している機械式ディスクブレーキはSHIMANO BR-M375と言うペアで¥4000もしないエントリークラスの製品で、当然の事ながら機械式ディスクブレーキの大半を占める片側ピストン式です。

この片側ピストン式でも、調整次第ではしっかりとタイヤをロック出来るくらいまで追い込めますし、機械式ディスクブレーキの最高峰と言われるAVID BB7は下手な油圧式を凌ぐ制動力があります。

正直、私の用途ではエントリークラスの制動力でも十分でしたが、ファットバイクのホイールを新調したついでに、以前から気になってい対向ピストン採用の機械式ディスクブレーキを試してみる事にしました。

油圧式と同じ仕組みの対向ピストンは、左右のパッドが均等にディスクローターを挟み込んでくれるのでパッドの片減りが無く、ブレーキング時もローターが歪みません。

また、パッドとローターのクリアランス幅が固定されてしまう油圧式よりも調整に自由度があり、シャリシャリとノイズ音を立て続けるブレーキの引きずり音が簡単に解消できる利点もあります。

今回は、対向ピストン採用の機械式ディスクブレーキのパイオニア『TRP SPYKE/SPYRE』に交換した感想や調整方法についてまとめてみます。

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選択肢が少ない『対向ピストン』の機械式ディスクブレーキ

TRP製対向2ピストン機械式ディスクブレーキ『SPYKE/SPYRE』の感想イメージ02

対向ピストンを採用した機械式ディスクブレーキは、現在2社からリリースされていて、TRP社製と後発のREVER社製があります。

対向ピストンは片側ピストンと比べてリターンスプリングが二倍になるので、ブレーキレバーの引きが重くなってしまう欠点があるのですが、後発のREVER社製はその点が軽減されているらしいです。

REVER社製にはロード用のMCX1とMTB用のMTN1があり、加えてロード用にはフラットマウント対応のMCX2が準備され、どれもデザインが美しいですね。

見た目が気に入ったので、最初はファットバイク用としてMTN1の購入を考えたのですが、残念な事にレバーやローターを含むセットでしか販売されておらず、高価な上にeBayを利用するくらいしか入手方法がありませんでした。

引き量が対応するフラットロードやクロスバイク用のブレーキレバーを使えば、ロード用のMCX1も使用可能ですが、レビュー等を詳しく調べているうちに、引きの重さはTRP社製と大差が無い事がわかったので、今回は素直に見送る事にしました。

とは言え、REVER社製はデザインが良いですし、MTN1に同梱のレバーはペアで134gと軽量なので、中々魅力的な選択肢に映りますね。

さて、消去法でTRP社製を選ぶ事になった訳ですが、こちらにもロード用のSPYREとMTB用のSPYKEがあり、加えてロード用には軽量タイプのSPYRE SLCがあります。

TRP社製も引き量とダストカバーの有無くらいしか違いが無いので、対応するレバーさえあればロード用をファットバイク用としても使えますが、MTB用のSPYKEは国内でも普通に購入できますし、パッケージ無しのバルク品は安価なので、特に迷う必要は無いでしょうか。

ロード用もバルク品が安価なので、ワイヤー引きのSTIレバーを無駄にせずにディスクロード化するなら、SPYREや同OEM品のSPYRE-Cあたりが狙い目ですね。

購入した『TRP SPYKE』の詳細

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早速TRP SPYKEを購入してみましたが、バルク品は思っていた以上に安く、数年前と比べて導入へのハードルが随分と低くなっていました。

因みに、180mm径のローターを二枚注文した筈が、一枚が160mm径で送られれてくる手違いがあり、これが後々思わぬ効果をもたらします。

セット内容はブレーキキャリパーx2、180mmローターx1(フロント用)、160mmローターx1(リア用)、 インターナショナルマウント用アダプタx2、ローター&キャリパー用取り付けボルト1袋で、今回はキャリパー本体とローター、一部の取付ボルトだけ使用する予定です。

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キャリパー本体の重量は170gで、交換前のSHIMANO BR-M375よりも40gほど軽量な作りです。

試しに、キャリパーの可動部分を指で摘まんでパッドを閉じてみましたが、指先に感じる抵抗感は片側ピストンのSHIMANO BR-M375とそれほど変わらない印象でした。

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ローターは180mmが166gで160mmが117gで標準的な重量です。

現在使用しているセンターロック式のSM-RT10 180mmがロックリング込みで231g、前後で合計462g、新ローターを6ボルト用をセンターロック式に変換するアダプターを使用して交換すると合計で345gとなり、差し引き117gの軽量化となります。

元々のキャリパーやローターが重すぎるせいもありますが、ブレーキまわりの交換だけで200g弱の軽量化は地味に嬉しいですね。

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キャリパーの左右には3mmの六角レンチでパッドとローター間のクリアランス幅を細かく調節できる仕組みが設けられています。

対向ピストンである点は油圧式と同じですが、この仕組みは機械式ディスクブレーキにしか見られない特徴ですね。

本来はパッドが減った際にクリアランス幅を調整して、パッドをローターに近づける目的で使いますが、ブレーキの効き具合を煮詰めたり、ローターとパッドが擦れる引きずり音の解消にも効果的に働きます。

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デフォルトのブレーキパッドはレジン製で、左右の調節ボルトを使ったパッドの可動範囲は上画像の通りとなり、左右どちらかだけを突出させる事もできました。

パッドを最も開いた状態でクリアランス幅は3.5mmくらい、ローターの厚さは1.7mm前後が標準ですから、最大でローターの左右にそれぞれ0.9mm程度のスペースを確保できます。

実はこの調節ボルト、回しても他社製のキャリパーの様にカチッカチッとしたクリック感が伴わず、目視やボルトを回した角度でしか、左右均等に押し出されているかどうかを確認する術がありません。

一見すると欠点に思えるこの仕様ですが、実際にキャリパーを取付けて調整してみると、クリック感の無い無段階ボルトの方がレバーのタッチやブレーキの効き具合をシビアに追い込める事に気が付きます。

『TRP SPYKE』の取付と調整方法について

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さて、いよいよ取付けですが、対向ピストンだけに油圧式ディスクブレーキを取り付ける際と、ほぼ同じ方法で行います。

注意すべきは、パッドのクリアランス幅が左右で自動に保たれる油圧式とは違い、対向ピストンの機械式は左右のパッドクリアランスを手動で調整してパッドの移動量を均等にしてあげる必要がある点です。

この部分がアンバランスだと、左右パッドの移動量の違いからブレーキング時にローターが歪んでいるのが目視で確認でき、折角の対向ピストンが台無しになってしまいます。

幾らでも解説されている方がいらっしゃるので詳細は割愛しますが、例によって【1】キャリパー本体が軽く動く程度に仮止め【2】ブレーキワイヤーを引っ張って固定する【3】ブレーキレバーを握ってローターを挟み込む【4】その状態のままキャリパーを本締めする【5】左右の調節ボルトやアジャスターボルトでブレーキタッチを調整して完了、大雑把ですがこの5ステップが基本的な流れです。

実のところ、結構アバウトに取付けても後からチマチマ修正が効くので、片側ピストンの機械式ディスクブレーキよりも遥かに簡単に済みますが、取付前のキャリパーにちょっとだけ細工をする事で、よりスムーズに作業が進みます。

前項で軽く触れましたが、取付前のキャリパーを左右の調節ボルトを使ってブレーキパッドが最大まで開いた左右均等な状態にします。

このまま【1】~【4】の工程を経れば、左右パッドのクリアランスが等しく、尚且つキャリパーもセンタリングされているベストな状態になるのですが、残念な事にこのままではパッドクリアランスが広すぎてブレーキレバーを握ってもローターをしっかりと挟み込めません。

これを解決するには二通りの方法があり、一つ目はキャリパーを取付ける前に左右の調節ボルトを目視や角度を頼りに均等に回して、クリアランス幅を2mm程度まで狭めておく方法です。

アナログなやり方ですが、L字状に曲がった六角レンチは回転させた角度を把握しやすく、左右のパッドをどれだけ移動させたのかが結構簡単にわかります。

二つ目は、厚さの等しい厚紙やプレートを二枚使い、左右からローターの厚みをプラスしてからブレーキレバーを握る方法です。

厚さ0.2mm程の官製ハガキがお手軽に使えますが、隙間測定用のシックネスゲージを二本使ったり、Birzmanの『CLAM DISC BRAKE GAP MEASURER』などのセンタリングツールも便利です。

因みに、私は他社製のセンタリングツールを持っていましたが、パッドの間に挟んで2mm幅の目安に使ったくらいで、一つ目の簡単な方法で問題なく取付けが出来ました。

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取付けのコツを掴んだフロントに続き、リアブレーキの交換に移りますが、前述の通り手違いで160mm径のローターが手元にあり、こちらをリアブレーキ用として使うことにします。

ファットバイクではフロント180mm、リア160mmの構成は割とポピュラーなので特に抵抗はなく、少しでも軽量化できるなら悪くない変更かも知れません。

取付けが完了してから気付いたのですが、私のファットバイクはリアブレーキ用のマウントがシートステーではなくチェーンステーの側にあるので、マウントアダブターが必要な180mmローターでは新調したキャリパーを取付け出来なかった可能性があります。

まさに怪我の功名ですが、注文通りに届いていたら取付けスペースの狭さに大苦戦していたかも知れませんね。

さて、上画像には赤丸で囲ってある部分があります、ワイヤーを固定するお馴染みの部分ですが、海外のレビューではワイヤーを上側に通している画像が多く、後から『本当は下側を通すのが正しいよ!』と訂正している内容が目立ちました。

ボルトの上側を通して固定するか、下側を通して固定するかでブレーキタッチや効き具合や大きく変わるらしく、このブレーキが登場した当時の効きがイマイチ…と言う評価はこの点が少なからず影響しているかも知れません。

最後に前後のブレーキを交換してみて、個人的に気になったのがローターとワイヤーエンドの干渉問題です。

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上画像は新旧の機械式ディスクブレーキを比較した物ですが、上側の新ブレーキは形状や構造の違いからケーブルラインが旧ブレーキよりも 2cm以上内側になっています。

車種やメーカーによってブレーキマウントの形状や位置も異なるので一概には言えませんが、私の場合はこの影響でフロント・リア共にワイヤーのエンド部分が回転するローターに干渉してしまう不具合が発生し、余ったワイヤーを15mm以下にカットする必要がありました。

気になって調べてみると、ワイヤーに癖をつけてローターと干渉しない内側や外側に曲げている方が多く、カットに加えて干渉しない向きにワイヤーを曲げて癖付けしてしまった方が安心できそうです。

まとめ

今回説明した方法でキャリパーを取付けた後は、キャリパー本体左右の調整ボルト、キャリパー本体のアジャスターボルト、ブレーキレバーのアジャスターボルトの三つを調節して自分好みのブレーキタッチに仕上げます。

優先順位としては、最初にキャリパー本体の調節ボルトで左右均等にローターと干渉しないギリギリまでクリアランス幅を狭め、次にキャリパーのアジャスターボルトでブレーキタッチを煮詰める感じでしょうか?クリック感が無く無段階に調節出来るキャリパーの調節ボルトが思いのほか使いやすく、初めてでも油圧式で0.2~0.5mm程度と言われるクリアランス幅に簡単に調節でき、タイヤをロックできる状態まで短時間で追い込めます。

また、懸案だった引きの重さについてですが、JAG WIREの『Elite Link Brake Kit』を使っているお陰か、交換前と比べても極端に重くなったと言う感覚はありませんでした。

流石に油圧式やベアリング入りで引きの軽いAVID BB7とは比べられませんが、個人的には十分に許容範囲だと思います。

"Jagwire Elite Link"で引きの重いブレーキが超スムーズに!!
ブレーキレバーの引きが重いと感じたら、ケーブルをJAG WIRE(ジャグワイヤー) のElite Link Brake Kit(エリート リンク ブレーキ キット)に交換する方法をオススメします。滑りの良いインナーケーブルとコンパクトなケーブルラインのおかげでブレーキレバーの引きが劇的に軽くなります。
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