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真冬のファットバイク&自転車に使える防寒グローブの選び方

サイクルグローブのイメージ01

私がファットバイクに乗り始めた当初は、初めて尽くしの連続でした。

楽しい気持ちが先に立ち、どんなことでも勢いだけで乗り越えられていましたが、今になって思い返してみると、厳寒期でも使えるサイクルウェアやシューズ、その他諸々の防寒対策について苦慮した記憶が蘇ってきます。

積雪の有無に関わらず、ロードバイクや一般的な自転車でも真冬の防寒対策に頭を悩ませることが多いですが、その中でも特に難しいのが自転車用の防寒グローブかも知れません。

各メーカーの自転車用の防寒グローブには使用を推奨する気温が設定されていますが、風速1メートルで体感温度が1度下がるなどの悪影響からか、カタログスペック通りの性能を実感できない場合が殆どです。

単純計算で気温0度で風速5メートルのコンディションなら、体感温度はマイナス5度になってしまう訳ですが、今回はジャンルや価格を問わず、ファットバイク用はもとより真冬の自転車用としても利用できる、防寒グローブ・防寒手袋を幾つか紹介してみます。

インナーグローブを活用しよう

ミズノブレスサーモ&モンベルジオラインのインナーグローブ01

本格的な登山を経験した方ならご存知かと思いますが、登山用ウェアでは機能性の異なる衣類をレイヤリング(重ね着)するのが常識です。

これと同じ方法はグローブにも当てはまり、単純に手袋を二枚重ねにしただけでも防寒性はアップします。

防寒グローブとして頻繁に見掛ける防風タイプの製品は、服に例えると起毛裏地の付いたウインドブレーカーのようなもので、素肌に直接着るよりも肌着をレイヤリングしたほうが防寒性能が高くなります。

レイヤリングによってシフトレバーやブレーキレバーの操作に悪影響が出てしまう事は確かですが、『防風・防水・透湿』を重視したアウターグローブと『発熱・保温・汗冷え防止』を重視したインナーグローブを組み合わせて使うことで汎用性が高まり、ある程度なら自分好みの厚さや機能が選べます。

サイクルグローブ用のインナーグローブとして使える代表的な製品には、上画像左のミズノ製『ブレスサーモ インナーニットグラブ』と、上画像右のモンベル製『ジオラインLWインナーグローブがあり、他にもパールイズミ製『120 インナーグローブ』などもあります。

ミズノのブレスサーモ インナーニットグラブは汗の水分で発熱するユニクロのヒートテックに似た仕組みですが、実際に使用すると、ちょっとしたカイロ並みの発熱で驚きます。

また、速乾性も高くヒートテックと比べて汗冷えしづらい特徴もあります。

生地の厚さは一般的なニット手袋よりも若干薄いくらいで、ジャストサイズで着用するとデジカメを扱えるくらい細かい作業ができます。

一方、モンベルのジオラインLWインナーグローブですが、こちらは発熱機能よりも汗処理と生地の薄さにアドバンテージがあります。

生地が薄いのでジャストフィットのグローブのインナーとして無理なく使えますし、とにかく速乾性が高く汗冷えを招きづらいです。

地肌がうっすら透けるほど生地が薄いのですが不思議とあたかかく、現状よりもあと少しだけ防寒性をアップさせたい…といった場合に重宝しますね。

また、パールイズミのインナーグローブは丁度ミズノとモンベルの中間くらいの機能をもっています。悪く言えば中途半端で飛びぬけて実感できる特徴もありませんが、フィット感が良く自転車専用インナーグローブという肩書には安心感があります。

どのインナーグローブを使う場合でも、サイズはジャストフィットを選んだ方が良く、アウターグローブはインナーで着ぶくれする分、少しだけ余裕のあるサイズを選んだ方が指先を動かしやすくなります。

また、インナーグローブの大半はニット製なので耐久性に劣ります。

特にアウターグローブやアウトドアウェアに多用されているベルクロ(マジックテープ)と相性が悪いという弱点があり、不用意に接触させると一発で毛玉が出来たり糸が解れたりします。

インナーグローブを使用する際は、絶対にベルクロ仕様のアウターグローブと組み合わせないように注意しましょう。

低価格でも優秀なワーク系防寒グローブ

ワークマンイージス&おたふく手袋ホットエースプロの防寒グローブ01

ネット上のレビューや口コミで評判になることが多く抜群のコストパフォーマンスを誇るのが、ワーク系メーカーの防寒グローブです。

おたふく手袋製『ホットエースプロ』シリーズやワークマン製『イージス』シリーズが特に人気があり、イージスシリーズは低価格な防水・防寒・透湿ウェアでも良く知られています。

どちらの防寒手袋も価格以上の防寒性と耐水性を備えていますが、自転車用として求められる操作性はギリギリ許容範囲といった感じで、透湿性が全くなく汗をかくと蒸れやすいという弱点があります。

防寒性アップや汗対策としてインナーグローブの併用を推奨しますが、前述の通りベルクロタイプの製品は避けた方が良いでしょう。

それぞれの特徴ですが、ホットエースプロは非ベルクロモデルが少なく、自転車用としては選択肢に乏しいですね。しっかりとした保温・断熱層があるため生地の作りが厚く、どちらかと言えば低価格なオートバイ用防寒手袋としての方が重宝される気がします。

ウエアの評判の良いイージスシリーズの防寒手袋ですが、一昔前にワークマンの主力だったスノーエリアシリーズと比べて特に優れている印象は無く、単にイージスブランドに名札を付け替えただけの印象でしょうか。

イージス防寒手袋には自転車向きなフィットタイプもありますが、大半がベルクロ留めなのが痛いですね、インナーグローブを併用しづらいのが欠点でしょうか。

どちらの防寒グローブも気温5度前後までなら単体で十分に使用できるので、あまり汗をかかない通勤や通学用などのちょっとした用途に向いています。

それ以上の防寒性を求めるなら、インナーグローブを併用できる非ベルクロタイプの製品を選びましょう。

機能性&使い勝手に優れる登山用防寒グローブ

モンベルウインドストッパートレッキンググローブ01

自転車専用のサイクルグローブ以外で最も使い勝手が良いのが、トレッキングや登山用の防寒グローブです。

過酷な登山での使用に耐えられる様に機能性に優れたものが多く、種類も豊富なのでズブの素人には全体像が把握できないほどです。

ノースフェイスやモンベル製のグローブが自転車用として流用しやすく、コストパフォーマンスや機能のわかりやすさを考慮すると、モンベル製の方がおすすめでしょうか。

モンベル製で特に使い勝手が良いのが、上画像の『ウィンドストッパートレッキンググローブ』です。表地には抜群の防風・透湿性を誇るウィンドストッパーファブリクス、裏地には起毛素材が使用されています。

ストレッチ性のある薄手の素材ながら風を全く通さず、気温5度くらいまでならギリギリ単体でも使用でき、嵩張らないのも嬉しいですね。

ベルクロを全く使用していないので、インナーグローブとの相性も抜群ですし、組み合わせ次第で春・秋・冬の3シーズンに渡って活躍してくれます。

某所のレビューでは評価がイマイチですが、実際に使用してみると、本来の軽登山用に使っていないせいなのか、特に問題は感じません。

デザインが大人しいので自転車以外にも使えますし、防寒性をアップさせたいなら、前述のミズノ製ブレスサーモと組み合わせると、気温5度以下でも十分な防寒性が得られます。

似たような機能を持ったグローブはノースフェイスにも幾つかありますが、手の甲の部分にしかウインドストッパーが使われていなかったり、ベルクロ仕様だったりと若干使い勝手に欠ける印象でしょうか。

登山用の防寒グローブはかなり奥の深いジャンルで、グローブを含む登山用ウェアには最新の技術が惜しみなく投入されています。

探せば自転車用として流用できそうな製品がゴロゴロ埋もれていそうな印象ですね。

カジュアルであたたかいムートン製の防寒グローブ

UGG(アグ)ムートングローブ01

カジュアルな見た目とあたたかさを重視するならムートン製の皮手袋が最強です。

厚手なので、シフトレバーやブレーキレバーの操作に悪影響が出てしまうことは間違いありませんが、操作感は前述のワーク系防寒グローブと大差のない印象でしょうか。

ムートンはメリノ種の羊革で、インナー側は十分に起毛してあたたかく、アウター側には高い防風性があります。

透湿性も備えているので蒸れにくく、メリノウールを皮付きのままグローブ化した様な物なので汗冷えもしません。

寒さの厳しい北海道では冬の定番アイテムだそうですが、操作性の悪さを度外視すれば間違いなく防寒グローブとしてトップレベルに属します。

良いこと尽くめのムートングローブですがもちろん欠点もあり、皮革なので雨や雪などの水分に弱く、牛革や馬革よりも耐久性に劣ります。

自転車で使う場合はムートン用の防水・撥水スプレーを使用して悪天候に備え、極端にハードな使い方は避けた方が良いでしょう。

ムートングローブの代表的なメーカーにはUGG(アグ)EMU(エミュ)があります。どちらも牧羊が盛んなオーストラリアのメーカーですが、メンズを含む手袋のラインナップはUGG(アグ)の方が豊富ですね。

ムートン手袋は結構なお値段がするので安価な中国製を選んでしまいがちですが、縫製が雑な上に細切れの羊革を縫い合わせただけの製品だったり、起毛のボリューム感が乏しく肌触りも悪かったりするので、安物買いに注意しましょう。

細かな操作をしない、大雨や大雪時に使わない、レイヤリングが面倒臭い、カジュアル用途でも使いたい、通勤や通学に使う、とにかくあたたかさ重視、といった方にはムートングローブがベストな選択肢かも知れません。

余談ですが、北海道よりも更に寒いロシアでは犬毛を使った手袋が一番あたたかいと言われているそうです。

シマノ無双の防寒サイクルグローブ

シマノ防寒サイクルグローブ01

冬用のサイクルグローブではパールイズミ製やコミネ製などが有名ですが、意外にあたたかいと高評価なのがシマノ製の防寒グローブです。

特に人気なのが上画像右のエクストリーム ウインターグローブと上画像左のウインドストッパー サーマル リフレクティブ グローブ で、機能面では甲乙つけがたい感じです。

シマノ公式ではエクストリームウインターグローブが最もあたかいと説明されているのですが、図解付きの比較チャートでは、ウインドストッパーサーマルリフレクティブグローブも零度からマイナス10度までの気温に対応していると表示されています。

エクストリームウインターグローブは標準仕様でアウターグローブとインナーグローブに分かれていて、インナーグローブの裏地には起毛素材のポーラテックパワーストレッチが使われています。

起毛素材が使われている分、ウインドストッパーサーマルリフレクティブグローブよりもあたたかい使用感になりますが、アウター表面素材の耐水性に劣ります。

ウインドストッパーサーマルリフレクティブグローブには起毛素材が使われていませんし、アウターとインナーにも分かれていませんが、グローブ内部に赤外線を反射するメタリックサーマルテックが施され、その他の機能面は全部入りのほぼパーフェクトな仕上がりです。

防風・防水・透湿性はもちろん、ダウンよりも優れた保温性があると言われるプリマロフトが中綿として使用され、濡れても保温性が落ちません。

スペック表を見る限りではウインドストッパーサーマルリフレクティブグローブの方が男心をくすぐる内容なのですが、経験上ポーラテックパワーストレッチ素材で出来たフリースが抜群にあたたかい事を知っているので、エクストリームウインターグローブの防寒性にもリアリティがありますね。

自転車専用の防寒グローブならこの2種類のどちらかで間違いないと思いますが、両者とも断熱素材や保温素材が中間層に使用されているので単体で使用しても大抵の防寒グローブよりも耐寒性に優れます。

因みに、シマノ製グローブはシーズン毎にころころモデルチェンジしてしまうので、購入時にどれを選ぶかで悩みますが、私の経験からするとライド中にカメラやスマホを頻繁に使うなら、防寒性と共に『着脱の容易さ』にも注目した方が良いですね。

この手のグローブの大半はタッチパネル対応を謳っていますが、残念ながらまともに機能してくれないのが普通ですから、なんだかんだ言っても『ベルクロ無し&レイヤリング無し』の使い勝手が最強です。

個人的にイチオシ!SealSkinz/シールスキンズの防寒グローブ

SealSkinz/シールスキンズ防寒グローブ01

本来は自転車用ではありませんが、個人的にイチオシの防寒グローブがこちらのSealSkinz/シールスキンズ『Waterproof All Weather Sporting Glove』です。

シールスキンズは防水グローブや防水ソックスで有名なブランドですが、この製品は狩猟・釣り・野外撮影などの屋外アクティビティに幅広く使え、上画像のように親指と人差し指部分を開閉するギミックが搭載されています。

指先をパカっと外せる上に邪魔にならないようマグネットで固定できる優れモノで、スマホやカメラで細かな操作をする際でも、いちいちグローブを外す必要が無く、手が冷えてしまうことがありません。

流石にシールスキンズの得意とする完全防水ではありませんが、厳冬期のスマホ&カメラ操作に不満を感じていた私にとって、かなり魅力的に映るグローブでしょうか。

もちろん防寒性にも優れますし、親指根元には多目的に使えるフリースワイパーが備わっているのも自転車用として打って付けです。

因みに、こちらは『Sporting Glove/スポーティング グローブ』ですが、仕様の良く似た『Shooting Glove/シューティング グローブ』という狩猟用のグローブもあるので、間違えないように注意が必要です。

手首の固定がベルクロ留めなのが唯一残念な点ですが、指先を解放できることによりグローブを付けっぱなしにできるので、それほど不自由は感じないと思います。

まとめ

低価格な防寒グローブから自転車専用の防寒サイクルグローブまで紹介しましたが、インナーグローブを併用すれば、どの防寒グローブでも防寒効果の底上げが期待できる様になります。

レイヤリングせず、どうしてもグローブ単体で使用したい場合はプリマロフトやダウンなどの保温素材の有無がポイントになり、カジュアル用途ならムートン製が鉄板でしょうか。

防寒性と操作性を両立させるのならハンドルカバーという選択肢もあり、ファットバイクにはBAR MITTS(バーミッツ)製のハンドルカバーが良く利用されています。

見た目がイマイチなので好き嫌いがハッキリとわかれますが、一度使うと手放せなくなる人も多いそうです。

最後に、どんな手袋を使っても手が冷えてしまうといった方は手首まわりの防寒を見直しましょう。

多くのアウターでこの部分がコールドスポットになっているため、手首内側を通る血管が冷えてしまいがちです。最近は手首用のカイロなども販売されていますし、袖付きのグローブを使ったりサムホール付きのアウターを使うことでも冷えを軽減できます。

この部分がしっかり防寒できていれば、薄手の防風グローブ一枚でも不思議なくらい寒さが凌げますから。

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