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振動が激減!?ミニベロにサスペンションシートポストは蜜の味

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ01

私はファットバイク・29er・ミニベロと複数台持ちの自転車乗りですが、ウインターシーズンにファットバイクで悩まされた事の一つに、路面から伝わる振動があります。

ホイールの小さいミニベロならともかく、サスがわりにもなる極太タイヤを備えたファットバイクで振動に悩まされるなんてありえるの?と不思議に思うかも知れませんが、これが状況によっては結構キツイのですよ。

人通りや交通量の少ないルートなら特に問題はありませんが、日中の気温で緩んだ上にぐちゃぐちゃに踏み荒らされた路面が再凍結すると、さながら小石が無数に転がる河川敷のような状況になります。

こうなるとフロントサス&空気圧0.5barのファットバイクを以てしても、お尻や腕に伝わる振動や突き上げを殺しきれず、3kmも走ると体の各所に疲労と苦痛を感じ始めます。

実は、ファットバイクを購入したとほぼ同時に『SR SUNTOUR/エスアールサンツアー NCX』というサスペンションシートポストを購入していて、その気なればある程度の対策はできました。

ですが、このNCXは800gオーバーという鈍器に使えるほどの重量のため、悪路での車体を取りまわしや押し歩きが増えるこの時期は、できるだけ使いたくないというのが本音なのです。

結局、NCXよりも軽量なサスペンションシートポストを買い直すことになり、値は張るものの以前から気になっていた『Cane Creek THUDBUSTER/サッドバスター』に狙いを定め、ついでに振動対策が欠かせないミニベロにも使えた方が良いだろうと、シートポストシムで共用可能なポスト径27.2mmタイプを購入してみました。

テストを兼ねて早速ミニベロにインストールしたところ、予想通り…と言いますか、まあそうなるよね!!と言いますか、ミニベロとサスペンションシートポストの相性が良すぎて今まで使っていなかったことを軽く後悔する程でした。

おすすめの”サスペンションシートポスト3選”それぞれの特徴は?

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ02

サスペンションシートポストを選ぶなら、パンタグラフ式を採用したCane Creek製かSR SUNTOUR製がおすすめでしょうか、衝撃が後方にスライドするように吸収されるので、上下に動作するタイプよりも座面が安定し、ペダリングの力が逃げにくい仕組みになっています。

私が今回購入したのが上画像左の『THUDBUSTER LT』で、トラベルは76mm、重量はポスト長450mmタイプで540~570g程です。

上画像中央がトラベルが33mmと短い『THUDBUSTER ST』で、重量はポスト長400mmタイプで454~474g程です。

両者とも、衝撃吸収にはエラストマー樹脂と呼ばれるゴムに似た素材が使われています。シートポスト部分は普通のポストと同様に中空になっているため、少しでも軽量化したいなら任意の長さにカットしてもOKです。

私はファットバイクとミニベロで使いまわしする予定だったので、トラベルに余裕のあるLTを選びましたが、実際にミニベロで使用してみるとオーバースペック気味でした。ミニベロ・クロスバイク・ロードバイクに使用するならSTで十分だと感じます。

上画像右が私がファットバイクに使用していた『SR SUNTOUR NCX』で、トラベルは50mm、重量はポスト長350mmタイプで820gです。

ポスト内にはコイルスプリングが仕込まれているため高重量ですし、シートポストがカット出来ないなどの欠点が目立ちますが、コイルスプリングなのでエラストマー樹脂よりも劣化に強く、パンタグラフ式の中では価格が手頃なのも魅力でしょうか。

因みに、三種類の中では唯一NCXだけに標準で可動部分を保護するネオプレン製のダストカバーが付属します。

安価な製品は使用していると、サスペンション部分の軸がガタつきやすく、サドルごと左右に回転してしまう事もあるので、出来るだけ上記のパンタグラフ式の中から選びましょう。

【追記】Cane Creekからは、2018年にロードバイク向きの軽量サスペンションシートポスト『eeSilk』が登場しています。

200g台の軽量サスペンションシートポスト『eeSilk』がイイ感じ
300g以下の軽量サスペンションシートポスト"Cane Creek eeSilk"の情報を紹介しています。同社のThudbusterの約半分という軽さは、ロードバイクやミニベロには特におすすめで、路面からの突き上げの軽減や尻の痛みを緩和など、走行の快適性に高い効果を発揮してくれます。

また、2020年には『THUDBUSTER LT』と『THUDBUSTER ST』 がリニューアルされ、耐久性の向上やトラベル量の増加、工具不要でエラストマーの交換が可能などのパワーアップが図られています。

トラベル量はLTが76mm⇒90mmへ、STが33mm⇒50mmへと増加し、エラストマーを含むポストの外観にも変化がみられますが、耐久性の向上に伴ってLTが最大750g、STが最大540gとかなり重くなってしまったのが残念ですね。

ロードバイク・クロスバイク・ミニベロ・グラベルロードあたりに使うなら、300g以下の『eeSilk』が狙い目かも知れません。

ミニベロに”THUDBUSTER/サッドバスター LT”を導入

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ03

『SR SUNTOUR NCX』に続く、通算2つ目のサスペンションシートポスト『THUDBUSTER LT』を手始めにミニベロに導入してみます。

例によって国内で購入するよりも安上がりな海外通販を利用し、注文から一週間ほどで届きましたが、関税や国内消費税の対象となる16666円を余裕で超えているのにも関わらず、何故か輸入消費税が掛かりませんでした。

早速、開封してみると以前は黒い化粧箱入りだった製品が簡易包装になっています。まず目にとまったのが、要ともいえるサスペンション部分で、予想していたよりも随分と大きな作りに少し驚かされました。

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ05

箱らか取り出して、手持ちのNCXと比べてみても倍近い大きさですね。面積だけなら、5インチスマホくらいはあるかも知れません。

手に持ってみると、ポストが中空になっているせいかカタログスペックよりも軽量な感覚で、NCXの半分くらいの手応えです。

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ04

パッケージの裏側にはパンタグラフ式の動作が図解されていますが、見て分かる様に後ろにスライドして衝撃を吸収する仕組みです。

上下の動きを最小限に抑えることでサドルが安定し、ペダリングでの力の伝達ロスが上下タイプよりも軽減されています。

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ06

付属品は調整用のエラストマー樹脂二種類と紙製のマニュアルのみで、可動部分を覆うネオプレン製のダストカバーは別売りです。

装着済みも含めて四つあるエラストマー樹脂にはナンバーが刻まれ、利用者の体重で使用する組み合わせが変化します。

デフォルトでは、ナンバー【#5】のエラストマーが本体に二つセットされ、調整用の二つにはナンバー【#3】とナンバー【#7】が含まれていました。

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ07

マニュアルは英語で不親切な内容ですが、取り付けやエラストマー樹脂の交換はそれほど難しくありません。

体重別のエラストマー樹脂の組み合わせが一覧で記載されていて、最も軟らかい『XSoft』のナンバー【#1】と最も硬い『XFirm』のナンバー【#9】は残念ながらダストカバー同様に別売りになっています。

私の体重ならば【#3】と【#3】または【#1】と【#9】の組み合わせが妥当ですが、どちらも付属のエラストマーだけでは再現できないので、【#3】と【#5】の組み合わせに交換することにしました。

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ08

ミニベロのF-20Rに組付けるにあたって、シートポストクランプをレバータイプからボルトタイプに交換します。

気休めレベルの盗難対策ですが、サスペンションシートポストはそこそこ高価なので、可動部分の動作に合わせて伸縮してくれるコイルタイプのサドルキーパーを併用すれば、より安心できるでしょうか。

シートポストクランプをレバータイプからボルトタイプに交換したことで、F-20Rの折り畳み機能が少し面倒になりますが、個人的に全く使っていない機能なので問題はありません。

ミニベロでサスペンションシートポストを使用した感想

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ10

ミニベロにサスペンションシートポストを組付けたあと、16kmほど試走してみる事にしましたが、組付ける際に幾つか面倒に感じる部分がありました。

エラストマー樹脂を交換する際は上画像の赤丸部分にあるスキュワーを引き抜かなければなりませんが、このナットをメガネレンチかソケットレンチで固定しつつ、裏側から二つのエラストマーを貫いているボルトを六角レンチで緩める必要があり、完全に両手が塞がってしまう作業になります。

私はサスペンションシートポストを車体に固定する前に交換したので、余計に苦戦する羽目になりましたが、エラストマーの交換はポストを固定してから作業したほうが楽に出来ます。

使用されているエラストマーの形状が異なるため『Thudbuster LT』にしか設けられていませんが、スキュワー部分にはエラストマー樹脂の予圧機能もあり、ボルトを締め上げた後、先端がナットから何ミリ露出しているかで、予圧加減がどの程度なのかマニュアルに記載があります。

エラストマー樹脂の組み合わせだけでも問題なく使用できますが、この部分で細かな調整も出来る様ですね。

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ09

また、サドルレールの固定は二点止めになっています。前後の赤丸部分を六角レンチで調整することで、サドルの固定と角度調整が出来ますが、サスペンション機構が邪魔になって六角レンチが奥まで入りづらいですね。

調整のしづらさを見越してか、前後に手や工具で回せる大小のツマミが設けられていますが、大きい赤丸部分は真下から六角レンチを差し込んで作業する際に、奥までしっかりと差し込んでから締め上げないと穴を舐めかねない印象です。

【追記】2020年にリニューアルされた『THUDBUSTER LT』は外観が大きく変化し、STをそのまま大きくしたような見た目になりました。

エラストマースプリングもSTとほぼ同じ作りになり、前述した複数のエラストマーを組合せる方法やスキューワーによる予圧機能は過去の物になっています。

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ11

効果を実感しやすい様に、愛用の神サドルこと『SERFAS/サーファス RXアドバンス』ではなく、若干硬めの『RX-RR RACE READY/レースレディ』をチョイス。

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サッドバスターのサスペンション機構の大きさから、もっとアンバランスな感じになると思っていましたが、愛車のミニベロ『F-20R』に意外なほど馴染んでいます。

簡易的なリアサスペンションともいえるソフトテールやブルホーンハンドルが相まって、コンセプト自転車チックのな佇まいですね。

さて、導入する前から覚悟はしていましたが、当然いつものサドルバッグが使えなくなりました。サドルレールとシートポストの二点で固定するタイプのサドルバッグは全滅で、常用する場合はフロントバッグかサドルレールに一点で固定するタイプのサドルバッグが必要になりそうです。

今回はツールケースに携帯品を入れてボトルケージにマウントし、嵩張るチェーンロックはベルトに括りつけて、何とか急場を凌ぎました。

サドルに跨ってみると、やはりサドルごと柔らかく沈み込むような感覚があります。

調整が甘すぎたかな?と思いましたが、サドルがグッと深く沈み込むのはサドルに体重が集中するこの瞬間だけで、ハンドル・ペダル・サドルとバランスよく体重を分散させると、感覚でサドルが0.5~1cmほど下がったと感じるくらいの位置に落ち着きます。

通常のシートポストと比べて、走行中は上記三点への加重を強く意識させられるので、普段お尻に痛みを抱えがちなら、矯正効果を期待できるかも知れません。

私はシート高を再調整しませんでしたが、沈み込み分を考慮して普段よりも1cm程度は高くしても差し支えないでしょう。

NCXをファットバイクに使用していた時から薄々感じていましたが、ミニベロとサスペンションシートポストは本当に相性が良く、走り出した瞬間から効果の高さを実感します。

3cm程度の段差なら、お尻に突き上げはありませんし、状態の悪いアスファルトから感じる細かな振動も、ほぼゼロになります。

お尻だけ滑らかに平行移動している様な不思議な感覚があり、ハンドルとペダルからのみ、いつもと変わらない振動が伝わって来る感じです。

サドルへの振動が劇的に改善するので、今まで抜重でいなしていた段差で気が緩み、かえってリム打ちパンクのリスクが上がってしまいそうですが、このままファットバイクの固定装備にするには、惜しいくらいの心地良さです。

気になる沈み込みによるペダルロスは個人的に気になるレベルではありませんでしたが、柔らかく肉厚なサドルを使った時の感覚に少し似ている気がしました。

総評として、サッドバスターはエラストマー樹脂を使用している為かコイルスプリングのNCXよりも丁寧に路面の凹凸を拾ってくれる感じですね。

サスペンションが機能する閾値がNCXよりも低く、アスファルトの僅かな凹凸でも機能をハッキリと体感できます。

オフロードの荒れた路面に限らず、オンロードでもしっかりと働いてくれる優れたサスペンションシートポストではないでしょうか。

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ12

後日、手持ちの一点止めサドルバッグ『RIXEN&KAUL/リクセン&カウル』のマイクロシェルを試しに取り付けてみると、ギリギリでサスペンション部分やサドル後部に干渉しませんでした。

これで、チェーンロックと携帯品を一纏めにして収納できますが、サドルの後ろ側に手を差し込むスペースが全く無いので、駐輪などで車体を取り回しする際に少し不便に感じます。

このままマイクロシェルを使い続けても構いませんが、携帯品をボトルケージのツールケースに入れて分散し、サドルバッグは一点留めのSサイズかマイクロサイズの製品を選んだ方が使い勝手が良さそうです。

まとめ

予想していたとは言え、サスペンションシートポストを使うだけでミニベロの乗り心地がここまで改善されるなら、使わない手はありません。

F-20Rはクロモリフレームですし、リアにはサッドバスターと同じエラストマー樹脂のソフトテールが元々備わっているので乗り心地は良い方ですが、乗り心地が硬いアルミフレームのミニベロや折り畳み自転車では、もっとハッキリとした効果が得られるのではないでしょうか。

人によってはサッドバスターの500g程度でも、重すぎるだろ~と使用を躊躇いますが、結構前にキックスターターで話題になった『RINSTEN SPRING/リンステンスプリング』なんかも面白そうですね。

サスペンションシートポスト"THUDBUSTER/サッドバスター LT"イメージ12

一般販売が開始され中華製のパチモノ品もチラホラ見掛けますが、上画像の様に大変シンプルな構造で重量は400g弱ほど。

見た目の割に若干重い気がしますし、シートポスト込みの重量なのかも不明ですが、今後のバージョンアップ次第では、200g前後まで軽量化できそうな資質を感じます。

サスペンションシートポストは割と需要の多いパーツらしく、年を追うごとに次々と新たな製品が登場しますが、重量が弱点だったコイルスプリング式にもチラホラと良品が増えているのが嬉しいですね。

重量685gのBBB『BSP-41』やアルミ製500g台/カーボン製400g台のCirrus Cycles『KINEKT』なども気になりますが、現在の一番人気は重量547gで外観もコンパクトなRedshift『SHOCKSTOP Seatpost』辺りでしょうか?

トラベルは35mmと控えめで価格も割高ですが、個人的にスマートでスッキリとした見た目がなかなか魅力的に映ります。

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